大分県で温泉が多い街といえばまず別府や湯布院を思い浮かべますが、県庁所在地である大分市だって街のあちこちに温泉浴場がある温泉都市なのです。今回取り上げるのは、ロードサイド店舗が建ち並ぶ国道10号線から細い路地を入った先に位置する「みやざき郷温泉」です。車一台通るのがやっとな感じの狭隘な路地を進み、看板に従って角を曲がって更に奥へ向かうと・・・
路地の右手に上画像のような小さい木造湯屋が建っています。湯屋の前には駐車場があり、3~4台は止められるスペースがあったように記憶しています(もう少し狭かったかな)。また駐車場の片隅にはに源泉があり、揚湯ポンプの音を辺りに響かせています。この音を耳にして「ここで汲み上げたお湯に今から入るんだ」とワクワクしちゃうのは温泉マニアゆえの性でしょうか。
こちらの施設は2015年にオープンした比較的新しい温泉。事前に調べた情報だとこの湯屋は無人であり、100円玉3枚を機械に投入して出入口のドアを開ける(開錠)するとのことでしたが、訪問時には玄関前の受付小屋にスタッフの方(オーナーのご家族?)がいらっしゃり、入館しようとする私にスタンプカードをすすめてくださいました(でも旅の身ですから丁重にお断りしました)。
男女別の入口から中へ上がってすぐのところにある檜造りの脱衣室はこぢんまりしていますが、扇風機・ドライヤー・松竹錠付きロッカーと、狭いながらもありと備品類は充実しています。お客さんに対するオーナーさんの温かい心遣いが伝わってくるようです。
建物の外観から想像できるように浴室もかなりコンパクト。タイル張りの室内は3人も入ればいっぱいになってしまいます。まるで民宿のお風呂みたい。洗い場にはシャワーが2つ並んでおり、カランからはボイラーの沸かし湯が吐出されます。入浴料金300円という安さにもかかわらず、こちらの洗い場にはちゃんとボディーソープが備え付けられているのですから感心してしまいます。脱衣室の備品同様にオーナーさんの気持ちが表れているのでしょう。
浴槽は石板張りの2人サイズ。上述の源泉で汲み上げられたお湯は、塩ビの先から浴槽へ投入されており、私が湯船に入るとお湯は勢いよくザバーっと豪快に洗い場の床へと溢れ出てゆきました。実に贅沢な感覚です。小細工は一切ない完全かけ流しの湯使いです。湯口の先には異物を漉し取るための布が巻き付けられていますが、それでも湯舟の中には褐色の浮遊物ちらほら舞っていました。適温のお湯は淡い黄色の透明で、塩味がある一方、匂いはあまり嗅ぎ取れません。分析表によれば食塩と重曹がこの温泉の主成分ですが、炭酸イオンが37.8mgと多く含まれているため、ツルスベ感の強い滑らかな浴感が大変印象的です。
小さい湯屋ながらも随所からオーナーさんの温かい心遣いが伝わってきますし、且つお風呂では完全かけ流しの素晴らしいお湯に浸かれるという、実に素晴らしい温泉浴場でした。観光地とは無縁の住宅地ですし、その上わかりにくい立地ですから、利用客は地元住民の方がメインかと思いますが、もし界隈を訪ねることがありましたら、お立ち寄りになってください。おすすめです。
ナトリウム-塩化物温泉 43.0℃ pH8.5 湧出量測定せず(750m掘削動力揚湯) 溶存物質2.760g/kg 成分総計2.760g/kg
Na+:879.0mg(95.29mval%), Ca++:15.6mg,
Cl-:833.0mg(59.74mval%), Br-:2.0mg, HCO3-:886.0mg(36.91mval%), CO3--:37.8mg,
H2SiO3:69.2mg, HBO2:16.5mg,
(平成27年3月25日)
大分県大分市大字宮崎1042
097-569-2040
14:00~22:00 休業日不明
300円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★