温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

十和田市 せせらぎ温泉

2017年03月31日 | 青森県

前回記事に続きまして青森県十和田市の温泉を巡ります。今回取り上げるのは地元の方から篤い支持を集めている「せせらぎ温泉」です。ちなみに同県の弘前市にも同名の温泉がありますが、そちらとは全く無関係のようです。なお、私が訪問した時には「撮影禁止」となっていましたので、当記事は文章だけで紹介させていただきます。もし館内の様子をご覧になりたい場合は、お手数ですが既に取材なされている温泉ブロガーさんの記事などをご覧ください。

奥に長くて天井が高く、広々としている浴場内部。男湯の場合、左手に洗い場が配置され、右手に複数の浴槽が並んでいます。洗い場に取り付けられてるカランは、青森県の銭湯では標準的な押しバネ(宝式)と固定式シャワーという組み合わせであり、壁沿いや中央の島に計38組並んでいました。なおカランから出てくるお湯は真湯です。
洗い場の奥にはサウナと水風呂が設置されています。

一方、浴場右側には同じようなサイズの浴槽が5連で設置されており、手前から、ゲルマニウム風呂、トルマリン風呂、低温槽、中温槽、高温槽の順に並んでいます。このうち、高温槽は他4つよりも数センチ高くセッティングされており、またサイズもひと回り大きく、樹木を模したような大きなオブジェの湯口から熱々の温泉が注がれて、この高温槽が最上流となって、下流側の中温槽、そして低温槽へとお湯を順々に流していました。高温槽はその名の通りにかなり熱く、私の体感で44℃前後はあったかと思います。そのひとつ下段の中温槽は約41℃で、槽内では泡風呂装置が稼働しブクブクと音を轟かせていました。低温槽は本当にぬるく、40℃未満でした。なお各浴槽とも、高温槽からの流れ込みの他、それぞれも湯口を有しており、いずれも白樺の木のような形状をしているのが特徴的。各浴槽共通して、浴槽縁の上からお湯が溢れ出ており、放流式の湯使いであることに間違いありません。
手前側二つのゲルマニウム風呂やトルマリン風呂については、私は入っておりませんので迂闊なことを申し上げられませんが、おそらくその名前の通り、健康に何かしらの影響がありそうな鉱石類に触れたお湯が供給されているのでしょう。

こちらの浴場には露天風呂もあり、追加料金不要で利用できます。脱衣室の隣にある喫煙所を通過して屋外に出て、小さな川(排水溝?)を渡ると露天風呂ゾーンです。右手には、子供用プールと見間違えそうになる縦長の歩行浴槽が、そして左手にはヒョウタンを押しつぶしたような露天主浴槽が据えられています。歩行浴槽はかなりぬるかったので、温泉に相当量の加水をしているか、あるいは真湯かのいずれかでしょう。一方、露天主浴槽はれっきとした温泉。全体を完全に覆うような屋根が掛けられており、雨や雪をしっかり凌げるような構造になっていました。外気の影響を受けるためか、この露天は若干ぬるめの湯加減でしたが、お湯の濃さは非加水の内湯高温槽と同等であり、そのおかげで濃いお湯を長い時間楽しむことができました。

こちらの温泉では数年前に従来の源泉が不調になってしまったらしく、新たに源泉井を掘り直して、平成23年に現在使用している源泉の使用を開始したんだとか。お湯の見た目はモスグリーンを帯びた山吹色に濁っており、浴槽の底がやっと目視できるほど強い濁りを呈しています。お湯を口に含むととても塩辛く、また金気味もあり、金気臭や臭素由来と思しき独特な匂いが感じられます。湯中では食塩泉的なツルスベ浴感が得られますが、塩辛いお湯ですのであまり長湯できず、無理して長湯しようとすると、体力を奪われて朦朧とすること必至です。また湯上がりの火照りもパワフルで、お風呂から出た後はいつまで経っても汗が止まらず、濃い食塩泉ならではの力強さを実感しました。それゆえ、浴場にいる時、とりわけ内湯の高温槽に入った後、サウナの前に設置されている冷たい水風呂へ飛び込むと非常に爽快でした。私は高温槽と水風呂を何度も往復してしまいました。
各浴槽の湯加減は加水によって行われているため、ぬるい浴槽ほどお湯が薄くなっています。このため、濃いお湯を楽しみたければ、内湯の高温槽か露天のひょうたん風呂が宜しいでしょう。

前回記事の「紅葉の湯(旧三本木ラドン温泉」と然程離れていないのに、全く異なる対照的な泉質であるのが実に不思議。日によって優しいお湯と力強いお湯のいずれかを選べるご当地にお住いの方々が羨ましく思えてなりません。


前川原2号源泉
ナトリウム-塩化物温泉 51.7℃ pH7.41 溶存物質14.36g/kg 成分総計14.39g/kg
Na+:4760mg(85.90mval%), Ca++:489.8mg(10.14mval%),
Cl-:8111mg(94.39mval%), Br-:25.3mg, I-:1.6mg, S2O3--:0.2mg, SO4--:561.2mg, HCO3-:96.2mg,
H2SiO3:101.5mg, HBO2:60.5mg, CO2:24.1mg,
(平成23年8月24日)

青森県十和田市相坂下前川原188-1  地図
0176-23-0078

6:00~23:00
390円
ロッカー(100円リターン式)・ドライヤー(有料10円/2分)あり、入浴グッズを番台で販売あり

私の好み:★★
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千歳森温泉 紅葉の湯

2017年03月30日 | 青森県
 
長らくインドネシア・ジャワ島の温泉を連続して取り上げてまいりましたが、今回から日本の温泉に戻ります。まずは青森県十和田市の市街地にある「紅葉の湯」から。この施設はかつて「三本木ラドン温泉」という名称で営業していましたが、平成27年4月に現在の姿へとリニューアルしました。現代的なファサードを後から取って付けたことが明らかな外観を見ますと、旧来の建物をリノベーションしたことが一目瞭然です。私が訪問したのは昨年(2016年)7月の週末。しかも夕方という時間帯ゆえか、広い駐車場を埋め尽くすほど多くの車が停まっており、地元の方から根強い人気を集めていることがよくわかりました。

玄関から館内に入り、券売機で料金を支払って、美人なスタッフさんが立っているカウンターへその券を差し出します。リニューアルオープンからまだ間もないので、フローリングのロビーは明るく綺麗でしたが、入浴券は旧施設名が記されたままになっていました。

浴場内は混雑のため画像がございません。今回記事では文章のみで紹介させていただきます。なお内湯の様子を知りたい方は、公式サイトの「施設案内」をご覧ください。
脱衣室から浴場へ入ると、まず右手に上がり湯が設けられており、その先に多数のカランを擁する洗い場が広がっています。洗い場は、脱衣室側の壁に沿ってホース付きシャワーが付帯するカランが11基、そして浴室中央に固定式シャワーを付帯するカランが計28基設けられ、その28基は2つの島に分かれて配置されています。なお洗い場に設置されているカランは、青森県の銭湯では非常によく見られる、昔ながらの押しバネ式(いわゆる宝式)で、しかもピッカピカの新品。リニューアルしたばかりの施設だというのに、古典的なスタイルのカランにこだわるところは、いかにも青森県らしいところです。またカランから出てくるお湯が温泉であるという点も、これまた青森県の温泉銭湯ではよく見られますね。

洗い場の奥には、左からサウナ・水風呂(3人サイズ)・寝湯が並び、同じく洗い場の右手には(手前側から)低温風呂・中温風呂・高温風呂・電気風呂がL字形に配置されています。お湯が張られている浴槽には温泉が用いられており、各浴槽とも縁の上からお湯が溢れ出て、浴槽下のグレーチングへと排水されていました。循環しているような形跡は見られなかったので、いずれの浴槽においても放流式の湯使いが実施されているものと思われます。
数ある浴槽の中で最も大きいのは中温風呂。キャパは14〜5人ほどあり、湯加減は42℃ほどで、一部では泡風呂装置が稼働し、大きさ・湯加減・泡風呂という三拍子が揃っているためか、最も人気を集めていました。なお低温風呂は加水によって38℃前後となっていましたが、私の訪問時はお湯がかなり鈍っていました。混雑時だったため、いつも以上にお湯がくたびれていたのでしょうか。一方、高温風呂は44℃近い熱さがあり、おそらく非加水の源泉がそのまま投入されているものと推測されます。浴槽の大きさは(目測で)3m×2mの四角形で、そこそこの容量を有しているのですが、暑い夏に熱い風呂へ入ろうとする人は少ないためか、このとき、私以外の利用客はいませんでした。でも、後述する露天風呂を含め、お湯の良さ、とりわけ鮮度感はこの高温風呂が最も優れていました。



続いて露天風呂ゾーンへ。380円という銭湯料金で露天風呂にも入れちゃうんですから有難い。しかも東京や大阪の銭湯にあるような、猫の額のような空間を高い塀で囲った「無理矢理作りました」感が強いものではなく、広くて日本庭園風の誂えになっているのですから、大変結構ではありませんか。このお庭の一角には、施設名にもあるモミジが植わっていますので、秋になれば紅く染まって和の趣きをより一層高めてくれることでしょう。この露天風呂ゾーンには露天主浴槽のほか、「茶碗風呂」と称する所謂つぼ湯が2つ設けられています。



浴室の窓に面して据えられている露天主浴槽は、(目測で)1.8m×3.6mの長方形ですが、御影石の縁の角が取れて大きなRを描いており、小判を半分に割ったような形状になっていました。こちらも放流式の湯使いで、お湯の投入量も多く、体感で41〜2℃という適温に調整されていました。



2つある「茶碗風呂」に注がれているのももちろん温泉。ただ、供給量が然程多くないため、お客さんが入って一旦お湯があふれると、湯嵩の回復に時間がかかっていました。色つけされた模様を見る限り、茶碗というより小鉢や蕎麦猪口と表現した方がしっくりきますね。

さて肝心のお湯に関してですが、見た目は無色透明で湯の花などの浮遊物は見られません。「茶碗風呂」に限っては、お湯は仄かな褐色を帯びているように見えたのですが、これはおそらく器の側面の色が影響しているのでしょう。お湯を口に含んでみますと、ごく僅かにモール泉のような風味が得られ、ほんのりとしたビターテイストも舌に伝わってきましたが、実質的には無味無臭と言っても差し支えないほど味・匂いともにアッサリとしたものでした。
こちらの温泉では、湧出温度46℃の源泉を加水によって冷ましているためか、上述のように加水されていない(と思われる)高温風呂のお湯が最もコンディションが良く、露天主浴槽がそれに次いで良い状態でした。特にこの2浴槽に関しては、湯中で薄い泡つきが見られ、味や匂いなどの知覚的特徴も、弱いながらはっきりと現れていました。一方、どの浴槽においても湯中ではアルカリ性泉らしいツルスベ浴感が肌に伝わって来るのですが、面白いのは湯中よりも湯上がり後の方がツルスベが強く感じられること。お湯が肌に何らかの力を与えているのでしょうか。特にここのお湯は炭酸イオンやメタケイ酸が比較的多いので、それらが影響しているのかもしれません。
廉価なのに源泉かけ流しの温泉と広い露天風呂に入れるという、実にコストパフォーマンスに優れた温泉銭湯でした。


アルカリ性単純温泉 46.7℃ pH8.76 溶存物質0.536g/kg 成分総計0.536g/kg
Na+:130.0mg(97.41mval%),
Cl-:134.4mg(68.04mval%), Br-:0.3mg, HCO3-:35.7mg(10.59mval%), CO3--:26.7mg(15.98mval%),
H2SiO3:189.5mg,
(平成21年10月20日)

青森県十和田市三本木字千歳森391-4  地図
0176-24-1141
ホームページ

6:00〜22:00
380円
ロッカー(100円リターン式)・ドライヤー(有料10円/3分)あり、石鹸など番台で販売あり(備え付けなし)

私の好み:★★
コメント (3)
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ガルングン火山 後編 野天風呂

2017年03月28日 | インドネシア
前回記事「ガルングン火山 前編 火口見物」の続編です。

かつて飛行機のエンジンを止めたほど激しく噴火したガルングン火山の火口を見学した後は、火山の優しい側面である温泉の恵みを享受すべく、山を下りて温泉エリアへ向かうことにしました。


 
火口側の駐車場から坂道を下って公園ゲート前まで戻り、ゲート目の前の分岐を左折すると、間も無く駐車場と屋台街が現れました。どうやらこの駐車場周辺が、温泉エリアの中心部のようです。


 
駐車場の近くには子供向けのプールが複数あり、ちびっこ達が歓声を上げて水遊びに興じていました。そんな子供たちを横に見ながら・・・


 
屋台街の中に立つ"Wisata Perhutani"と書かれた看板のところから山側の路地に入り、未舗装の屋台街を歩いて行くと・・・


 
左or上画像に写っている門を通過し、小径は小川に沿って伸びるようになります。この周辺には子供向けのプールや個室風呂などがいくつか見られました。


 
川を遡るようにして、屋台が立ち並ぶ小径を奥へ奥へ進んで行くと、途中に川の水が澱んでいるところがあり、そこでマンディ(沐浴)している男性を発見しました。男性はパイプから落ちている温泉のお湯を浴びているようです。この渓流では、川に沿って数百メートルにわたり温泉が無数に自噴しており、あちこちで湧いた温泉をこのように配管に集めているんですね。淀んでいる川の水に触れてみますと、ちょっとぬるく、明らかに温泉が流れ込んでいることがわかりますが、まだ道は奥へ続いていますので、もっと上流の方へ行ってみましょう。


 
奥へ進んでも屋台が続きます。そして屋台の裏手には立派なプールが設けられていました。



川沿いの小径を進んで行くと、途中に上画像のようなゲートが立ちはだかりました。ここから先は入園料が必要のようです。窓口でRp10,000を支払い、ゲートをくぐります。


 
有料ゾーンの渓流沿いには、いくつもの温泉浴槽が設けられており、好みの浴槽を自由に利用することができます。


 
渓流の上には、方々から温泉のパイプが伸びており、打たせ湯が楽しめるようになっていました。川沿いの設置されている浴槽のお湯は、上流へ行けば行くほど温度が上がっていくようなので、私はさらに川を遡ることに。


 
おそらく最も上流側に設置されていると思われる露天風呂にたどり着きました。石で組まれコンクリで縁取られている浴槽には、湯口から無色透明なお湯が絶え間なく注がれていました。


 

湯口から吐出されるお湯の配管を遡ってみると、周辺に点在する源泉から湯つぼに一旦集められ、それから浴槽へと供給されていることがわかりました。その湯つぼはコンクリの小さな浴槽で、渓流の崖下に設けられており、綺麗に済んだお湯が貯められています。温度は42.3℃で、pH値は7.07。テイスティングしてみますと、薄い塩味と土類味、そして少々の芒硝感が得られました。薄い塩化土類泉といったところでしょうか。


 

お湯の素性をひと通り確認したところで、水着に着替えて実際に入浴してみることに。浴槽の底が砂地なので、お湯を動かすと少々の砂が舞い上がって濁ってしまうのですが、湯嵩も湯加減もまずまずで、なかなか良い湯じゃありませんか。満足です。
なおこの浴槽の温度は42.0℃。全てを調べたわけではありませんが、川沿いに複数設けられている浴槽の中でも、私が入ったこの浴槽が最も熱い浴槽ではなかったかと思います。


 
浴槽の上流側には、川が堰き止められてちょっとした淀みができており、そこにもマンディ用のパイプが伸びていました。パイプから吐出される温泉の温度は46.1℃という高温なので、人によってはその熱さに驚き、飛び上がって逃げていましたが、中には澄ました顔で頭から浴び続ける強者もいたので・・・



私も熱いお湯に打たれてみました。流れが細いためか、意外にもさほど熱く感じられず、むしろ肩や首筋のツボに当てると、まるでお灸をしているような感じで気持ち良かったですよ。


 
淀みから川に入って上流へ歩いて行くと、上流に向かって左側、つまり川の右岸で、人が集まってワイワイ賑やかに楽しんでいる箇所に遭遇。そこでは温泉が崖を滴り落ちており、温泉の成分がこびりついて、崖が白く染まっていました。そして崖の下がえぐれており、その中に入ると、ちょっとした温泉ミストサウナになっていたのでした。


 
さらに川を遡ると、沢の上で白い湯気が上がっている箇所を発見。近づいてみると、ここにも温泉の管が伸びており、座って打たせ湯ができるようになっていました。沢水が加わっていない源泉100%だからか、吐出されるお湯はちょっと熱めでしたが、湯量が多くて鮮度感抜群。熱帯の緑と渓流に抱かれながらのワイルドな打たせ湯はとても気持ち良く、いつまでもここで浴びていたかったほど、素晴らしいお湯でした。
川に沿って温泉が自噴する源泉が帯状に長く続くこのガルングン温泉は、お湯の質といい、ロケーションといい、北海道の然別峡野湯群を彷彿とさせます。時として荒々しい姿を現わすガルングン火山も、普段はこのように穏やかで温かい恵みを我々に与えてくれるのですね。


 
後ろ髪を引かれる思いで温泉ゾーンを去り、駐車場エリアに戻った後は、立ち並ぶ屋台の一軒でちょっと遅めのランチをとりました。注文したのはミーバソ。妙にでかいミートボールが印象的ですが、結構美味しかったですよ。

今回の記事をアップすることで、私が抱えているインドネシアの温泉ネタおよび旅行記は、全体の3分の2までを消化することができました。さらに続けて一気に全部を出そうかと考えたのですが、拙ブログは国内記事の需要が多いようですので、インドネシア関係記事はここで再び小休止し、次回から日本国内(青森県)へ戻ります。そして一ヶ月後を目処に、インドネシア温泉旅行記の残りを取り上げさせていただきます。




私の好み:★★★

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ガルングン火山 前編 火口見物

2017年03月27日 | インドネシア
※今回の記事に温泉は登場しません。あしからず。

西ジャワのガルッ近郊に位置するチパナス温泉で一晩を過ごした翌日。私はそこから更に東へ進んで、ジャワ島に数多聳える火山の一つであるガルングン山(Gunung Galunggung)へ向かいました。


 
チパナス温泉からガルッの市街地を抜け、車でひたすら東進します。
車窓には美しい棚田が延々と続きます。その麗しい景色の連続に心を奪われ、思わず車の窓から半身を乗り出して、何度もカメラのシャッターを切ってしまいました。



やがて田園景色の彼方にガルングン山の雄姿が見えてきました。


 
幹線道路の路傍に立つ「ガルングン」の看板の角で左折。看板によればここから山まで4kmとのこと。道の先には頂上部が雲に隠れたガルングン山が聳えていますが、先ほどよりもかなり近づき、俄然迫力を増してきました。なお看板に書かれている"kawasan wasita"とは、英語に訳すと"Tourist area"という意味なんだそうです。またこの看板の左側には非常口に描かれるようなピクトグラムが表示されていますが、これはおそらくガルングン山が噴火した時の避難経路(方向)を示しているのでしょうね。


 
道の先にはゲートが立っており、ここから先の公園内へ入るには入場料を支払います。ゲートで徴収された金額はRp15,000。法外に高い外国人料金(Rp300,000!!)を設定しているバンドゥン近郊のタンクバンプラフよりはるかに良心的な金額に、ホッと胸を撫で下ろしました。
このゲートのすぐ先で道が二又に分かれており、左の坂道を登ると火口へ、右へ進むと温泉へ行くことができます。温泉は後でゆっくり入ることにして、まずは火口を見学することにしました。荒れた舗装路の急坂を登ってゆくと、やがて広い駐車場にたどり着きます。


 

駐車場で車を降りた後は、火口の上まで真っ直ぐ伸びる高低差315m・620段の階段を、自分の足で一気に上がって行きます。さぁ、気合を入れて登るぞ!


 
中程の踊り場で息を整えつつ、登ってきた階段を振り返ると、素晴らしい景色が広がっていました。


 
途中でバテて項垂れている人たちを尻目に、軽快に登ること9分で、てっぺんへ到達しました!
登りきったところから、いま登ってきた階段を振り返った景色が右or下の画像です。スタート地点が小さな点に見えるほど、とてつもなく長い階段であることを実感できます。


 
まずは火山の外側を俯瞰。山の裾野に果てしなく緑の大地が広がっており、そのあまりに雄大な景色に言葉を失ってしまいました。


 
体の向きを180度かえて、今度は火口の内部を展望。ガルングン山の山頂はカルデラ湖になっており、現在水を湛えているこの湖は1982年に発生した噴火の際に生まれたものなんだそうです。その時の噴火はブリティッシュエアの飛行機エンジン故障事故を引き起こしたとして、火山研究の世界や航空業界の方々にとっては有名なんだとか。


 
カルデラの外輪山上には、所々で屋台が設けられており、簡単な飲料やお菓子などを買うことができます。また外輪山を一周することもできるんだそうですが、今回は一周せず・・・


 
トカゲに見送られながら、階段で火口湖へ降りてみることにしました。この階段がかなり急で、しかもひとつひとつの段差が大きいため、下りでは膝が笑い、戻りの登りでは腰が苦悶の悲鳴をあげていました。


 
400段近く下った先で、火口湖の岸に到着です。礫の岸では湖水が静かに波を打っており、傍にはその湖水の山の外側へ排水する設備があって、大きな排水口から音を立てて吸い込まれていました。火口の反対側には滝が落ちており、そこから流れてくる水が湖に湛えられているのでしょうけど、藻類が繁殖して緑色に濁ったこの湖水は、あまり綺麗とは言えません。しかも小さな岸以外に足を伸ばせる場所はなく、完全な行き止まりとなっていたのでした。火口湖を周回するつもりだったのですが、そんな願いもかなわず、下ってきた階段をむなしく登り返し、外輪山の上まで戻ってきたときには、全身汗だくになっていたのでした。

さて汗まみれになり、ヘトヘトに疲れたところで、いよいよお目当の温泉へと参りましょう。

次回記事(後編)に続く。
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チパナス温泉 サブダ・アラム

2017年03月25日 | インドネシア
 
チパナス温泉では、第一希望だった「スンベル・アラム」の予約が取れなかったため、当日オンライン予約が可能だった「サブダアラム」というホテルに宿泊しました。


 
ホテルの目の前には複数の金融機関が設置しているATMコーナーがあり、どの機器もCIRRUSやPLUSに対応しているので、お金の心配は無用。ホテル前の通りには商店や屋台も並んでいるので、買い物や軽食などにも困りません。そうした商店の前では、馬車タクシーも待機しており、観光地らしい風情を漂わせていました。


●プールなど
 
ホテルとしてはリーズナブルな中規模リゾートといったところ。中央に据えられた温泉プールを囲むように、宿泊棟やロッジが立ち並んでいます。


  
夜のプールはライティングが綺麗。当然ながら宿泊客は自由に利用できますから、私もこのプールに入ってみました。温泉と思しきお湯がブレンドされたこのプールは、30℃くらいのぬるい設定。赤道直下とはいえ、深夜になると涼しくなり、長袖を1枚羽織らないと肌寒いほどだったので、このぬるいプールに一度入ると出られなくなってしまい、体を温めるためこのプールで1kmほどしっかりと泳いでしまいました。そんな私を、プールサイドで水遊びをしていたファミリーが「なんだこいつ、マジに泳いでるよ」と言わんばかりの呆然とした表情見つめており、その視線に気づいた瞬間、こんなところまで来て真剣に泳いでしまった自分がちょっと恥ずかしくなっちゃいました。


 
プールサイドにはサウナルームやスポーツジムがあるほか、天蓋付きの大きなソファーも用意されており、館内で採用されているファブリックもなかなか小洒落ていました。ホテルの設備としては標準的と言えるでしょう。


 
 
翌朝はプールサイドでバッフェ式の朝食。ナシゴレンやミーゴレンといったご当地お馴染みの料理の他、インドネシアらしい脂っこい揚げ物が多く、胃弱な私にはちょっとツラかったので、お粥をメインにしていただきました。


 
朝食をいただいていると、上空の雲が徐々に晴れ、プールの向こうに聳えるチクライ山を眺めることができました。ご飯はいまいちでも、この綺麗な山容を目にできただけで、精神的には十分お腹いっぱいです。


●客室

さて、続いては実際に一晩を過ごした客室について。
私は通されたのは2階の1室。部屋としてはごくごく普通です。テレビ・冷蔵庫・エアコンなどひと通りの家電類は用意されており、wifiも使えましたが、ドライヤーやセキュリティボックスなどは見当たりませんでした。経年劣化なのかいろんなところが草臥れており、日が暮れると天井やバスルームの方からキューキューとヤモリの鳴き声が聞こえてきました。ま、ヤモリ程度はご愛嬌で済みますが、窓にも隙間が多く、表通りを往来する車の音や人の声がまる聞こえだったのには、ちょっと閉口しました。


 
バスタブと洗面台・トイレがワンセットになっているバスルーム。もちろんシャワーありますよ。


 
温泉地のホテルですから、バスタブの蛇口を開けて出てくるお湯は温泉です(スタッフにも確認しました)。お湯は出し放題なので、湯船からザバザバとオーバーフローするまでお湯を出し続けたのですが、ここで予想外の事態が発生。というのも、バスルームの排水口には、駅の小便器にあるようなトイレ用の芳香ボールが置かれており、これがオーバーフローのお湯によって溶け出すことにより、強い芳香剤の臭いを放ち始めたのです。おかげでバスルームは便所臭くなり、温泉を楽しめるような雰囲気が台無しに。
仕方ないので、一旦お湯を抜いてボールを除去し、ドアや窓を全開にして換気してから、再度お湯を張り直したのですが、まさかこんなトラップが仕掛けられているとは予想だにしませんでした。それだけ下水が臭いということなのかな。


 
蛇口から出てくるお湯の温度は37.3℃でpH値は6.78。無色透明で無味無臭ながら、わずかに石膏っぽい感覚があったような無かったような…。でも正直なところ、掴みどころに欠ける没個性のお湯でした。温泉街の中心部から離れているため、引湯距離も長くなり、それに伴ってお湯の温度や個性も低下してしまうのかもしれませんが、せっかく温泉街の宿に泊まって、お湯を独り占めできたのに、肝心のお湯に力がなく、それでいて、そこそこの(決して安くない)料金設定だったため、総じて残念な印象しか残りませんでした。
海外の温泉地で宿泊する場合は、宿選びを慎重にしないと、いいお湯に巡り会えないのかもしれませんね。





私の好み:★+0.5
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