温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

養老温泉 ゆせんの里 ホテルなでしこ 後半「みのり乃湯」

2021年03月09日 | 岐阜県
(2020年2月訪問)
前回記事の続編です。前回記事では岐阜県養老温泉の「温熱療法館」にある「紫雲の湯」を取り上げましたが、今回記事では日帰り入浴客でも入館料だけで利用できる「みのり乃湯」をご紹介します。


日帰り入浴の場合はこちらから入館しますが・・・


宿泊客の場合は、ホテルのフロントから案内表示に従って連絡通路を歩いてゆくと、いきなり浴場の暖簾の前にたどり着くことができました。なお前回記事で「紫雲の湯」を利用するときにはホテルのフロントで更衣室のロッカーキーを受け取ると説明しましたが、「みのり乃湯」を利用する際にも同様にホテルのフロントでロッカーキーを受け取ります(たしかそのように記憶していますが、間違っていたらごめんなさい)。


出入口に掛かる暖簾の前にはなぜかビリケンさんが鎮座していました。縁起物ですから、しっかり撫でてから更衣室へ向かいました。脱衣室は広くて使い勝手もまずまず。


内湯は広く明るくて開放的です。私は朝一番に利用したのですが、他にお客さんもおらず、ほぼ独占状態でのびのびと湯あみすることができました。


室内には2種類の温浴槽のほか、世のオジサマが大好きなサウナや水風呂も設置されています。
洗い場は入口付近と中央付近の二手に分かれて配置されており、シャワー付きカランが計14基並んでいました。また出入口付近には立って使うシャワーも2基設置されています。もちろんアメニティ類も完備です。


内湯にある2種類の温泉浴槽はいずれも約5m×2.5mサイズで、内部はタイル張りですが縁には木材が採用されています。この2種の浴槽のうち、男女両浴場を仕切る壁に沿って設けられている右側の浴槽は「高温浴槽」。その名の通り、ちょっぴり熱めの設定です。源泉温度が40℃を下回っているので、加温して浴用に供じているわけです。


一方、左奥に位置する窓下の浴槽は「源泉の湯」と称し、地下1700mから汲み上げた温泉を加温することなく、そのままかけ流しで浴槽へ注いでいます(多少加水しているかも)。これが絶品。程よくぬるい不感温度帯のお湯で、体への負担を気にせずいつまでも長湯でき、私はこの源泉浴槽に時間を忘れて浸かりながら微睡んでしまいました。


露天風呂は南欧をイメージしていると思しき西洋庭園風の設えで、そこそこ広く開放的なのですが、せっかくの雰囲気造りにもかかわらず、頭上を横切る高圧電線が雰囲気を台無しにしており、致し方ないのですが残念なところです。


露天の浴槽はPの字を横に倒したような形状のものが一つ。
加温した源泉が注がれており、内湯の「高温浴槽」より若干ぬるいお湯が張られています。高圧電線さえ目を瞑れば、気持ちよく入浴することができるでしょう。

さてお湯の特徴としては前回記事で紹介した通りであり、一言で表現すれば典型的な化石海水型の温泉です。見た目は深緑色を帯びた山吹色に濁っており、比較的濃い塩味と苦汁味のほか、鉄錆系の金気味と匂いも感じられます。そして湯中では食塩泉的なツルスベとキシキシ浴感が肌に伝わってきます。各浴槽とも放流式の湯使いで、加水や消毒が行われており、「源泉の湯」以外は加温も行われていますが、特に消毒っぽさは感じられず、快適に入浴することができました。塩分の強いお湯ですので、迂闊に長湯すると強烈に火照りますから、あまり長湯しないよう気をつけましょう。
どの浴槽も十分に気持ちよいのですが、やはり内湯の「源泉の湯」がひとつ頭抜けて秀でており、前回記事で取り上げた「紫雲の湯」を含めても「源泉の湯」が素晴らしいように思います。温泉マニアでも特に質感にこだわる方は、この「源泉の湯」だけ入れば十分かもしれません。


敷地の端っこにあった上画像の機器類は、おそらく源泉設備でしょう。温泉不毛と思われる地域で、こんな素晴らしい温泉に入れるとは実に意外。自家源泉のお湯をかけ流している、利用価値の高い温泉施設でした。


養老温泉2号泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 40.7℃ pH7.4 500L/min(動力揚湯/掘削1700m) 溶存物質8.326g/kg 成分総計8.349g/kg
Na+:1729mg(52.82mval%), NH4+:2.0mg, Mg++:170.6mg(9.86mval%), Ca++:1040mg(36.45mval%), Fe++:2.7mg,
Cl-:4792mg(94.35mval%), Br-:18.3mg, I-:5.2mg, HCO3-:476.0mg,
H2SiO3:44.6mg, CO2:22.4mg,
(平成30年8月28日)
加水・加温・消毒あり
(分析表にpHの記載が無かったため、pHのみ公式サイト掲載の情報を転載しました)

岐阜県養老郡養老町押越1522-1
0584-34-1313
ホームページ

8:00~22:00
平日720円、土休日820円
(養老汗蒸幕・紫雲の湯1230円)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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養老温泉 ゆせんの里 ホテルなでしこ 前半「紫雲の湯」

2021年03月05日 | 岐阜県
(2020年2月訪問)
一見すると温泉資源が乏しそうな濃尾平野にも、よく調べるとなかなか良質な温泉が点在しており、意外なところで意外な良泉に出会えるといつも以上に嬉しいものです。今回はそんな濃尾平野の西の端、ちょうど平野が養老山地に当たって尽きる辺りに湧く、岐阜県養老町の養老温泉を訪ねます。


養老山地の麓、濃尾平野の西端に位置する養老温泉は、日帰り温泉浴場とホテルが別棟ながら一体的になっている、なかなか規模の大きな施設です。上画像は日帰り温泉施設「ゆせんの里」の玄関ですが・・・


今回は宿泊で利用したため、その裏手にある「ホテルなでしこ」へ廻り、ホテルのエントランスから中へとお邪魔しました。


てっきり客室はフロントやお風呂などがある建物に含まれているのかと思いきや、チェックイン時に説明を受けた客室の場所は、建物の裏手から一旦屋外に出て、中庭を囲むように建ち並ぶメゾネット形式の宿泊棟群でした。一見小洒落ているのですが、まだ朝晩強く冷え込む2月下旬に利用したため、お風呂や朝食で本館へ移動する際には、その都度寒い思いをしてチョッピリ辛かったかも…。

なお客室は南欧をイメージしているそうですが、基本的には普通のホテルそのものであり、快適に過ごすことができました。強いて言えばベッドがちょっと狭かったかも。なお室内にはユニットバスが設置されていますが、水栓から出て来るのはごく普通のお湯ですから、温泉に入りたければ温泉浴場へ移動しましょう。

さて養老温泉には大浴場「みのり乃湯」、内風呂「紫雲の湯」、貸切風呂という3種類のお風呂があるのですが、このうち大浴場「みのり乃湯」、内風呂「紫雲の湯」を利用しましたので、この2浴場についてレポートします。

●紫雲の湯
日帰り入浴客は大浴場「みのり乃湯」を使うことになるかと思いますが、追加料金を支払うことで別棟「温熱療法館」の温浴施設も利用可能になります。具体的には韓国でおなじみのチムジルバンと内風呂「紫雲の湯」です。宿泊客はこうした「温熱療法館」の施設が追加料金不要で利用することができるのですが、チェックインの時間が遅く、チムジルバンの営業時間に間に合わなかったため、今回記事では「紫雲の湯」のみを取り上げます。


上述のように日帰り入浴客が「紫雲の湯」に入る場合は、入館料に加えて所定の追加料金を支払い、連絡通路を進んで「温熱療法館」の2階へ上がります。一方、宿泊客はホテルのフロントで脱衣室のロッカーキーを受け取った上で、同じく「温熱療法館」の2階へ上がります。


脱衣室には「全て源泉かけ流しでございます」という嬉しい文言が掲示されていました。


「紫雲の湯」は男女別の内湯のみ。男湯の場合、浴室に入って左手に洗い場が配置され、右手に浴槽が据えられていいます。また出入口付近にはサウナや立って使うシャワーも設けられています。洗い場にはシャワーが7基並び、それぞれ曇りガラスの仕切り板で区切られています。隣客との干渉を気にせず使えるので良いですね。もちろんボディーソープなどのアメニティ類は完備されています。

浴槽は(目測で)2m×4.5mの長方形で、浴槽内はタイル張りですが縁には太い木材が採用されています。質実剛健な浴槽ながら木材を用いることで見た目と感触の両面でぬくもりや優しさをもたらしています。


私が利用した時、湯口からの投入は絞られていたのですが、その代わり底面から温泉が供給されており、窓側に設けられた縁の切り欠けよりしっかりオーバーフローしていました。
浴槽に張られたお湯は深緑色を帯びながら黄土色に濁っており、比較的濃い塩味と苦汁味、そして鉄錆系の金気味や匂いが感じられました。いわゆる化石海水型の温泉ですね。湯中では食塩泉的なツルスベ浴感とキシキシ引っかかる浴感が拮抗して肌に伝わってきました。湯加減はちょうど良い具合に調整されていましたが、さすがに塩分を多く含む温泉だけあり、湯上り後はいつまでもホコホコと温浴効果が持続しました。
なお館内表示によれば加温加水消毒が行われているようですが、消毒に関しては特に気になりませんでした。

さて、次回記事では露天風呂を擁する大浴場「みのり乃湯」を取り上げます。

次回に続く
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下呂温泉 民宿ラムネ屋

2016年09月10日 | 岐阜県
 
下呂温泉では「民宿ラムネ屋」で一晩お世話になりました。飛騨川右岸の幸田地区にあり、駅から徒歩5分弱という便利な立地です。向かいには公衆浴場「幸乃湯」があり、またかつては県立下呂病院が隣接していましたが、現在は病院が移転したため、跡地は更地になっています。
こちらのお宿は食堂を兼業しているのですが、実際にお宿の前まで近づくと、民宿というより食堂としての存在感が強く、民宿の玄関は建物の左隅で控えめに構えていました。


 
2階建ての建物は、1階が食堂・お風呂など、2階が客室(全7室)となっています。今回通されたお部屋は一人旅向けの6畳間で、入室した時には既に布団が敷かれており、そしてコタツもセッティングされていました。室内にはテレビやエアコンなどが備え付けられているほか、ポットや浴衣などの用意もあり、またWifiも利用可能です。


 
今回は朝食付きのプラン(税込4,850円)でお願いしたので、夕食は温泉街に繰り出して適当に摂ろうと考えていたのですが、湯巡りしているうちにお店選びが面倒臭くなってしまい、結局お宿に戻って1階にある食堂で味噌カツ(別料金)を注文したのでした(左or上画像)。
あくる日の朝食も同じく食堂でいただきます(右or下画像)。5,000円未満というとってもお手頃な価格設定なのに、こんな立派な朝食がいただけるんですよ。お値打ちですよね。



下呂での夜をこちらの宿で過ごそうと決めた理由は、お風呂のお湯が良いと評判だからです。でもお風呂は1室しかありません。このため早い者勝ちの予約制となっており、帳場にある順番表で空いている時間帯を確認し、希望の枠に自分の部屋番号を記入しておくと、その時間になれば宿の方が部屋まで声をかけてくださいます。なお1回の入浴時間は30分で、夜の最終枠は22:30〜23:00となっています。次のお客さんのためにも時間はしっかり守りましょう。なお私が泊まった日は混雑していたため、夜1回と早朝1回の枠を確保するのが精一杯でした。



浴室は一般家庭のお風呂とさほど変わらないコンパクトな空間。浴槽が一つとカランが1基設けられているばかりです。でも扉を開けた瞬間、温泉から漂うタマゴ臭がふんわりと香ってきました。下呂温泉でここまではっきりと浴室内に湯の香が立ち込めているお風呂は、大変珍しいかと思います。


 
広さこそ民家並みですが、足元に鉄平石を敷いたり、石積みの湯口を設けたりと、装飾を凝ることによって温泉宿としての風情を演出していました。特に目を惹くのが、壁一面に貼られた藍絵のタイルです。一枚一枚全て異なった風景が描かれているのですが、これは歌川広重の東海道五十三次をタイルに焼き付けたもの。日本橋の江戸出立から始まり、品川・川崎・神奈川・・・と続いて、京都の三条大橋で締めくくられていました。五十三次+日本橋=54枚ですので、横6列×縦9列でうまい具合に収まるんですね。この絵を見ているだけでも30分が経っちゃいそうです。


 
上述しましたように洗い場のカラン(シャワー付き)は1基のみですが、カランから吐出されるお湯は100%温泉。ローションみたいに滑らかなお湯を頭から思う存分かぶることができるんですよ。



浴槽は1〜2人サイズ。いや、2人はきついかもしれません。でもお湯は完全掛け流し。ちょっと熱めの湯加減でしたが、しっかり湯もみをしたら、加水せずに入ることができました。縁から洗い場へしっかりとお湯がオーバーフローしており、私が湯船に入ったら、浴室内が洪水状態になるほど大量に溢れ出ました。


 
石積みの湯口から配湯されたままの状態の熱いお湯が注がれています。50℃以上で配湯されてくるお湯をそのまま注いでいるので、投入量は絞り気味に設定されていますが、壁にはコックが設けられていますので、これで湯量や加水などを自分の好みに加減することができます(使用後は元に戻しておきましょう)。
お湯は駅前の幸田タンクからの供給を受けたもので、見た目は無色透明、タマゴ感(味と匂い)が弱いながらもしっかりと主張しています。そして特筆すべきは下呂温泉ならではの滑らかな浴感。ヌルヌルを伴うツルツルスベスベな感覚は非常に気持ち良く、トロミを有するお湯はまるでローションのようであり、ここの湯船に浸かれば誰しもが美人肌になっちゃいます。前回記事の「噴泉池」と同じように、集中管理の混合泉とはいえ、手を加えずに供給すれば素晴らしい浴感を味わうことができるのですね。30分の時間制限が恨めしく思えるほど、虜になっていつまでも浸かっていたくなる極上のお湯です。

駅近でリーズナブルであるにもかかわらず、素晴らしい状態のお湯を堪能することができる、非常に印象的なお宿でした。
鉄道旅の方にはもちろん、泉質重視の方にもオススメです。


下呂温泉集中管理源泉混合泉(幸田ポンプ場)
アルカリ性単純温泉 55.5℃(配湯温度) pH9.5 毎分2300L/min(合計) 溶存物質0.345g/kg 成分総計0.345g/kg
Na+:108.9mg(97.53mval%),
F-:16.5mg(17.28mval%), Cl-:75.0mg(42.11mval%), HS-:0.9mg, HCO3-:22.1mg, CO3--:38.6mg(25.63mval%),
H2SiO3:62.9mg,
(平成25年11月25日)
(館内掲示は平成16年のものでしたが、他施設で平成25年のデータがありましたので、ここでは平成25年の数値を掲載します)
加温循環消毒なし
お風呂をためる時に多少の加水を実施

JR高山本線・下呂駅より徒歩5分
岐阜県下呂市幸田1090-3  地図
0576-25-2529
ホームページ

日帰り入浴なし(宿泊のみ)
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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下呂温泉 噴泉池

2016年09月08日 | 岐阜県
 
下呂温泉の温泉街は飛騨川の左右両岸に広がっており、その両岸を結ぶ「いで湯大橋」の上に立つと、川に沿って旅館が建ち並ぶ温泉街を一望できます。そして橋の下の河原には、下呂温泉名物の開けっぴろげな露天風呂「噴泉池」があり、当地を訪れた観光客が、橋の上から「噴泉池」で湯浴みする人を眺めるのも、下呂温泉ならではの光景のひとつです。この「噴泉池」は単に開けっぴろげの入浴環境が珍しいだけでなく、お湯の質が下呂温泉で最も良いことでも知られています。最も良いお湯なら是非とも入りたいですよね。でも、昼間は人目がありますし、足湯を楽しんでいる方もいらっしゃったので、日が沈むのを待って・・・


 
夜9時に出直して行ってみますと、案の定、誰もいませんでした。そうです。このタイミングを待っていたのでした。絶好の入浴チャンス!
私はすでに水着を履いていたので、その場で服を脱ぎ、海パン一丁で早速入浴させていただきました。
(「噴泉池」では平成22年2月1日から男女とも水着着用が義務付けられているため、私も水着着用で入浴しました)

露天風呂はいわゆる岩風呂ですが、瓢箪のような形状をしており、瓢箪のくびれの部分で二分割されていて、湯口側は適温、湯尻側はぬるくなっていました。私が訪れたのは2016年1月の正月休み。例年ですと真冬の「噴泉池」はぬるすぎて入れないそうですが、皆様ご存知のように昨冬は全国的に暖冬で、この下呂温泉も正月だというのに雪が全く無く、むしろダウンジャケットを纏うと汗ばむような陽気であったため、この「噴泉池」の湯温も下がり過ぎず、ちょうど良い湯加減が保たれていました。
なお「噴泉池」に照明は設置されていませんが、周囲で輝く街灯かりのおかげで、夜でも不自由なく利用できます。そして橋の上から通行人に見られても、夜ならボンヤリしてはっきり視認できませんから、人目を気にする方には夜がオススメです。


 
川の上流側に石積みの湯口があるのですが、現在その湯口は使われておらず、傍から伸びる黒いホースからお湯が吐出されていました。新鮮湯の供給量は温泉街の各宿とは比べものにならないほど多く、言わずもがなの完全掛け流し。お湯からはタマゴ臭がふんわりと香ってきます。見た目は無色透明、薄いながらもしっかりとタマゴ味が感じられ、ヌルヌルを伴うツルスベ浴感が大変強く肌に伝わります。まるでローションの中に浸かっているかのように、トロットロのお湯です。



うひゃー! 最高だぜ。この時の露天風呂は40〜41℃という長湯仕様の湯加減でしたので、後客がやってくるまでの1時間半ほど、ずっとここで湯浴みを続けてしまいました。「名物に旨いものなし」と言いますが、この「噴泉池」はそんな言葉を覆してくれます。実に素晴らしいお湯を楽しむことができました。


 
翌朝、改めて「噴泉池」へ行ってみますと、男性二人がお湯を抜いて清掃していました。関係者の皆さんのおかげで、素晴らしい湯浴みが楽しめるのですね。ありがとうございます。天下の名湯、ここにあり。


温泉分析書掲示なし(アルカリ性単純温泉)(おそらく幸田タンクからの配湯かと思われます)

JR高山本線・下呂駅より徒歩3〜4分
岐阜県下呂市幸田  地図
紹介ページ(下呂温泉観光協会公式サイト内)

通年24時間利用可能(ただし清掃時や河川増水時は入浴不可)
無料
備品類なし(掛け湯用の桶が数個備え付けられています。低い衝立があるものの、着替え用の小屋等はないため、人目を気にする方は着替えポンチョなどを持参するとよいでしょう)
※平成22年2月1日から男女問わず水着着用が義務付けられています

私の好み:★★★
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下呂温泉 睦館

2016年09月07日 | 岐阜県
 
引き続き岐阜県下呂温泉で「湯めぐり手形」を利用しながら旅館のお風呂を巡ってまいります。今回は駅の真裏にあり、列車の旅では至極便利な立地にある温泉旅館「睦館」を訪れます。玄関前のつくばいには温泉の熱いお湯がチョロチョロと注がれていました。



和の趣きに溢れたロビーはとっても雅やか。大手宿泊予約サイトである"Booking.com"では8.7と高評価されており、海外からの旅行者にも人気があるようですが、利用者のコメントによればお食事が美味しいんだそうです。和の風情と食事の良さが高評価に繋がっているのでしょうね。さて私は入浴のみの利用ですが、フロントで手形を呈示し入浴をお願いしますと、すんなりと受け付けてくださいました。


 
ロビー奥のお土産コーナーを抜けた先に浴室の暖簾が掛かっています。館内には日本温泉協会の温泉利用証が掲示されており、これによれば、源泉・泉質の2項目で5点満点、引湯・加水で4点、給排湯方式で3点、新湯注入率で2点と評価されていました。


 
オフホワイトのタイルで張られた浴室は、お庭に面して大きな窓が設けられており、これによって屋内空間ゆえの圧迫感が軽減されています。室内には浴槽が一つ設けられ、2箇所に分かれて配置されている洗い場にはシャワー付きカランが計6基設置されています。


 
浴槽は四角い浴室を襷掛けに切ったような感じで斜めに据えられており、横幅は約5.5m、奥行は窓側の長い辺で約3m、反対側の短い辺で約1.5mとなっていました(いずれも目測)。槽内にはお湯の清らかさが映えるコバルトブルーのタイルが敷き詰められ、それを黒い御影石が縁取っています。浴槽が狭くなる箇所の底面には泡風呂装置と思しきものが埋め込まれていましたが、動いている気配はなく、お湯がチョロチョロと落ちる音だけが響くばかりの、静かで落ち着ける入浴環境が保たれていました。
浴槽の隅っこには湯口が設けられ、お湯が流れる流路はベージュ色に染まっていました。この湯口では上から落としたお湯を下の湯溜まりで一旦冷まし、それから浴槽へ注ぐような仕組みになっているようです。湯口からは(体感で)44〜45℃というちょっと熱めのお湯が出ていたのですが、温度は一定しておらず、時折42℃前後に下がることもありました。またこれとは別に、この湯口の下の浴槽内にも適温のお湯が吐出されている投入口があり、この両者でバランスを取りながら湯加減を調整しているものと思われます。なお浴槽底面には強力にお湯を吸い込む吸引口があり、人が入った瞬間以外に浴槽からお湯がオーバーフローすることはありませんでした。新鮮源泉を投入しつつ循環装置も併用しているものと思われます。
温泉街全体で源泉の集中管理方式を採用している下呂温泉では、湯之島・森地区と幸田地区という2つの配湯系統が存在していますが、こちらのお宿では幸田地区の系統からお湯を受けています。駅のホームから巨大なタンクが見えますが、そのタンクこそ幸田地区の貯湯タンクです。お湯の見た目は無色透明で綺麗に済んでおり、味や匂いはほとんど感じられません。塩素消毒しているそうですが、ほとんど気になりませんでした。その一方、循環の影響なのか、下呂温泉らしいツルスベ浴感がちょっとパワーダウンしているようにも感じられました。


 
前回記事で取り上げた「寿々波」と同様に、こちらお風呂でも、カランから吐出されるお湯は源泉を使っています。あくまで私個人の感想ですが、湯船よりもシャワーのお湯の方が下呂温泉らしい特徴がよく現れており、自分の好みに合っていました。このため今回の湯浴みでは、湯船に浸かるよりも、シャワーのお湯を浴びていた時間の方が長かったかもしれません。

お湯に関しては評価が分かれるかもしれませんが、日本旅館の真髄はもてなし、趣き、そして食事にあるわけですから、お宿の本当の良さを知るには宿泊するほか無さそうですね。口コミで高評価を獲得しているこちらのお宿。駅から至近ですので、鉄道の旅で下呂を訪れる際には重宝しそうです。


下呂温泉集中管理源泉混合泉(幸田ポンプ場)
アルカリ性単純温泉 55.5℃(配湯温度) pH9.5 毎分2300L/min(合計) 溶存物質0.345g/kg 成分総計0.345g/kg
Na+:108.9mg(97.53mval%),
F-:16.5mg(17.28mval%), Cl-:75.0mg(42.11mval%), HS-:0.9mg, HCO3-:22.1mg, CO3--:38.6mg(25.63mval%),
H2SiO3:62.9mg,
(平成25年11月25日)
加温なし
加水あり(源泉温度が高いため地下水を不定期に加水)、循環あり(浴槽内の汚れを除去するため通年使用)、消毒あり(衛生管理のため塩素剤を通年使用)

JR高山本線・下呂駅より徒歩2分
岐阜県下呂市幸田1167-1  地図
0576-25-3100
ホームページ

湯めぐり手形利用可能時間12:00〜15:00、18:00〜20:00
現金での日帰り入浴に関しては施設へ直接お問い合わせを。
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★+0.5
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