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今回は岩手県八幡平市の旧西根町エリアにある「おらほの温泉」を取り上げます。尖塔のようなトンガリ屋根が目立つこの大きな建物は、かつて「ゲンデルランド」と称する健康ランド兼宿泊施設でしたが、一旦閉鎖された後、現在の名前で日帰り温泉入浴施設として再スタートすることになり、以前の洋風な名前から一変して「おらほ」という東北方言を名乗るようになりました。施設のほとんどは「ゲンデルランド」時代のものをそのまま流用しているらしく、当時のままの無駄に広い駐車場に車をとめて館内へとお邪魔します。
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券売機で料金を支払い、チケットを受付に提示すると、スタッフの方はチケットにスタンプが捺して私の手元に戻してくれました。旧「ゲンデルランド」の名称から想像できるように、館内はひと昔前のメルヘンチックな造作になっており、なぜかフランス国旗が掲げられていたり、不思議な絵画が飾られている一方で、地場産の農産物が販売されていたり、昭和のグッズを陳列したコーナーがあったりと、田舎臭さを意図的に演出しており、統一性に欠けるプチカオスな館内は、自らすすんでB級感を纏っているようです。
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リゾートホテルのスパを彷彿とさせる浴室入口の奥には、浴場内にある各浴槽の温度が掲示されていました。温度はこまめにチェックされており、私は入室する際には上画像の温度だったのですが、退出する時には両浴槽とも44℃に貼り替えられていました。
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脱衣室に足を踏み入れてびっくり。あまりに広くてスペースを持て余しているではありませんか。脱衣室というより会議室のようでもあり、奥の余剰空間には卓球台やバランスボールなどスポーツグッズや各種健康器具が置かれていましたが、この部分って以前は何か別の用途に使われていたのでしょうか。とはいえ、室内が綺麗に保たれていたり、洗面台付近に飲用水が用意されていたりと、入浴施設としてのサービスにぬかりありません。
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浴場内も大変広々しており、大きな窓のおかげもあって開放的ですらあります。以前の「ゲンデルランド」時代の湯使いは存じ上げませんが、「おらほの温泉」として再起するに当たっては源泉掛け流しを目指したため、以前の浴場をそのまま流用しつつも、一部の浴槽は使用せず空っぽのままになっていました(右or下画像)。全部の浴槽にお湯を張ろうとすると、限られた源泉のお湯を循環させたり加水したりしなくてはいけないのでしょうね。
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窓の外には岩手山が聳えていました。何度見てもこの山は壮観ですね。一方、窓とは逆方向の壁を見ますと、そこに取り付けられている照明には某キャラクターのネットが被せられており、旧施設時代のメルヘンチックな感じが中途半端に残っていました。
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窓外に聳える岩手山を少しでも間近に屋外で眺めたいものですが、以前は露天風呂があったスペースも現在は閉鎖されており、空っぽの岩風呂の残骸が残っているばかりで屋外に出ることはできません。でも、後述するように、使用する浴槽を2つに絞った英断が湯使いの良さを実現させているので、お湯の質を重視する温泉ファンの御仁にとって、この露天風呂の閉鎖はむしろ歓迎すべきことなのかもしれません。
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主浴槽「大沼の湯」には柱に括り付けられた投入口からお湯がドバドバと落とされており、専用の排水口(目皿)や隣接する空っぽの未使用浴槽へお湯が排出されていました。浴槽内で循環されているような様子は見られなかったので、純然たる掛け流しの湯使いで間違いないものと思われます。また、浴槽のサイズは失念しましたが、かなり大きく、20人近くは余裕で同時入浴できるかと推測されます。浴槽の容量が大きいにもかかわらず、お湯の投入量が多いためか、投入されたお湯は冷めにくい状態が維持され、源泉54℃の対して湯船の温度は44℃とちょっと熱い湯加減となっていました。
なおこの「大沼の湯」の隣(窓に向かって左側)には打たせ湯が3本あるのですが、こちらも現在は使用停止です。
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檜風呂「吉乃の湯」は八角形の浴槽。濾材が巻かれた湯口から「大沼の湯」と同じ源泉が注がれているのですが、こちらは投入量がやや少ないためか、大きな浴槽よりも若干入りやすい温度に落ち着いていました。
さてこちらで用いられているお湯に関してですが、見た目は無色透明で、ゆで卵の卵黄のような匂いと味がはっきりと感じられ、薄い塩味や弱い芒硝感も伴っています。食塩・重曹・炭酸イオンという諸要素の影響なのか、ツルツルスベスベの滑らかな浴感がとても気持ちよく、この3要素が浴感の主役として表に現れてるのですが、その裏では硫酸塩も存在感を主張しており、じっくり湯浴みしていると肌に少々の引っ掛かりも得られました。一浴するだけでいろんな泉質の特徴を味わえる面白いお湯です。また、とてもよく温まるお湯でもあり、湯上がりには汗が引かず、いつまでもホコホコし続けました。
現在の「おらほの温泉」として再出発するに際し、露天風呂を含む旧施設時代のお風呂の半分以上を使用停止にして、男女両浴室とも使用浴槽を内湯の大小1つずつに絞ったわけですが、温泉というものは湧出する量が限られているのですから、お湯のクオリティを重視しようとすれば、このような措置は致し方ないことであり、むしろ温泉を大切にする施設側の英断ではないかと思われます。
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再出発後の「おらほの温泉」では宿泊営業を取りやめ、日帰り入浴をメインに営業していますが、同時に食堂やパークゴルフ場なども運営しており、パークゴルフ場では岩手山を望みながらのプレーができます。私は湯上がりにスタッフの方へ声をかけて、ゴルフ場内を軽く散策させていただきました。
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敷地内には「ゲンデルランド」時代の建物がまだ残っており、その側面に掲示されている錆びた看板は、かつてここでみちのくプロレスの興行が開催されていたことを物語っていました。この廃墟のような建物の前には人の気配が全くないバス停があり、その中に並ぶ2番乗り場には東京行の文字が記されていたのですが、てっきりこのバス停も廃墟で使われていないものと思いきや、スマホで調べてみたら、今でも東京〜久慈間の高速バスが停車するバス停として現役なんだそうです。
旧「ゲンデルランド」は、当時の親会社である岩手県北バスが西根営業所内で温泉を掘り当てたことによって開業した温泉レジャー施設であり、ドイツかオランダあたりの言葉を連想させる「ゲンデル」という名前も、実は「元気が出る温泉」という日本語を縮めて命名したんだとか。ネーミングセンスのダサさには戦慄を覚えますが、しかし岩手県北バスが会社更生法を申請したことに伴って「ゲンデルランド」は閉鎖に追い込まれ、その数年後に従業員だった方々によって、現在の形で再出発したんだそうです。つまり、この施設の前に立派なバス停が残っているのは、かつての資本関係の名残と言えそうです。
期待ハズレを予感させる外観やB級感の強い館内とは裏腹に、浴場の温泉はいろんな泉質の特徴を一度に味わえ、しかもその温泉が掛け流されているのですから、良質で実力派の温泉施設と言えるでしょう。正直なところ、あまり期待しないで訪れたのですが、良い意味で想像を裏切られ、わざわざ訪れて良かったと満足しました。
宝の湯
含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩・炭酸水素塩温泉 54.2℃ pH8.4 溶存物質1.566g/kg 成分総計1.566g/kg
Na+:489.4mg(93.58mval%),
Cl-:384.3mg(48.46mval%), Br-:1.0mg, I-:0.9mg, HS-:3.9mg, S2O3--:8.4mg, SO4--:253.0mg(23.56mval%), HCO3-:303.3mg(22.22mval%), CO3--:24.3mg,
H2SiO3:36.8mg, HBO2:22.2mg, H2S:0.2mg,
(平成22年10月12日)
加水加温循環消毒なし
盛岡駅より岩手県北バスの大更・八幡平温泉郷・松川温泉方面行で「おらほの温泉」下車すぐ
岩手県八幡平市大更18-88-208 地図
0195-75-1515
ホームページ
10:00〜22:00(入場21:00まで)
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★