温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

インドネシアの目次

2017年06月07日 | インドネシア
2017.6.7作成


現在当ブログで記事にしてきたインドネシアの温泉を一覧にしました。一部に旅行記など温泉とは関係の無い内容も含まれます。



●ジャカルタおよびボゴール周辺
ボゴール郊外 ティルタサニタ温泉群 ティルタサニタ公園
ボゴール郊外 ティルタサニタ温泉群 グヌン・パンジャン
ボゴール郊外 ティルタサニタ温泉群 グヌン・プヤッ
パンチャール山温泉群 ギリティルタ・ホットスプリングリゾート
パンチャール山温泉群 カワ・メラ温泉
スカブミ県プラブハンラトゥ チソロック噴泉
スカブミ県プラブハンラトゥ チソロック温泉プール
サラク山麓 チガメア温泉
サラク山麓 マラン山村温泉

バスウェイに乗ってジャカルタの街をササッと観光
ジャカルタで活躍する東京の通勤電車

●バンドゥン周辺
バンドゥン南部 パトハ山麓 火口湖カワ・プティ
バンドゥン南部 パトハ山麓 レンガニス地獄の野天風呂
バンドゥン南部 パトハ山麓 ワリニ温泉
タンクバンプラフ山とチアトル温泉「サリ・アテル」
チアトル温泉 グラシア・スパ
チパナス温泉 スンベル・アラム
チパナス温泉 共同浴場
チパナス温泉 サブダ・アラム
ガルングン火山
 前編 火口見物
 後編 野天風呂

ジャワ島を鉄道で横断
 その1(バンドゥンで"Argo Wilis"号に乗車)
 その2("Argo Wilis"号でスラバヤへ)
 その3("Mutiara Timur"号でバニュワンギへ)
 その4(バニュワンギからフェリーでバリ島へ)

●バリ島
ミンピリゾート・ムンジャンガン
 その1(客室・屋外温泉風呂)
 その2(食事・パブリックプール&温泉)
 その3(シュノーケリング)
バリ島西部 バニュウエダン温泉
タバナン地区 アンスリ温泉
タバナン地区 イエ・パナス温泉 ESPA Hot Springs Resort
バトゥール湖畔 トヤ・ブンカ村営 Batur Natural Hot Spring


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バリ島タバナン地区 イエ・パナス温泉 ESPA Hot Springs Resort

2017年05月17日 | インドネシア
バリ島での温泉巡りは、タバナン地区のイエ・パナス温泉"ESPA Hot Springs Resort"で締めくくることにしました。

 
窓を全開にして青い稲の風を顔に受けながら、タバナン地区に広がる麗しい棚田の中を爽快にドライブ。


 
道路が大きくカーブする付近の路傍に温泉名が書かれた看板を発見しました。目的地まであと僅かのようです。看板が指し示す方向へ未舗装路を進むと・・・


 
割れ門の先が温泉リゾートになっていました。レンタカーは駐車場でお留守番です。


 
リゾートと名乗っていますから、ここでは宿泊もできるのでしょうけど、私は数時間後にデンパサール空港から飛行機に乗らなければならなかったため、今回は日帰り入浴で利用しました。レセプションで入浴したい旨を伝えると、屋外のプールと貸切風呂の2種類があるらしく、私が値段を訊いたところ、スタッフはちょっと考えた後にそれぞれの金額を教えてくれました。料金なんてはじめから決まっているのに、なぜ返答する際に考える必要があるのでしょうか。外国人である私を見て、金額を吹っかけようとしていたのかな…。ま、ここで躊躇しても仕方がないので、ちょっと高めでしたが貸切風呂をチョイスすることにしました。


 
レセプションの脇にはいくつも貸切風呂が並んでいましたので、その中から空いているところを使わせてもらうことに。


 
私が入った貸切露天風呂はこんな感じ。左右と通路側こそコンクリの壁ですが、目の前を流れる川に対してはオープンな作りになっており、トロピカルな植物にも彩られ、開放感でなかなか良い雰囲気です。


 
露天風呂のど真ん中にテーブル付きの屋根と半円形の土台が出っ張っているため、その分入浴できるスペースが狭くなっているのが玉に瑕。ひとつひとつの区画はそれなりの広さがあるのですが、おそらくこの湯船では3〜4人が限界ではないでしょうか。
隅っこにはシャワーが設けられていますが、排水はそのまま目の前の川へ流されるため、シャンプー類など使用は禁止されています。



湯口における吐出温度は39.3℃で、湯船では緑色掛かった黄土色に強く濁っており、透明度は(目測で)20〜30cmでした。温泉に含まれる鉄分の影響で、湯面には酸化皮膜(油膜みたいに光っているもの)が浮いていました。


 
湯船は38.8℃ですから、一見するとぬるそうに思っちゃいますが、日中は気温が高いため、むしろこの程度がちょうど良い湯加減なのであります。なおpH値は6.76でした。お湯からは鉄錆的な金気の味や匂いがはっきりと感じられる他、甘塩味やほろ苦味、土類感、そしてしっかりとした炭酸味も伝わってきました。また湯中ではキシキシと引っかかる浴感があり、肌のシワ一本一本にお湯の成分が入るこんでくるような感覚が得られました。こうした特徴は前々回の記事で取り上げたアンスリ温泉に似ていますので、タバナン地区に湧出する温泉は、金気が多くてすぐ緑色に濁ってしまう重炭酸土類泉か塩化土類泉が多い傾向にあるのでしょう。



実際に入浴してみました。なかなか良い湯です。しかも貸切なので水着は不要。川のせせらぎを聞きながらの湯浴みは実に爽快。ゆっくりのんびり寛げます。泉質由来の温浴効果が強いからなのか、ぬるめのお湯なのにしっかりと温まり、湯上がりはしばらく汗が止まりませんでした。本当は飛行機に間に合う時間ギリギリまでゆっくり過ごしたかったのですが、運が悪いことに空から雨粒が落ち始め、やがて本降りになってしまったので、止むを得ず途中で湯船から上がらざるを得ませんでした。もう少し長く浸かっていたかったなぁ。


 
雨脚が弱くなったところで、水着着用のパブリック温泉プールと普通のプールも見学することに。温泉プールはバスクリンを大量投入したような緑色に強く濁っており、今すぐにでもドリフのコントができそうな感じ。実際に入っている人はいましたが、湯鈍りを起こしているのは明らかであったので、私は遠慮させていただきました。


 
川岸には日本人好みしそうな露天風呂もありましたよ。



敷地奥の斜面にはもっと広い貸切露天風呂もいくつか並んでいました。
こちらの温泉はぱっと見たところ、外国人観光客が主な利用客層のようでした。都市部の喧騒から隔絶された静かな立地ですし、お湯はなかなか良質ですから、のんびり湯浴みするには良い場所かもしれませんね。


●(おまけ)LCCでジャカルタを経由して帰国の途へ
さて、バリ島での温泉巡りはこれで打ち止め。ジャワ島とバリ島の2島にわたったインドネシア温泉巡りもこれにて終了です。
まずはレンタカーを返す前に、ガソリンを給油しなきゃ。

 
デンパサールの市街地に近い幹線道路沿いのガソリンスタンドに入ったところ、各ポンプの前に給油待ちの車の列ができていました。たまたま混んでいるタイミングだったのかな。でも流れが早いので、そんなに待つことなく自分の番が回ってきました。


 
こちらでは、セルフではなくスタッフが給油をします。前の車や他のレーンの様子を見ていると、皆さん金額指定で給油しているようでしたので、私も「この程度で満タンになるかな」といった量をその場で暗算し(日本と同じく、道路に面した看板に油種別の単価が掲示されています)、オクタン価92の「プルタマックス」という油種を10万ルピア給油するべく「プルタマックス、スラトゥスリブ」とインドネシア語の単語を並べて、それに相当する紙幣を手渡したら、すぐに給油が開始され、ポンプが停止すると即座にスタッフからお釣りが返ってきました。日本のGSのように、支払い時に精算機でお金を管理するのではなく、スタッフの作業着のポケットに詰め込まれたお札でお釣りをやりとりしているので、回転が早いのですね(その代わりレシートなどは発行されませんでした)。GS内にはコンビニもあるので、ちょっとした買い物もできます。


 
デンパサールの市街からクタにかけて渋滞に巻き込まれたものの、余裕を持って行動したため、予定通りに空港へたどり着くことができました。
デンパサール空港国内線ターミナル・空港出発ロビー前の車寄せで、今回車を借りたKAZUYAレンタカーさんの方と待ち合わせて、この車寄せにて返却手続き完了です。自由気ままに行動できるレンタカーは非常に便利でした。いろいろ相談に乗ってくださり、融通を利かせてくださったりと、KAZUYAレンタカーさんには本当にお世話になりました。ありがとうございました。



私は成田とジャカルタの往復チケットでインドネシアへやってきたため、帰国するには一旦バリ島のデンパサールからジャカルタへ国内線で移動しなければなりません。インドネシアの国内線はLCCが便利なので、この時はインドネシア最大手のLCCであるライオンエアを利用しました。旅行中にネットで予約をしておき、空港のチェックインカウンターで、パスポートと一緒に、スマホの画面に表示させておいたバーコードを提示することで、簡単にチェックイン完了。しかも私がカウンターで手続きしたのは出発時刻のちょうど1時間前だったのですが、カウンターの前には行列がほとんど無く、待ち時間はわずか数分で済みました。本当に便利な世の中になったものです。


 
私が旅行したのは2016年の10月。インドネシアはイスラム国家ですが、バリ島はヒンズー教の土地。それでいて、空港ターミナルにはハロウィンの飾り付けがなされていたのですから、もう宗教観がごちゃごちゃ。そんな曖昧さこそ、世界中から観光客を呼び寄せる懐の広さなのかもしれませんね。色鮮やかなおみやげ屋さんを尻目に搭乗口へ。


 
海岸沿いに位置するデンパサール空港。ライオンエアの機体が頻繁に離発着を繰り返す滑走路の彼方の海原では、赤い夕陽が沈もうとしていました。今回の旅でインドネシアの太陽を目にするのはこれが最後なのか。この夕陽とともに自分の旅も終わるのかと思うと、実に感慨深く、窓の前に立って、いつまでもこの夕陽を眺めていました。


 

私が乗るジャカルタ行033便は18:15に出発の予定なのですが、その時刻が近づいてもゲートが開く気配がありません。感傷的に夕陽を眺めている場合ではないのかな。そんな心配を抱きはじめたころ、出発予定時刻の5分前である18:10に、目の前のエプロンに青いラインの塗装が施された機体が止まり、降機した客が次々に歩いてターミナルへと吸い込まれてゆきました。なるほど、この飛行機が折り返しでジャカルタ行になるんだな。それからさらに待つこと約30分でようやく搭乗が開始され、私もエプロンを歩いて飛行機に乗り込みました。LCCなのでシートピッチは狭いのですが、機内で座っているのは2時間程度なので、大して苦にはなりません。ライオンエア033便は45分遅れを以て、満席でデンパサールをテイクオフ。


 
約2時間でジャカルタに到着。古ぼけたLCC専用ターミナルで一旦荷物を受け取り・・・


 
無料のシャトルバスで国際線が発着する第2ターミナルへ移動しました。

これにてインドネシアの温泉巡り関係記事は終了です。お付き合いくださりありがとうございました。
次回からは日本のみちのくの温泉へ舞台を移します。

コメント (3)
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バリ島バトゥール湖畔 トヤ・ブンカ村営 Batur Natural Hot Spring

2017年05月15日 | インドネシア
バリ島北東部の高原地キンタマーニでは、活火山のバトゥール山が聳え、その火山活動で形成されたカルデラ湖であるバトゥール湖が風光明媚な観光名所になっていますが、このバトゥール湖の湖畔に外国人観光客向けの温泉施設が複数あるという情報を仕入れたので、その中の一つへ行ってみることにしました。


 
観光拠点ウブドの街から北へ向かってレンタカーを走らせます。カルデラ外輪山の稜線に向かってひたすら登り勾配の連続。ウブドから約40分ほどで坂道を登りきると・・・



カルデラの中で両裾を伸ばし美しくそびえるバトゥール山が眼前に聳えていました。絶景です。



山の右手(東側)にはバトゥール湖も望めました。意外と大きい湖なんですね。
今度はカルデラ内部に向かって山を下り、この湖畔を目指します。


 
カルデラ内部は噴火した直後に冷却して固まったような火山岩がゴロゴロしている荒地。噴火当時の様子が容易に想像できます。



やがて温泉施設の旗や看板が路傍に立ち始めました。当地には温泉施設が複数あるらしいのですが、あまりリサーチせずに出かけてしまったので、どこが良いのかわからず・・・



最も手前側に位置しているトヤ・ブンカ村営"Batur Natural Hot Springs"を訪れることにしました。広い無料駐車場にレンタカーを止めて・・・


 
土産物を売っている小さなワルン(屋台)に両サイドを挟まれた通路を進んでゆくと、その突き当たりに窓口とゲートが設けられていました。外国人観光客向けの施設ですから、料金設定はかなり高く、入浴のみでもRp150,000(日本円に換算して1200〜1300円)という強気のお値段です。この料金には貸しバスタオル・ウェルカムドリンク・揚げバナナのおやつが含まれていますが、このほか、構内のレストランでいただくランチ付きの料金設定もあるようです。なお私は入浴のみの利用にしました。


 
構内にはいくつもの温泉プールが並んでおり、リゾート施設としてはまずまずの美しさ。


 
ぬるい温泉プールを左に見ながら通路を歩いてロッカールームへ。専用窓口でバスタオルとロッカーキーの貸与を受けます。


 
左or上画像はロッカー。右or下画像はシャワールーム兼更衣室。当然ながら水着着用必須です。


 
湖に向かって緩やかに下っている斜面に位置しているため、温泉プールやレストラン・マッサージルームなどの各施設はその傾斜に沿って段々に設けられています。まずは最下段の湖畔に並ぶ温泉プールへ入ってみることにしました。欧米豪系の観光客が楽しそうに湯浴みしていました。


 
プールサイドにはバリ島らしい石像が並び、その石像の口々から温泉が注ぎ落とされていました。


 
湖を臨むこの温泉浴槽は、その景色の良さに惹かれるのか、お客さんが最も多く集まっていました。またこの浴槽には打たせ湯もあり、お湯に打たれて大はしゃぎをしている観光客の姿も見られました。


 
湯口のひとつで吐出温度を測ってみたところ、36.3℃でした。また浴槽における温度は34.8℃で、pH8.07でした。お湯は無色透明で綺麗に澄んでおり、僅かに甘味を有するものの、匂いなどはなく、少々のツルスベ感がある滑らかでやさしいタイプのお湯です。


 
湖岸はボートの桟橋が設置されており、小さなボートのほか、カラフルなスワンボートが舫われていました。
最も湖岸に近いプールは水がやや緑色に濁っており、かなりぬるく、正直なところ温泉っぽくありません。普通の水と排湯が混じったものが張られているのでしょう。しかも深さが2メートルもあるため、ゆっくり寛ぐこともできません。従いまして、ここに入って湖岸を眺めるならば、泳いでプールサイドにしがみつく他ありません。


 
湖岸から左の方を眺めると、民営の温泉リゾート施設が隣接しており、明らかにこちらよりも多くのお客さんで賑わっているようでした。しかも、湖岸ギリギリまで温泉浴槽になっているみたい…。ということは、あちら側の方が満足度が高いのかな? あるいは隣の芝生が青く見えるだけなのかな?


 
せっかくここまで来ましたので、恥ずかしながら自分撮りをすることに。湖水と一体化したような湖岸のプールでまず1枚。
つづいて、打たせ湯のある浴槽でもう1枚。
上述のように湯船の温度が35℃前後なので、たしかに湯逆上せを気にせず長い時間浸かっていられるのですが、南国とはいえ標高の高い場所ですから、日中でもかなり涼しく、プールから上がった瞬間は肌寒さを覚えました。


 
ステップを上がって丘側のプールにも入ってみました。こちらの方がお湯の透明度が高く、湯加減もまずまずなのですが、いかんせん湖岸の温泉プールに比べると眺望がいまいちなためか、利用客の数は少なく、せっかくの広さを持て余していました。でも、それを逆手にとってイチャイチャするカップルもいましたから、その閑散さにも需要があるということなのでしょう。



ひと通り浴槽を廻った後、カウンターに赴いてスイカジュースと揚げバナナをもらい、湖畔を臨むベンチに腰をかけて景色を眺めながら両方をいただきました。味には期待していなかったのですが、結構美味しかったので、そこそこ満足。

正直なところ、お湯はぬるくて泉質的な面白さにも欠けるため、温泉の良さを期待すると肩透かしをくらいますが、ロケーションや開放感は素晴らしいので、歓楽地の喧騒を離れ景色を眺めながらのんびり過ごすには良いところと言えるでしょう。





Toya Bungkah Kintamani, Desa Pekraman Batur, Songan B, Bangli, Songan B, Kintamani, Kabupaten Bangli, Bali
公式サイト

入浴のみRp150,000
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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バリ島タバナン地区 アンスリ温泉

2017年05月13日 | インドネシア
前回までの記事で取り上げたバリ島西部の「ミンピリゾート・ムンジャンガン」をチェックアウトした後は、リゾートの送迎サービスを利用し、2〜3時間をかけてバリ島の中心部であるクタ市街地まで出てきました。

 
わざわざ都会のクタまでやってきた理由は、レンタカーを借りたかったため。バリ島では滞在期間が短かかったため、自分でレンタカーを運転し、気兼ね無く効率良く湯巡りをしたかったのでした。今回利用した業者は「KAZUYAレンタカー」さん。その名前からもわかるように、現地にお住いの日本人の方が経営しており、連絡などすべて日本語で大丈夫。いろんな相談にものってくださり、車もとても良い状態でしたので、利用して大正解でした。手続きや支払いを済ませてから、クタの街を北上して島の中央部へと向かいます。


 
車でまず向かったのは、タバナンの山奥にある「アンスリ温泉」です。スマホのGoogle Mapが指し示す通りに、途中から幹線道路を逸れて舗装された1.5車線幅の田舎道を進んでいきます。初めてハンドルを握る土地ですので、たとえ交通量が少ない道でも緊張してしまいます。


 
途中で何度も交差点を曲がりながら北へ北へと向かってゆくと、目的地の数キロ手前に位置する交差点の角に、アンスリ温泉を示す看板を発見しました。


 
あぜ道を舗装したような田舎道や、集落の真ん中を貫く坂道を走行。


 
やがて集落を抜けると、道路のコンディションが急に悪くなり、車の底を擦らないか心配になるほどバンピーな未舗装路となってしまいました。でも温泉の看板はその先を指しているので、心細くなりながらも、慎重なハンドル捌きに心がけ、車の性能と看板を信じて先へと進みます。


 
本当にこのまま車で進んで大丈夫なのかと不安を覚えたあたりで一気に急坂を下り、視界が開けたと思ったところで、目的地の「アンスリ温泉」に到着しました。無事に着けてよかった…。


 
駐車場に面した小屋の窓口には誰もいません。その近くにワルン(屋台)があったので、料金をどこで支払うのか訊いてみたところ、みなさん笑顔を浮かべながら歩道の先の方を指し示してくれました。


 
用水路に沿って伸びる苔むした歩道を奥へ進むと、やがて階段となり、その途中にはカフェも営業していました。アクセス路こそ凸凹ですが、ここはれっきとした観光地なんですね。



麗しい田園風景を眺めながらゆるやかな斜面を下り、石造りの門を潜ると・・・



緑色に濁った小判形の大きな温泉プールが眼前に現れました。お湯はかなり濁っており、しかもぬるいので、ここで湯浴みする気持ちにはなれません。この濁り方から推測するに、重炭酸土類泉か塩化土類泉のいずれかに属するタイプの温泉なのでしょう。お湯が新鮮な状態であるならば、濁っていないはずです。


 
さらに奥へ進むと、上画像のような個室風呂棟が建っており、その手前側におじさんがいたので、ここで入浴できるか確認した上で料金を支払うと、おじさんはいくつか並んでいる個室の中から7号室を指定しました。


 
7号室のボロい扉を開けると、薄暗い室内には浴槽がひとつ、そして小さな棚がひとつあるだけ。カランなど設備や備品類は全く無く、至ってシンプルです。


  
左右に壁いっぱいに、3〜4人サイズの四角い浴槽が据えられており、浴槽の底面にあけられた穴から温泉が供給されていました。湯船のお湯はほぼ透明ですが、金気由来と思しき赤錆系の色を呈しており、光の当たり方によってはぼんやりと霞んでいるようにも見えました。また、底面でも温泉の供給穴がある周辺は赤茶色に染まっていました。
おそらく屋外の大きなプールと同じ源泉を引いているかと思われますので、先ほど述べた「お湯が新鮮な状態であるならば」濁っていないはず、という推論は正しかったわけですね。


 
湯船の温度は36.0℃とかなりぬるめ。pH値は6.37です。湯中には赤茶色の浮遊物が舞っており、お湯からははっきりとした鉄錆系の金気臭と金気味、ほろ苦味や少々の塩味、石膏感、そして明瞭な炭酸味が感じられました。先述のように泉質は、重炭酸土類泉か塩化土類泉のいずれかでしょう。なお炭酸味こそ得られるものの、泡つきは見られませんでした。



実際に入浴してみました。湯中ではキシキシと引っかかる浴感が得られます。湯船のお湯は窓下の湯面ライン上にあいた穴から排出されており、循環などされている様子は見られないので、純然たる掛け流しの湯使いで間違いないでしょう。ぬるい湯加減なのに、意外にも湯上がりはしっかりと温まりました。


 
私が個室風呂から出ると、受付のおじさんが「こっちにも入っていけ」と笑顔で川の方を指さすので、何があるのかとその方向を見てみたら、なんとコンクリの塀で囲まれた小さな露天風呂がお湯を湛えているではないですか!


 
小さなガネーシャの下に突き出ている湯口からお湯がトポトポと注がれています。


 
湯口の吐出温度は41.5℃で、湯船の温度は39.9℃と、個室風呂よりもこちらの方がはるかに入り応えのある湯加減でしたので、おじさんのご厚意に甘えて、物陰に隠れて水着に着替え、入浴させていただきました。正直なところ、個室風呂よりこちらの方がお湯の状態が良く、特に知覚的特徴(塩味など)がはっきりと伝わってきました。また湯加減の影響なのか温浴効果も強く、こちらに入った後はいつまでも汗が止まりませんでした。日本でも東北や九州などで同じようなタイプの温泉が湧いていますが、バリ島の山に湧くこのアンスリ温泉も日本の名湯顔負けの良い湯でしたよ。

なお個室風呂棟の裏手には滝が落ちていて、川遊びができるんだとか。そんなことは露知らず、見逃したまま帰ってしまいました。




入浴料Rp35,000
備品類なし

私の好み:★★
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バリ島西部 バニュウエダン温泉

2017年05月11日 | インドネシア
前回記事まで3回連続で取り上げてきたバリ島西部の「ミンピリゾート・ムンジャンガン」近くに、プリミティヴな温泉浴場「バニュウエダン温泉」(Banyuwedang Hot Springs)があると聞いたので、シュノーケリングから上がった後、歩いて探索してみることにしました。


 
「ミンピリゾート」の敷地から出てマングローブの林へ伸びる未舗装路を歩いて行くと、間も無くゲートが現れ、そこには"WELCOME TO BANYUWEDANG HOT SPRINGS"そして"AIR PANAS"(インドネシア語で温泉の意味)と記されたプレートが括り付けられていました。ゲートといっても、いつも上がっているような感じで、特に行き来を遮断するようなものではありませんでした。



ゲートの左手には、バリ島の景色を象徴する割れ門を構えた小さなお寺があるのですが・・・


 
道路を挟んだお寺の反対側に、マングローブの中へとつづく歩道が伸びており、階段を下った先の路傍にはワルン(屋台)も数軒営業していました。また林の中には有料のシャワーもありました(使えるかわかりませんが)。


 
歩道は林を抜けて視界が開けたところで行き止まりました。事前の情報によればこのあたりに、石膏像の口からお湯が落とされている質素な露天風呂があるはずなのですが、全方向を見回してもそれらしき設備は見当たりません。道のどん詰まりからマングローブの川を見下ろすと、そこにはかつて浴槽の土台だったと思しき跡が干潟の中に残っていたので、どうやら私が事前に聞いていたプリミティブなお風呂は、解体されてしまったようです。しかし、土台跡には水糸が張られており、数人の男性が作業をしていましたから、この状況から推測するに、おそらく新しい浴場に作り直している途中なのでしょう。残念ながら今回はここで入浴することができないのか…。


 
私が途方に暮れていると、傍で佇んでいたおばあちゃんが近づいてきて、道のどん詰まりにあるこの穴にバケツを落とし、水を汲みはじめめました。バケツで汲み上げたその水を触ってみると、なんと熱いではありませんか。浴槽こそ解体されたものの、温泉はまだしっかりと生きていたのでした。


 
土台だけになっている浴場跡へ下りてみると、2本の塩ビ管から温泉が豊富に垂れ流されており、基礎に囲われた中が湯溜まりになっていました。


 
塩ビ管から吐出される温泉の温度は45.1℃でpH8.47。ちょっと熱めですが、pH値は「ミンピリゾート」のお湯とほとんど同じであり、芳醇で濃いタマゴ臭を放ち、口に含むとはっきりとしたタマゴ味が感じられます。



隣の湯溜まりでは地元のお爺さんが湯浴みをしていたので、職人さんたちにOKをもらった上で、私も入っちゃいました。45℃のお湯なので、尻湯状態とはいえ結構熱く、長く浸かっていられません。湯量もそこそこ多いので、もし浴槽ができあがったら、加水するか投入量を絞らないと、かなり熱い湯加減のお風呂になっちゃいそうです。
この後、バリ島の他の温泉も巡ったのですが、島内には温泉がいくつかあるものの、いずれも40℃前後かそれ以下のぬるいお湯であり、ここまで熱いお湯は他に見られませんでした(私が知らないだけかもしてませんが)。つまりバリ島では大変貴重な高温の温泉であると言えそうです。
私が訪れてからもう半年以上は経過していますが、新しい浴槽はできあがっているのでしょうか。



ところで、未舗装路から温泉に至る短い通路の途中で、中から機械音を響かせているこのような小屋の脇を通り過ぎました。その機械音の正体はおそらく揚湯ポンプかと思われます。また、川を挟んだ対岸は「ミンピリゾート・ムンジャンガン」の敷地ですから、リゾートに引かれている温泉は、おそらくここでポンプアップされているのではないかと推測されます。そして、ポンプや塩ビ感の位置から推測するに、私がここで入った湯溜まりのお湯は、ポンプ小屋で汲み上げた温泉の余り湯である可能性があります。となれば、この質素な温泉も、リゾート内の温泉も、同じお湯だということになりますね(あくまで私の勝手な推論です)。
さすが源泉に最も近いだけあって、お湯から感じられるイオウ感、すなわちタマゴ味とタマゴ臭がリゾート内の各浴槽よりも強く、しっかりと感じられました。また硫酸塩泉的なやや引っかかる浴感の他、アルカリ性泉ならではのマイルドでなめらかなフィーリングも有しており、なかなかの名泉ではないかと思われます。残念ながら今回は尻湯だけになってしまいましたが、新しい浴槽が完成したら、きっと素晴らしい湯浴みが楽しめるはずです。




私の好み:★★


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