温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

ハンガリー ハルカーニ温泉公園

2009年10月29日 | ハンガリー
ハンガリー第4の都市ペーチから南へ約25km、クロアチアとの国境近くに位置する小さな村ハルカーニ(Harkány)は、硫黄のお湯が湧き出でる温泉リゾート地です。スパリゾートとして観光客が訪れるのは勿論のこと、湯治療養を目的とした長期滞在者が多いのがこのハルカーニの特徴です。

ペーチから国道58号線を南下、道路の両側はひたすら麦とひまわりの畑が広がります。20km程走ると丘を越えて平地へ下る坂に差し掛かり、目の前に展開するだだっ広い畑の真ん中に森と赤い屋根の集落が見えてきたら、そこがハルカーニです。メインストリートはリゾート地らしく街路樹の木立が美しく道幅も広く取られ、ロードサイドには宿泊施設やレストランが並んでいます。目指すは温泉公園。ペーチからの国道は公園の西縁を通っているので、一旦南縁の通りに出てバスターミナルの方へ入り、ターミナル前の通り沿いにあるパーキングに駐車。付近から入口ゲートまではプール用具や軽食などを売る店がズラっと並んでいて、いかにもリゾート地らしい光景です。

 
左:温泉公園の正面入口。多くのお客さんで賑わっています
右:正面入口付近には水着などプール用具を売る店が並んでいます


料金表です(クリックで画像拡大)
一番上の Napi belépők が1日入場料金で、Felnőttが大人、Diákが学生です。
赤十字のマークが描かれたGyógyfürdő が温泉(屋内プール)料金、Strandfürdő が屋外プール料金です。
1週間料金(Bérlet 7 belépésre)が設定されていることから、長期療養による湯治客が多いことがわかります


公園内部はとても広く、単に温泉プールがあるのみでなく、芝生の広場があったり、レストランがあったりと、ノビノビとできる環境が整っています。地方の小規模遊園地のような入口ゲートで料金を支払うのですが、料金には大まかに言うと、屋内プール料金とその約半額の屋外プール料金に分かれ、屋内プール料金を支払えば屋外プールも利用できます。窓口で料金に応じて色分けされたテープが渡され、そこに印刷されたバーコードで入退場が管理され、屋内料金を払っていれば後述する屋内プール(浴槽)のゲートを通過できる仕組みになっています。ここへ来たなら是非屋内プールをおすすめします。濃い白濁した温泉は屋内プールでしか入浴できないからです。

正面入口から真っ直ぐ進むと、各種窓口がある建物に突き当たり、この中にロッカーの鍵を借りる受付や屋内プール入場口があります。ロッカー(キャビン)については他のハンガリーの温泉プール同様、所定の料金とデポジットを支払ってその引き換えに鍵が渡されます。キャビン代をケチって公園の植え込みの陰で着替えているファミリーを散見しましたが、大した金額ではないのでキャビンを借りてしまったほうが何かと便利です。

 
左:公園内部の様子。この道をまっすぐ進みます
右:屋内プールやロッカー・キャビンなどがある建物

 
左:キャビン(更衣個室)が並ぶ一室。綺麗で使いやすい個室でした
右:キャビン室の一角には、マッサージルームが。足を揉むサインが表示されているので、カーテンの向こうでは足裏マッサージが施術されるのでしょう。


建物内にある屋内プール用ゲートに入場テープのバーコードを読み取らせて内部へ。中はちょっと薄暗くてどこをどう行ったらよいか判りにくいのですが、図示された案内表示に従ってどんどん進んでいくと、お目当ての屋内温泉プールにたどり着きました。角の取れた大きな長方形のプールには、療養目的の温泉であるために老人ばかりが沢山入浴中。30歳代前半の東洋人である私は極めて浮いた存在でした。この温泉の用途が療養である証として、浴槽の案内表示には赤十字のマークが描かれています。逆に言えば、赤十字のマークがあるプールは温泉水であるとわかるわけです。

お湯はきれいに白濁しており、硫黄というか油のような匂いがします。栃木県の喜連川温泉に近い匂いです。また、たまご味にほろ苦味と甘みが混じった味が感じられ、硫黄分とカルシウム分の含有がはっきりと知覚できます。ぬるめのお湯なのでのぼせることなく、じっくり長湯ができ、入浴中のご老人もみなさん長湯しています。お湯に浸かっていると、全身にたくさんの気泡が付着するので、きっとこのお湯は新鮮なのでしょう。

屋内プール(内湯)に隣接して屋外プールがあり、ちょっとした階段を介して両方を行き来できるようになっています。屋外は屋内よりも若干ぬるめ、屋内と違って無色澄明なお湯ですが、匂い・味覚ともに屋内浴槽と同じ硫黄らしさが感じられ、気泡もちゃんと付着するので、屋外のお湯は屋内と同じ源泉を用いていながら使用に当たって濾過しているのかもしれません。ずっと浸かっていても体に負担にならない湯温なので、プールではハンガリー名物の温泉チェスを楽しむお客さんもいらっしゃいました。

 
左:屋内温泉プール(1番プール)。白濁した硫黄のお湯です
右:このプールの案内板。この温泉(プール)が療養目的のものであること、深さ、入浴時間、湯温、年齢制限などが図案化されています。

 
左:2番プールの屋外プール。そしてその奥が同じく2番の屋内プール。屋内プールは水深が153cmとかなり深くなっています。
右:1番プールの屋内と屋外のお湯の違い。屋内ははっきり白濁していますが、屋外はきれいに澄んでいます。それでも両者とも硫黄感は感じられました

 
左:1番プールの屋外側で温泉チェスに興じるおじさん達
右:2番プールの案内板(クリックで拡大)。温泉分析表が表示されています


いくつもある園内のプールには1番から7番まで番号が振られており、1番と2番が上述の温泉で、それ以外は普通の水のプールです。3番から7番は、水温や深さがそれぞれ異なり、しっかり泳ぎたい人、ウォーキングしたい人、子供連れなど、目的に合わせて利用できるようになっていました。各プールには案内板が設置され、水温・深さ・年齢制限・諸注意などがわかりやすく図案化されて表示されています(1・2番の温泉については14歳以下は入浴不可のようです)。

 
左:3番プール。普通の水のプールです。水温33~35℃で、深さは112~155cm
右:6番プール。同じく普通の水が張られており、水温28~32℃


湯治客に混じりながらノンビリ湯浴み。白濁した硫黄のお湯を堪能できる、ハンガリー屈指の名湯だと思います。日本の温泉ファンもきっとお湯の良さを納得していただけるものと思います。おすすめです。


所在地:7815 Harkány, Kossuth L. u.7 地図
電話:(72)480-251
ホームページ(英語ページあり)

9:00~18:00(夏季は屋外プールの営業時間が延長されるようです。詳しくはホームページをご覧下さい)
無休
入場料:2250フォリント、
キャビン:800フォリント(+デポジット1000フォリント)
また駐車時に駐車料金も数百フォリント(金額失念)徴収されます(徴収員のお兄さんが自転車で駐車場を巡回しています)。

園内は広いので、ビーチサンダルを持参することをおすすめします。
ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (3)
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ハンガリー ヘーヴィーズ温泉湖

2009年10月28日 | ハンガリー


中央ヨーロッパ最大の湖域面積約600平方キロメートルを誇るバラトン湖は、湖岸に立つとまるで海のように遠くの景色が霞んで見えるほどで、海のない内陸国ハンガリーにとってはまさに海同然であって、夏になると国内は勿論欧州各地から湖水浴をたのしむべく多くの観光客が押し寄せます。このバラトン湖の南岸には観光拠点となっているケストヘイという街があり、そこから北西へ約5キロ行くと、世にも珍しい温泉湖ヘーヴィーズ(Hévíz)にたどり着きます。

湖がまるごと温泉というのは極めて特異なのではないでしょうか。少なくとも日本国内にはそのような存在を聞いたことがなく、視野を世界に広げてみてもニュージーランドに世界最大の温泉湖があるはずで、ヘーヴィーズはそれに次ぐ世界第2位の大きさの温泉湖ということになります。湖の面積は約47500平方メートル、最も深いところでは36m、一日に8600万リットルもの湧出があって1日と数時間で湖のお湯が全て入れ替わるんだそうです。

ブダペストでレンタカーを借り、高速を走って約2時間半でヘーヴィーズに到着。バスターミナル近くの駐車場に車をとめ、そこから歩いて入場ゲートへ。入口までの道には、浮き輪・水着・サンダル・土産物などを売る店や飲食店が犇めき合い、いかにも観光地らしい景色です。バスターミナルのすぐ目の前に入口が。場内は公園のようになっており、木立の間を抜けると、目の前には湖面から湯気が立ち上る不思議な光景が広がります。


動物園か小規模テーマパークを思わせる入口ゲート


入口から森を抜けて温泉湖へと向かいます


更衣用のキャビンやロッカーは何棟かあるようですが、私は入口に近く真っ先に目に入った、湖面に向かって左側の棟を選びました。ハンガリーの他の温泉と同様、ロッカーの受付で料金を支払って鍵をもらい、それぞれの更衣スペースへと向かいます。この湖では単に水着に着替えるだけでなく、浮き輪も用意しましょう。なにしろ深くて足がつくところはないので、皆さん浮き輪でプカプカ浮かんでいます。ロッカーの受付近くで借りられます。私が借りたのは浮き輪というより、タイヤのチューブそのものでした。

ロッカー受付近くには、外気温と湖水温度が表示されていました。私の訪問時は生憎の雨で、夏だというのに気温は17℃とかなり肌寒く、また湖水温度も32℃とかなりぬるめで、いくら温泉とはいえ湖水浴には不向きな天気。このためお客さんも少なめです。それでも恐る恐る足を湖水に入れてみたら、震え上がるような冷たさは無く、湯気が立っているだけあって意外とぬくぬくしています。浮き輪につかまって湖の真ん中へ泳ぎ、そこで浮き輪に体をすっぽり嵌めてのんびり浮かびました。いやはや、気持ち良い。これは温泉ファンなら一度来るべきところです。
湖面には睡蓮の花が咲いており、睡蓮の花と浮き輪の入浴客が混在するという、とても面白い光景が見られます。睡蓮を目の前にして温泉に入るというのも、滅多にできない体験。自然と一体になったかのようで、心身ともに癒されます。湖水は青緑色に濁り、微かに硫黄のような匂いが漂ってきます。何もせずただ浮かんでいると、少しずつですが一定の方向へ流されます。湖にはゆるやかな流れがあるようです。自然って本当に面白いもんですね。


外気温と湖水温度が表示されています。夏だというのに20℃を下回る肌寒さ


湯気が立ち上る湖面には睡蓮の花が咲き、その間にプカプカ浮かぶ入浴客が。
なんとも不思議な光景


湖の中央には赤い尖塔屋根の建物があり、岸から桟橋のような通路によってつながっています。外気温が低いためか、建物内部ではデッキチェアーに身を横たえている方が多く見られました。この建物は高床式で浮島のような感じで建てられていて、ちょうど内湯のような形で建物内部でも湖水浴が楽しめ、またこの建物の中央に温泉の源泉があるために内湯の水温が高く、魚の養殖場の生簀みたいに四角く囲まれたこの内湯では、温かさを求めるお年寄りがこぞってプカプカ浮いていました。
この「生簀」での会話に耳を傾けていると、客層はハンガリー人の他、ドイツ語圏の老人が多いようです。確かに、ロッカーや浮き輪を借りたときには英語がまったく通じず、かたことのドイツ語とジェスチャーでコミュニケーションをとりました。

森に囲まれた静かな温泉湖で、ぬるめのお湯に浮かびながら自然と一体化して癒しを得るという、日本では決して味わえない大陸ならでは楽しみ。ブダペストから距離が離れているのでおいそれと行くことはできないかと思いますが、近くを観光する際には是非寄っていただきたいところです。これで天気がよければ猶よかったのですが…。それでも私は2時間は浮いていたはずです。それほど気持ちよいところです。


湖の中央に浮島のように立つ建物。内部には生簀のような「内湯」があります


湖畔にも温水プールがあります


ブダペストから高速道路M7号線・国道76号及び71号経由で約2時間半。
鉄道利用の場合、ケストヘイ駅からバスで約15分
(※ハンガリーに限らず欧州の自動車は9割方がマニュアル車ですので、レンタカーを借りるときは要注意です。ヨーロッパカーなどレンタカー会社によっては通常の倍近い料金を払えばオートマ車を用意してくれる場合もありますので、レンタカー会社にお問い合わせください)

所在地:H-8380 Hévíz, Dr. Schulhof Vilmos sétány 1 地図
電話:(83)501-708
ホームページ

入場料2100フォリント(3時間以内)
キャビン使用料1200フォリント(更にデポジット1000フォリント)
浮き輪レンタル料500フォリント(更にデポジット1000フォリント)
(いずれも2009年7月現在)
ドライヤーあり

私の好み:★★★
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ハンガリー エゲル エゲル温泉 (そして、美女の谷)

2009年10月27日 | ハンガリー

①エゲル温泉

前回のエゲルサロークからエゲルの街に戻ります。バスターミナルから東の方角へ歩き出し、セーチェニ・イシュトヴァーン通りを横切り、街の中心部であるドボー・イシュトヴァーン広場に出ると、目の前の丘には13世紀に建てられたエゲル城が聳え、また広場に面して18世紀中頃に建立されたバロック様式の聖フランシスコ派修道院がたっています。広場の東端にはエゲル川が流れていますので、この流れに沿って南下してゆくと、やがて緑豊かな広い公園へと導かれます。


美しいエゲルの街並み。右画像の丘の上がエゲル城


エゲル市民憩いの場であるこの公園の北端には、こんこんと鉱泉が湧き出る泉があって、おいしい水を求める市民が列を成して汲みに来ています。そして公園の中央に、これまた市民に大人気のエゲル温泉があります。温泉とはいえ、ハンガリーの他の温泉のようにプールが併設されており、いや寧ろプールが主で温泉が副であるような位置づけで、構内からは大勢の人の歓声が聞こえてきます。

 
鉱泉が湧き出る泉。ひっきりなしに人々が汲みにやってきます


温泉の入口


入口は何箇所か設けられており、上述の鉱泉の湧出所付近にもあるのですが、私は公園内部にある川に面した入口を選びました。窓口で料金を支払うとバーコードが印刷されたテープが手渡され、これを腕に巻きバーコードをゲートの読取機にかざすことによって入退場を管理しています。ゲートを通過するとロッカーの受付があり、ここでデポジットの支払いと引き換えにロッカーの鍵が渡されます。ロッカーは東京のカプセルホテルにあるような小さく狭いもので、あまり使い勝手は良くありません。

ロッカールームから外へ出ると、天気が良く暑い日だっただけあり、小さな子供たちがあちらこちらで大はしゃぎ、また老若男女を問わず皆さん寝転んで日光浴の真っ最中、平日なのにものすごい混雑です。ロッカールームを出て右手が普通のプール、左手が温泉プール群となっており、この他に別料金制のプールもありました(この別料金制については仕組みがよくわからなかったのでパスしました)。普通のプールは若年層が多いのに対し、温泉槽は比較的お年を召した方が多かったような気がします。

無色透明のお湯は、エゲルサロークのお湯に似た硫黄の香りがします。お風呂の近くには外気温と温泉槽の湯温を示すマグサイン型の温度計が立てられており、訪問時の外気温は23℃、湯温は37℃でした。表示よりもちょっとぬるいかなと感じた私は湯口付近へ行こうとしましたが、温度の高い湯口付近は常連と思しきお年寄りががっちり陣取っていてなかなか入り込む余地がありません。それでも粘ってなんとかスペースを確保、真っ青な空の下で硫黄のお湯を楽しむことができました。なおシャワーのお湯も温泉水で、しっかり硫黄の香りが漂ってきました。
本当はゆっくりしたかったのですが、温泉にあまり面白みを感じることができず、なにしろ混雑している上に子供がうるさくて、のんびり湯浴みできるような状況ではなかったので、不本意ながら早々にこの温泉から退却。温泉の他にエゲルで行きたかったところへ向かうことにしました。

 
左:日本の事務所の更衣室のような、小さめのロッカー
右:プール

 
左:温泉槽
右:湯口


トルコ式温泉のようですが、週末のみの営業のようです。それどころか内部は工事中でした。

 
左:時計を兼ねた温度計(外気温・温泉温度)
右:硫黄の温泉が出るシャワー

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②美女の谷

街の南西にはワイン畑の丘に囲まれた小さな谷があります。人呼んで「美女の谷(Szépasszony-völgy)」。エゲルはハンガリー有数のワインの産地であり、谷の崖や傾斜に掘られた穴蔵のようなワイン蔵で、上質なワインを安い金額で試飲ができるのです。

温泉のある公園から西へ30分弱、辻々に立つ道標に従いトコトコと歩くと、やがて防空壕のように谷(というか緩やかな窪地)の斜面に穴蔵が穿たれた場所にたどり着きます。穴蔵といっても、ただ洞穴があるのではなく、蔵ひとつひとつが店として表を構え、それぞれ趣向を凝らして穴の前に屋根を設けたり装飾を施したりしており、それを眺めるだけでも各ワインセラーの個性が楽しめて面白く、またそれゆえにどこに入ろうか迷ってしまいます。

蔵は全部で70近くあるそうで、さすがに全部を巡るのは無理。谷の入口に近いほうの穴蔵は廃業したものが多いようで、どこも暗く扉を閉ざしていますが、奥に進んで自動車用ゲートのある辺りやその奥の道路がロータリー状になっているところはどこも扉を開けており、集客目的の看板を立てたり試飲用のテーブルを出したり入口に花を飾ったりと、とてもウェルカムな雰囲気。店先のテーブルではファミリーがワイングラス片手に歓談しています。

数ある蔵のうち、私はロータリーの入口に近い店に入りました。中はまさに穴倉といった感じで、奥行き10メートルほどの内部にテーブルと椅子が置かれ、その奥にカウンターが設けられていました。大きなグラスで甘めのものを注文。香りがよくフルーティーでとても美味しく、下戸な私もあっというまに飲み干してしまいました。リットル単位で量り売りもしているので、お土産にしてもいいかもしれません。
 

街の中心部から美女の谷へは、このように随所に道標が立っています

 
美女の谷へ近づくにつれ、このような景色が視界に入ってきます。丘の向こうにはブドウ畑が。

 
穴蔵ワインセラー群。看板を出して集客する店もあれば、おばちゃんが店先に出て刺繍をしている店もあり、なんだかとっても長閑です。

 
左:街と美女の谷を連絡するSL型の観光トロッコ自動車
右:なみなみと注がれたワイン。おいしかった!

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・エゲル温泉
エゲル駅から徒歩15分程
所在地:3300 Eger, 2 Petőfi Square 地図
電話:(36)314-142
ホームページ(英語表示)

私の好み:★

・美女の谷
エゲル駅から徒歩20分、街の中心部から徒歩30~40分
地図

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ハンガリー エゲルサローク Salt Hill Rogner Thermal Spa

2009年10月26日 | ハンガリー
ハンガリー北東部に位置する高原の町エゲルは街中に古い文化財が数多く残る城下町で、ブダペストから比較的近い場所にあるため、いつも多くの観光客で賑わっています。このエゲルから西方へ約7キロバスに揺られたところにあるのが温泉地エゲルサロークで、トルコの世界遺産パムッカレを思わせる真っ白な石灰棚と、そこから湧く湯量豊富な温泉が有名です。

数年前までは石灰棚から湧く温泉を、そのまま露天で野湯のようなスタイルで湯浴みすることができたそうですが、現在では開発が進み、石灰棚から引湯された温泉の他にプールやサウナ・エステなど様々な施設が整備された一大スパリゾートとして生まれ変わりました。本当ならば開発される以前の野趣溢れる温泉に入ってみたかったのですが、今となってはもう無理ですし、また、新しいリゾート施設に関する日本語の情報を書籍でもウェブ上でもあまり目にしなかったので、ものは試し、どんなところなのか実際に行ってみることにしました。ここでは現地に行くまでのプロセスを含めて紹介してまいります。

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①列車とバスを乗り継いで、ブダペストからエゲルサロークへ
ブダペストからエゲルへは直通列車もあるのですが、停車駅が多く所要時間が嵩むので、途中駅まで特急に乗ってそこからローカル線に乗り換えてエゲルへ向かうことにしました。まず7:33にブダペスト東(Budapest keleti)駅を出発するインターシティー657列車に乗車(ハンガリーのインターシティーは全列車座席指定です)。1時間20分強の乗車、Füzesabony駅で下車し、エゲル(Eger)行のローカル列車に乗り換え、20分弱の乗車、定刻より約10分遅れでエゲルに到着。ローカル線らしい閑散とした駅を出て1ブロック先を右に曲がると、街路樹が綺麗なデアーク・フェレンツ(Deák Ferenc)通りになりますので、緩い上り坂になっているこの通りを1キロ強(15~20分)歩きます。しばらくすると正面に大聖堂が聳え立っており、そして大聖堂のまわりを囲む緑豊かな公園の中にバスターミナルがあります。

ロータリー状のバスターミナルには次から次にバスが発着していますが、エゲルサロークの温泉へ行くバスは運行本数がかなり少ないので要注意です。エゲルサロークへ行くバスなら本数も多いのですが、温泉はエゲルサロークの更に奥に位置しており、そこまで足を伸ばすバスは少ないのです。インフォメーションに"Salt Hill Rogner Thermal Spa"のホームページのハードコピーを見せて、どのバスに乗るべきか聞いたところ、10:15に7番乗り場から出るKerecsend行(Demjén経由)に乗れ、とのこと。幸い20分ほどの待ち合わせでそのバスに乗ることができました。尚、このバスを乗り過ごしていたら次は14:10まで待たねばなりません(バスターミナルには発車案内の電光掲示板があります)。

バスの運転手に先ほどのハードコピーを見せて目的地を知らせて乗車し、エゲルから約15分で温泉前へ到着。辺りには畑と林以外何もありません。バス停近くには広い駐車場があり結構な台数の車がとまっています。そしてその奥にリゾート施設らしき建物がちらちらと窺えます。その建物の方向へ歩くこと約5分、視界の右手には真っ白な石灰棚が見え、そして正面には鮮やかな青いプール群を前にして"Salt Hill Rogner Thermal Spa"聳え建っていました。建物の下層階はリゾート施設として使われ、上層階はホテルの客室のような構造になっているのですが、その上層階はまだ工事中で(あるいは工事途中でストップされたまま)、一般客は立ち入れないようになっていました。

 
ブダペスト発のインターシティー657列車及びその車内。結構混んでます

 
Füzesabonyから乗り換えたローカル列車とその車内。
インターシティーとは打って変わって、実に長閑な雰囲気です。


エゲル駅はローカル線らしく、質素で閑散とした駅です。

 
左:ロータリー状に丸くなっているバスターミナル
右:7番乗り場から出るKerecsend行バス。乗客が多く、ほぼ満席で出発


バス停を下り、いかにも開発しましたといわんばかりの開けた一本道を歩くと、この画像のように、右手に白い石灰棚が、正面にスパリゾート施設が見えてきます。リゾート施設の上層階は工事中なのか、まだ入れない状態です

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②入場、そして入浴へ
新しいだけあってエントランスはとても綺麗ですが、綺麗過ぎてどこか無機質な感が否めません。受付窓口はまるでテーマパークのように、窓口とゲートが一体型になっているものが何列か並んでいるのですが、私が訪れた時は一箇所しか機能しておらず、しかも窓口のお姉さんも実に無愛想。ちょっと不安になりながら料金を支払い、安物の腕時計のようなリストバンドを受け取ります。このリストバンドで入退場の記録他、ロッカーや場内の買い物にも用いられます(場内の買い物や飲食で現金を使うことは無く、全てリストバンドのICチップによって購入履歴が管理され、退場時に精算するシステムとなっています)。

ロッカールームでもリストバンドが活躍。まず係員にバンドを渡すと、係員は専用の機械にそれをかざし、これにより私が使うロッカーの番号が指定されるので、そのロッカーに向かいます。ロッカーにもリストバンドをかざす受信部があるので、そこにタッチして扉を開け、着替えを済ませて荷物を入れたら扉を閉めて再び受信部にバンドをタッチして施錠します。

パウダールームを通って出ると、そこはウォータースライダーが設けられた屋内プールでした。親子連れが欣喜雀躍として水遊びに興じています。ここは温泉ではないのでパス。このプールが結構大きいので、温泉はないのかもしれないと、受付窓口で感じた不安を増幅させながらプールを通り過ぎたら、奥の方に温泉槽がありました。屋内で若干薄暗いのですが、広々としていて悠々と湯浴みできる浴槽です。壁には「0~12歳はダメ」「深さは0.9m」「38℃」「入浴は30分以内」という意味を表す図案が掲示されていました。お湯は白濁しており、硫黄の匂いに加えて弱いながら泉質由来と思われる(クレゾールのような)薬品臭が湯面から漂っています。甘みと石膏の味。石灰分が濃いためかギシギシとした浴感です。またじっと浸かっていると細かな気泡が全身にびっしり付着します。気泡がつくということは温泉が新鮮であることの証左でしょう。完全なリゾート施設と化した温泉ゆえにお湯は期待できないものと高を括っていましたが、なかなか本格派です。日本ではあまり見られない泉質ではないでしょうか。大きな窓の外を見ると真っ白な石灰棚が目の前に迫っています。あそこで湧いたお湯に浸かっていると思うと、なんだか嬉しいものです。この温泉槽も単に入浴するだけの槽もあれば、洞窟風呂になっているものもあり、また温泉水ではないのですが、ヨーロッパには珍しい42℃の温浴槽もあったりと、いろいろと趣向を凝らしたお風呂が設けられていて、どんなお風呂や設備があるのか探検気分で施設内を巡るのも面白いでしょう。

温泉槽は屋内だけではなく、露天風呂もありました。外へ出ると、二重になった大きなプールのような円形の浴槽に、温度が別々に設定された温泉水が張られています。石灰棚を眺めながら温泉にじっくり浸かることができるわけです。なお屋外プールは中央を境にして左が普通のプール、右側が温泉プールとなっており、温泉プールについてはそのことがわかるように境界付近に"Medicanal Water"と記された表示がありました。ヨーロッパで温泉は行楽や保養のみならず医療目的に用いられますので、このような表現になるのでしょう。先ほど「入浴は30分以内」という掲示があることを述べましたが、これも温浴療法に適した入浴時間だと思われます。

源泉掛け流しを実感できるかつての野趣溢れる温泉を堪能することはできませんが、緑豊かな自然の中、設備の整った綺麗なスパリゾートで白い石灰棚を眺めながら、硫黄の匂い漂う良質な白濁の温泉に浸かるのも、なかなか爽快なものです。温泉ファンなら60℃の温泉が音を立ててドバドバ湧いている石灰棚を見るだけでも、十分に興奮できるのではないでしょうか。

 
左:綺麗なロッカーがずらっと並ぶロッカールーム
右:ウォータースラーダーのある屋内プール

 
プールの奥にある温泉槽。白濁したお湯です。

 
歩行湯(左)や42℃の浴槽(右)もあり、バラエティーに富んでいます

 
石灰棚を目の前にして入浴できる露天の温泉プール

 

エゲルサロークの石灰棚。トルコのパムッカレと比べればはるかに小さなものですが、真っ白い石灰の段々状の棚から、シューシュー・ゴボゴボと音を立て、硫黄の匂いを強く漂わせながら温泉が湧き出る様は、なかなかインパクトがあります

 
このように石灰棚のあちらこちらからドバドバと勢いよくお湯が湧いています


温泉分析表

行き方は上記①をご参照ください
※バスは休日になると本数が激減しますので注意を要します
 往路のエゲル発Kerecsend行の時刻表
  金槌が交差したようなサインは月~金運転。
  ○の中に金槌が交差したようなサインは日祝日を除く毎日運転。
  十字印は日祝日運転
 復路の温泉前発エゲル行の時刻表
  左が月~金、真ん中が土曜、右が日曜。ご覧のように日曜は殆ど運転されません
 バス運賃は片道200フォリント
 (いずれも2009年7月現在のものです)
※2013年2月19日追記:みいさんが上記路線バスの最新の時刻をコメント欄に書き込んでくださいました。当ページ下部のコメント欄をご参照ください。

所在地:Forrás 4. Egerszalok 3394 地図
電話:(36)688-500
ホームページ
(英語のページもあり、かなり詳しい情報が載っています)

10:00~20:00 無休
2500フォリント(デポジットは無し)

パウダールーム内にドライヤーあり
更衣室は男女共用(更衣用個室有り) 水着着用
構内は広いので、ビーチサンダルを持参することをおすすめします

私の好み:★★★
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ハンガリー ブダペスト ゲッレールト温泉

2009年10月25日 | ハンガリー


ブダペストのブダ側、ドナウ川を臨むゲッレールトの丘の麓に建つダヌビウス・ホテル・ゲッレールトは1914~18年にかけて建築されたアールヌーヴォー様式の内外観を持つ豪華なホテルで、この内部にブダペスト人御用達の温泉であるゲッレールト温泉があります。この温泉はホテル宿泊客なら自由に入れるほか、外来客も所定の料金を支払うことによって入浴することができます。

正面入口はホテル専用なので、外来入浴する場合は右手の温泉専用入口へと廻ります。温泉専用とはいえその入口はなかなか重厚なもので、こちらがホテルの入口であってもよいほど立派です。中に入ると、これまた豪華。大理石の柱に支えられた高いドーム天井の横にはステンドグラスの窓が並び、そしてその奥にはアーチ状のガラス天井が燦燦と降り注ぐ表の陽光を温泉のホールへと集め、左右そして最奥に立つ彫刻の像が入場客を出迎えてくれます。ここが温泉浴場であるとはとても思えません。まるで歌劇場のエントランスホールへ迷い込んだかのようです。


正面のホテル入口近くには、温泉入口がある方向を示す案内看板があります

 
こちらが温泉入口です。なかなか荘厳です。


まるで美術館か歌劇場かのようなエントランスホール


入口すぐの窓口で料金を支払いカードとレシートを受け取ります。回転ゲートを回して先へ進むと、正面向かって左手に売店があり、右手はゲート側から順に女性更衣室入口、プール入口、男性更衣室入口となっています。
さて更衣室に入るわけですが、ここからは伝統的なハンガリーの温泉でよくある入浴手順となりますので、箇条書きで説明します。
①窓口で貰ったカード及びレシートを更衣室の係員に提示する
②係員がキャビン(いわゆる脱衣のための個室。他の場所ではロッカーの場合もある)へ案内してくれる
③キャビン内で水着に着替える(地元の人は、伝統のハンガリー版ふんどしを着用します)
④着替え終わったら、施錠と開錠専門の係員がいるので、その人に鍵を閉めてもらう。その際、自分のキャビンの番号をしっかり覚えておくこと。施錠の際に鍵の引換証を渡してくれますが、引換証の番号とキャビンの番号は全く関連性がないので、同じようなキャビンが並んでいると、自分のキャビンがどこだったか、番号を憶えていないとわからなくなります。
⑤シャワーを浴びていざ入浴(浴槽はあくまで温まるためのもの。体はシャワーでしっかり洗うこと)
⑥入浴が終わって服に着替える際は、施錠と開錠専門の係員に自分のキャビンの番号を申告し、鍵を開けてもらう。キャビン内の長椅子にはシーツのような布が敷いてあり、これをタオルとして使ってよい(ただし単なるシーツと同様のものなので、非常に拭きにくい。タオルを持参すべき)
⑦着替え終わったら、係員にチップを手渡す。相場は100~200フォリント。仏頂面の係員もこの時だけは満面の笑みを浮かべる
場所によって若干異なるかと思いますが、大まかにはこのような要領になるかと思います。

エントランスが豪華ならば浴室もすごい。蒲鉾のような半楕円の天井は大きなドームになっており、その中央はガラス天井になっていて、これによる採光が照明代わりとなっています。側壁もエキゾチックな翠のタイル貼りで、無論単色ではなくいろんな幾何学的模様が施されています。これをトルコ調というのでしょうか。お風呂は大きく分けて36℃の槽と38℃の槽のふたつで、この他に何種類かのスチームバスやサウナが設けられています。水飲み場も2ヶ所あって、汗を流して水分が欲しくなったときに役立ちます。新聞を持ち込んだり、あるいは読書に耽ったりと、みなさん思い思いに入浴を楽しんでいました。私は水着で入浴しましたが、地元の老翁はハンガリー版ふんどしを締めていました。一見すると越中褌のような形状なのですが、日本の褌は股をしっかり布で締めるのに対し、こちらの褌は日本の死装束の白い天冠のようなもので、ただエプロンのように前に布1枚をぶらさげて大事なところを隠すだけなので、お風呂に入ると思いっきり透けてしまうのとともに、布がお湯に流されたり浮いたりするので、隠すという意味ではあまり役に立っていないようです。

お湯は無色透明で無臭、ほんのり甘い味がしました。浴感はどちらかというとキシキシとした肌触りでした。湯口にはこんもりと析出が付着していましたので、カルシウム分が濃いのではないかと推測されます。湯口まわりは赤茶色に染まっていましたので、これも泉質由来のものと思われます。
私はれっきとした日本人なので、36℃の槽と38℃の槽を目の前にしたときは迷わず38℃の方に入りましたが、地元の方をはじめ皆さん36℃の方を選ぶ傾向にありました。ヨーロッパの人はぬるいお風呂が好きなのでしょう、日本のお風呂は熱くて入れたものではないのかもしれません。

今回プールには入りませんでしたが、ここには屋内の他屋外にもプールがあり、温泉入浴のみならず水泳も存分に楽しめます。とりわけ屋外プールは毎時ちょうどから約10分間波乗りが楽しめるそうで、観光客にとても人気だそうです。温泉にサウナにプールと、まるで健康ランドを思わせるラインナップで、老若男女問わず楽しめる施設ではないでしょうか。また、風格のある建物のなかで優雅な湯浴みができるのも、ここブダペストならではでしょう。


屋内プール


タイル装飾が美しい内湯


トラム47番または49番 Szent Gellert停留所下車すぐ
(トラム47番・49番はデアーク広場が起点で、途中地下鉄M2線のAstoria駅やM3線のKalvin ter駅でも乗り換えることができます。トラムがドナウ川に架かる自由橋(Szabadsag hid)を渡れば、すぐSzent Gellert停留所に到着します)


49番トラム

所在地:kelenhegyi ut 4  地図
電話:(1) 466-6166

温泉 月~金 6:00~19:00、土・日 6:00~17:00
プール 夏季(毎日)6:00~22:00、 冬季 月~金 6:00~19:00、土・日 6:00~17:00
(屋外プールは5~10月のみ)
3100フォリント(2時間)
尚、セーチェニ温泉同様、こちらの料金もデポジット制となっており、2時間以内で出場すれば400フォリントが戻ってきます(3時間以内の出場で200フォリント返金)。
※ハンガリーは現在結構なペースでインフレが進んでいますので、必ずしもこの金額であるとは限りません

更衣室内にドライヤーあり
男女別 水着着用可
ビーチサンダルを持参することをおすすめします

私の好み:★★
コメント
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