温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

幡谷温泉 ささの湯

2018年05月29日 | 群馬県
 
今回から群馬県北毛の温泉を巡ります。河岸段丘の街である沼田から北東へ伸びる国道120号線は沿道にレジャー向けの施設や名勝が続く県内屈指の観光ロードであり、温泉だけでも老神温泉をはじめ、白沢高原・南郷温泉しゃくなげの湯・片品温泉・白根温泉など多くの名泉が沿道やその周辺に点在しています。今回はそんな沿道エリアのいで湯のひとつ「幡谷温泉 ささの湯」を取り上げます。国道沿いに看板が立っているので、それに従って国道から県道64号線へ逸れ、片品川へ向かって坂を下ってゆくと、やがて民家のような渋い外観の当施設へ到着します。自己主張が控えめな施設なので、駐車場に車を停めた瞬間、あまりに静かな玄関周りを目にして「営業しているのか」と不安になりましたが、玄関の引き戸を開けると中から「いらっしゃいませ」という声が聞こえてきたので、ここに至ってようやく入浴できることを確信できました。なおこちらでは日帰り入浴の他、素泊まりのみですが宿泊営業も行っているんだとか。


 
玄関左手の受付カウンターで湯銭を納め、外観から受ける印象通りに家庭的な雰囲気が漂う館内を進んで浴室へと向かいます。館内の壁には「源泉100%」や「循環しておりません」などお湯の質を誇らしげにアピールする張り紙が掲示されていました。


 
冬に訪問したため、浴室内は湯気で曇っており、鮮明な記録ができませんでした。あしからずご了承ください。
東北の田舎にある公衆浴場みたいな素朴な佇まいの脱衣室を抜けて内湯へ。尾瀬の水芭蕉と至仏山を描いたと思しき大きなタイル絵が印象的な浴室には、主浴槽がひとつ、そして絵の下に配置された洗い場にはシャワー付きカランが6基一列に並んでいます(この他、ちょっと離れた場所にも、立って使うシャワーが1基あります)。なお私の訪問時にはシャワーの勢いが弱かったのですが、いつもなのか、あるいはこの日だけの現象だったのかは不明。


 
主浴槽は(目測で)2.5m×4m弱。湯口から温泉が滔々と注がれており、浴槽の隅から惜しげもなくオーバーフローしています。洗い場の上には尾瀬の風景がタイルで描かれていましたが、浴槽側の壁には尾瀬の花々がタイル一枚一枚に描かれ、それらが市松状にはめ込まれていました。
浴槽に張られたお湯は無色透明ですが、浴槽内の材質の影響でやや翠色に見えます。湯口に置かれたコップで飲泉してみますと、ほぼ無味無臭ながら、時折有機肥料のような香ばしい香りが僅かに漂ってきます。湯船に体を沈めると、全身がスルスルスベスベの滑らかな浴感に包まれます。総じて癖のないあっさりとしたお湯です。


 
浴室の奥にあるドアから屋外へ出てみましょう。川を臨む岸の上に日本庭園風の露天風呂が設けられており、視線が高いので景色の抜けが良く、気持ちの良いロケーションです。石材を多用した石庭風の中に岩風呂が据えられています。


 
大きな石樋の湯口から温泉が浴槽へ注がれています。浴槽の大きさに対する投入量は決して少なくないのですが、私が利用したのは冬の日中。陽が出ているとはいえまだ寒く、吐出される時点で既に適温のお湯は、外気に晒されて忽ち冷めてしまい、湯船ではかなりぬるくなっていました。しかも湯嵩が浅いので入り応えも弱く、素敵なロケーションで開放的な露天入浴を楽しめるような状況ではありませんでした。この日はたまたまそんな状態だったのか、あるいは、いつも冬は実質的に使えないような状態にしてしまうのか、そのあたりの事情はよくわかりません。湧出時の泉温が41.5℃ですから、加温しないでかけ流すと、冬季はどうしても湯温が下がってしまうのでしょう
でも春から秋にかけては、きっと爽快な湯あみが楽しめるものと思われます。

お湯の知覚的特徴が弱いために掴みどころにかけますが、アッサリ&サラサラのお湯をご希望の方には向いている軽やかな温泉です。掛け流しである点も嬉しいですね。週末なのにお客さんの数がまばらで空いていたのが少々不安ですが、それゆえのんびり湯浴みできる穴場的な存在と言えるかもしれません。


幡谷温泉
単純温泉 41.5℃ pH8.3 蒸発残留物0.50g/kg 成分総計0.75g/kg
Na+:186mg, Ca++*5.16g, F-16.3mg, Cl-:13.6mg, HCO3-:415mg,
H2SiO3:39.9mg, CO2:46.3mg,
(平成8年1月19日)

群馬県利根郡片品村幡谷535  地図
0278-58-3630

月水金15:00~20:00、火木13:00~20:00、土日祝11:00~20:00 
630円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★







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山梨県甲斐市 ホテルリブマックスリゾート甲府

2018年05月25日 | 山梨県

拙ブログで何度も取り上げている甲府盆地の温泉は、私が大好きなモール泉やそれに準するタイプのお湯が主流であり、それゆえ毎年必ず私は当地へ足を運んでいるのですが、まだまだ未訪問の施設も多く、訪問の度に甲府盆地の奥深さを実感させられます。今回取り上げる「ホテルリブマックスリゾート甲府」は、竜王付近の国道20号沿いに位置しており、かつては「ホテルリフレッシュガーデンクレスト」という名称でしたが、近年全国へ勢力を伸ばしている不動産業者のリブマックスが数年前に居抜きで買収し、名称を改めて新たなスタートを切ることになりました。
こちらのホテルでは、宿泊の他、温泉の日帰り入浴も可能ですので、どんなお湯に出会えるのか、2017年の冬に行ってみました。日帰り入浴利用客はまずエレベータで5階へ上がります。

エレベータホール前の靴用ロッカーに下足を預け、フロントで料金及び靴箱のカギと引き換えに、脱衣室のロッカーキーを受け取ります。脱衣室は旧施設時代の設備をそのまま流用しているらしく、室内には妙に古めかしいスチールロッカーがズラリと並んでいました。


  
建物の5階に位置し、かつ2方向が窓で明るく開放的な浴室。視界は南東方向に展けており、窓の外には富士山が聳えていました。この日は天気が良かったので、景色を眺めているだけでも気分爽快。頗る気持ちの良いロケーションです。



洗い場には計17基のシャワー付きカランが設置されていました。カランから出てくるお湯は、おそらく温泉ではないかと思われます。


 

内湯の主浴槽は、5m弱四方の古代檜風呂。富士山を臨む見晴らしのよい窓際に据えられており、大きな湯船で景色を眺めながら湯あみをすると、雄大な気分に浸れます。ただ、旧名称時代から使われ続けているのか、私の訪問時は浴槽がかなり草臥れており、桧の木の繊維が剥がれてお湯の中に浮かんでいました。どうやらこの状況は施設側としても認識していたらしく、本記事を書くにあたって公式サイトを拝見したところ、今年(2018年)5月末まで改修工事のため檜風呂が利用できないとの記載がありました。
この檜風呂では適温まで加温された供給されており、浴槽縁からしっかりとオーバーフローしていました。おそらく放流式の湯使いかと推測されます。湯加減は40℃ちょっと。熱すぎずぬるすぎずといった塩梅の湯温ですので、のんびり長湯することができました。



内湯には他にも、ジャグジー、サウナ(ドライとミストの2種類)、水風呂など諸々の浴槽が設けられているのですが、私は利用していませんので詳細についてはわかりません。なおドライサウナの前は垢すり場所になっており、時々お客さんが台の上に寝そべって、おばちゃんの施術を受けるのですが、天井から垂らされているカーテン1枚で仕切られているだけで、浴室内から丸見え。オッサンが垢を擦られている光景を否応なく目にするはめになり、何とも複雑な心境に陥りました。


 
さて、階段で屋上へ。上がってすぐのところにある狭い室内には、薬湯と思しき小さな浴槽が設けられていましたが、この手のお風呂があまり好きではない私は、見学のみでパスすることに。


 
屋上は西側の視界が開けており、南アルプスや八ヶ岳などの山々を一望することができました。一方、この屋上の東側は各種設備類(機器類)がたくさん並んでおり、正直なところ殺風景かも。視界が開けている西側も、単に金属のフェンスがあるだけですから、見晴らしは良いものの、周辺から湯浴みしているこちらの姿が丸見えです。神経質な方にはちょっと難しいかもしれません。


 
屋上機器類の手前にある小さな浴槽はワイン風呂。ご当地名産の赤ワインを注いでいるのでしょうね。


 
私がこちらの施設で最も気に入ったのが、この円筒形の壺湯です。一人サイズの浴槽が二つ並んでおり、非加温の源泉がそのまま注がれているのです。源泉の湧出温度は36.5℃ですから、浴槽では更に下がっており、私が利用した初冬ですとかなりぬるく感じられたのですが、一度肩まで浸かるとむしろ心地よく、いつまでも浸かっていられます。あまりに気持ち良いので、ついウトウトしてしまいました。
ほぼ無色透明のお湯に体を沈めると、肌に無数の気泡が付着し、全身ツルスベの滑らかな浴感に包まれます。そしてお湯を口に含むと、微かな塩味と仄かな金気味、そしてふんわりと香るモール臭が感じられます。湯上がりはさっぱり爽快。実に心地よいお湯であり、典型的な甲府盆地の温泉です。冬にはぬるいものの、夏に入ればきっと爽快感が得られるでしょう。これからのシーズンにおすすめの一湯です。


リフレッシュガーデンクレスト温泉
ナトリウム-塩化物・炭酸水素園温泉 36.5℃ pH7.92 260L/min 溶存物質1.130g/kg 成分総計1.149g/kg
Na+:300.7mg(85.21mval%), Ca++:30.3mg(9.84mval%),
Cl-:416.9mg(7300mval%), HCO3-:241.3mg(24.52mval%),
H2SiO3:104.6mg, CO2:19.4mg,
(平成21年12月22日)

山梨県甲斐市富竹新田1536-1
055-279-2929
ホームページ

10:00~24:00(受付23:30まで) 年中無休
1000円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5



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牧の原温泉 リスパ印西

2018年05月22日 | 東京都・埼玉県・千葉県
※「リスパ印西」は閉館しましたが、その後運営会社が変わり、現在は「スパソラニ千葉印西牧の原」として営業しています。本記事は「リスパ印西」時代のものです



千葉県は火山こそありませんが、下総台地から平野部、そして房総半島に至る県内全域にわたって個性的な温泉や鉱泉が多く、コアな温泉マニアの方々にとっては意外にも興奮要素たっぷりの面白い県です。今回はそんな中でも私が気に入っている印西市の「リスパ印西」を取り上げます。北総線印西牧の原駅前のショッピングモール「牧の原モア」の一角で営業しているこちらの温浴施設は、以前は「ヒーリングヴィラ」という名前のアジアンスパでしたが、数年前にリニューアルされ、現在の名前と営業形態になっています。私は旧施設時代に何回か行っているのですが、リニューアル後は未訪でしたので、どのようになっているのか、行ってみることにしました。

いわゆるアジアンテイストな内装の館内。南国リゾートをイメージしているのでしょう。受付では館内着やレンタルタオルなど一式を受け取ります。私は本記事で取り上げる温泉浴場の他、レストラン・岩盤浴・プールなどを利用しましたが、その全てはご紹介できませんので、今回は温泉浴場のみを取り上げます。


  
脱衣室を抜けて内湯へ。
天井が高く、また後述する露天風呂に面して2方向に大きな窓ガラスが採用されているため、明るく開放的で、室内の装飾も相俟ってアジアンリゾートを彷彿とさせてくれます。内湯の浴槽は上画像の主浴槽。循環ろ過されている適温の温泉が張られています。鼈甲のような色を帯びたお湯は比較的透明度があり、後述する露天のお湯よりも見た目はマイルドな感を受けますが、実際に入るととても塩辛く、本物の強食塩泉であることがわかります。なお、この浴槽では袋に薬草やハーブなどを詰め、その袋を浮かべていました。

浴室の窓と反対側には洗い場が配置されています。カランの数は失念してしまいましたが、一つ一つのブースの幅にゆとりがあるので、隣との干渉を気にせず利用することができます。


 
 
こちらの施設は露天風呂が充実しており、緑豊かなガーデンの中に複数の浴槽が据えられています。ショッピングモールの敷地内ですから、周囲は塀で囲まれていますが、露天風呂ゾーン自体が広いので、圧迫感はありません。
浴室と同じ高さのレベルには、循環された温泉が張られた浴槽が3つほど設けられ、一般的な四角い浴槽の他、楕円形のもの、そして寝湯が併設されたものなどが並んでいます。浴槽の傍にはガゼボが建てられているので、お風呂で体が火照ったら、この下に入って体を休めるといいでしょう。


 
露天風呂ゾーンにはちょっと高くなったテラス状の箇所があり、そこにも浴槽が据えられています。正直なところ、本記事で上述まではプロローグに過ぎません。このテラス上の露天風呂こそ私が入りたかったお風呂なのです。と言いますもの、このテラス上にある3種類の各浴槽では、非加温・非循環・非ろ過の放流式でお湯が供給されているんです。

左(上)画像はガゼボ風呂。その名の通り、ガゼボの下に六角形の浴槽が設けられ、湯口から若干加温されていると思しき温泉が供給されています。鼈甲色に濃く濁ったお湯は非常に塩辛く、湯温は36℃前後ですが、体感では40℃以上あるのではないかと勘違いしたくなるほど、強烈に火照ります。そんなお湯を供給する湯口のまわりでは泡立ちが発生しており、湯面からはガス臭やヨード臭がプンプン漂ってきます。私が浴槽に入ると、浴槽縁の全方向からお湯が惜しげもなく溢れ出ていきました。千葉県で豪快な溢れ出しは貴重ですから、私としても感動しきりです。

一方、右(下)画像は壺湯。3つあり、それぞれ屋根の下に収まっています。私が訪れた日は、真夏の日差しが厳しかったので、こうした日差しを遮る構造物の存在に助けられました。この壺湯も掛け流し。ガゼボ風呂と同じく36℃前後のぬる湯なのですが、パワフルに火照るため、ちっともぬるいとは感じられませんでした。


 
ガゼボ風呂と壺湯に挟まれた位置にあるのが「源泉風呂」。その名の通り、この露天風呂も源泉かけ流しです。こちらの浴槽は非加温のまま供給されており、私の体感では33℃前後であったかと思われますが、繰り返し述べているように、こちらのお湯は非常に塩辛く、それゆえ温浴効果がとてもパワフルであり、パワフルどころか凶暴という表現を使いたくなるほどでものすごいのです。先述のように私は夏に入りましたが、気を付けて入浴しないと湯あたりを起こして脱水症状になるかもしれません。それほど濃い食塩泉なのです。あまりに塩分が濃いため、湯船に入ると浮力を感じるほどです。そんな濃い温泉に非加温放流式の状態で入れるのですから、マニアとしてはこんな嬉しいことはありません。

掛け流しの浴槽に張られているお湯は黄土色に濃く濁っています。おそらく空気に触れた瞬間に濁りが発生するのでしょう。典型的な化石海水であり、非常にしょっぱい他、金気味や苦汁味も感じられ、またガス臭やヨード臭も嗅ぎ取れます。火山と無縁のこの地域で、30℃以上でかけ流せるのですから、個人的には大感動。濃く濁りながら泡立つお湯を目にし、私は大人げなく欣喜雀躍してしまいました。テラス上の各放流式浴槽は40℃未満の長湯仕様なのでじっくりお湯と対峙でき、しかも非加温浴槽を用意してくれているからますます嬉しくなっちゃいます。ただし、夏場の入浴では体がベタつきますから、真湯で上がり湯をかけた方がいいかもしれません。一方、冬にコート要らずでいつまでも体の芯からポカポカ温浴効果が持続するでしょう。

施設内にはこうした温泉の他、プール、ヨガ、マッサージ、レストラン、読書室など日がなゆっくり過ごせるサービスが充実しており、また貸切風呂もありますので、家族やカップルでの利用にも最適。とりわけこちらの岩盤浴は男女の区別がなく、とても大きなメインルームの他、部屋の構造や温度にあわせて3室ほどの小部屋があり、更には奥の方にクールダウンする冷却室や冷たいミストルームなどもあって、充実しておりおすすめです。私もしっかり発汗させていただきました。もし同じサービスを都内で利用するならば、相当な高額になるでしょうけど、成田空港の手前という立地ゆえ、比較的リーズナブルな価格設定であることも嬉しい点です。私もまた機会を見つけて再訪するつもりです。


牧の原温泉
含よう素-ナトリウム-塩化物強温泉 36℃ 溶存物質26.17g/kg 成分総計26.23g/kg
Na+:8746mg(88.10mval%), NH4+:73.4mg, Mg++:269.0mg(5.13mval%), Ca++:313.9mg(3.63mval%), Fe+++:4.3mg,
Cl-:15680mg(97.90mval%), Br-:72.7mg, I-:21.7mg, S2O3--:0.1mg, HCO3-:509.4mg,
H2SiO3:90.8mg, HBO2:29.5mg, CO2:62.4mg,
(平成27年6月16日)

北総線・印西牧の原駅より徒歩1~2分
千葉県印西市牧の原1-3 牧の原モア内
0476-37-8151
ホームページ

※残念ながら2020年夏頃に閉館しました。
料金・営業時間などは公式サイトでご確認ください。

私の好み:★★★

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谷川温泉 テルメ谷川

2018年05月18日 | 群馬県

昨年夏のお盆休みに、避暑とトレーニングを兼ねて谷川岳を登った時のこと。下山後の汗を流すべく、谷川温泉の有名日帰り入浴施設「テルメ谷川」へ立ち寄りました。このエリアで営業している日帰り温泉施設の中では、比較的古参の部類に入るのではないでしょうか。そのためか、木造建築の外観もいささか年季が入っているようです。

玄関入って左手の受付で料金を支払います。そして女湯は左手、男湯は右手へ進みます。なお受付の前では農産物やお土産物などが販売されているほか、2階には休憩室が用意されています。
私が訪れた日はお盆休みの夕方であったため、館内は混雑しており、あまり落ち着いて利用できる状況ではなかったため、今回のレポートでは文量が少なく、且つ自前の館内画像もございません。館内画像に関しては、谷川温泉観光協会の公式サイトからお借りしています。あしからずご了承ください。

浴室は、床が石板張りで、側面はオフホワイトのタイル張り。窓の外には周囲の木立の緑が広がり、清々しい雰囲気です。洗い場にはシャワー付き混合水栓が計9基設置されています。一方、浴室内には3つの浴槽があり、それぞれ源泉が異なります。そして各浴槽には、使用している源泉の名前がそのまま浴槽名として付けられています。ひとつずつ見ていきましょう。


窓側に設けられた最も大きな主浴槽は「不動の湯」。適温に維持されているこのお風呂は、掛け流しと循環消毒が併用されており、絶妙な湯加減を求める多くのお客さんで賑わっていましたが、循環消毒の影響かお湯の特徴を掴みにくく、私個人としてはあまり印象が残っておりません。



主浴槽の向かい側には扇形の浴槽が大小ひとつずつ設けられており、いずれの浴槽も掛け流しの湯使いです。小さい2人サイズの浴槽は「蛍の湯」。ちょっとぬるめのお湯からは、少々タマゴ味と弱い石膏味のような味覚が感じられます。しかしながら、分析書によればイオウは含まれていないようなので、このイオウ感は一体どこから来ているのかしら。ぬるいために水風呂の代わりとして使われているような印象を受け、クールダウンをしたかった私はこの浴槽を気に入って繰り返し入りましたが、私以外にあまりニーズが無かったようでした。

その隣にある4人サイズの扇型浴槽は「河鹿の湯」。他の源泉はみな単純泉ですが、この源泉だけカルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉という泉質名を名乗っています。42℃の源泉をやや絞り気味で投入しているため、「蛍の湯」ほどではありませんが、こちらも一般的な湯加減よりややぬるい程度の湯温でした。ただ残念だったのは、混んでいる夕方でしかも投入量が少ないために、掛け流しを実施している2つの浴槽では、いずれもお湯がぼんやり白く霞んでおり、明らかに鈍っていました。通常時ならばそこまで鈍ることは無いのでしょうけど、混雑時には循環しているお風呂の方がよほど綺麗に見えます。湯使いの難しさを実感させられます。


 
屋外に出て階段を下ると露天風呂です。とても大きくて開放的な岩風呂は、30人近く入れそうなキャパを有しています。こちらでは「不動の湯」と「河鹿の湯」の2源泉を混合しており、状況によって加水や加温が行われた上での放流式が実施されているようですが、浴槽の大きさに対して投入量が足りておらず、それゆえここでも混雑の影響によってお湯が鈍っていました。とはいえ、ちょっとぬるめの長湯仕様でしたたから、夏の湯あみには最適かもしれません。その一方、緑に囲まれ、且つ沢沿いというロケーションなので、アブが飛び回っており、正直なところ私は長居することはできませんでした。
なお、露天風呂から更に下る階段があり、その先には木立の中に囲まれたテラスが設けられていて、デッキチェアーに座りながら沢を眺めて涼めるようなつくりになっています。季節のよってはここでゆっくり休んで過ごすのも良いでしょう。

今回は私の訪れたタイミングが悪かったため、あまり良いレポートができませんでしたが、時を改めて再訪し、こちらのお湯の良さと人気の理由をもう一度探ってみたいと思います。


(不動の湯)
不動の湯2011
単純温泉 56.1℃ pH8.6 蒸発残留物0.480g/kg 成分総計0.445g/kg
Na+:66.0mg, Ca++:57.0mg,
Cl-:71.4mg, SO4--:162.5mg, HCO3-:20.7mg, CO3--:6.6mg,
H2SiO3:53.8mg,
(平成23年8月22日)
加温あり(気温の低い期間のみ、入浴に適した温度に保つため)
循環ろ過あり(温泉資源保護と衛生管理のため)
消毒あり(県条例を満たすため、塩素系薬剤を使用)
加水なし

(蛍の湯)
蛍の湯
単純温泉 39.4℃ pH8.3 蒸発残留物0.73g/kg 成分総計0.67g/kg
Na+:62.8mg, Ca++:130mg,
Cl-:58.0mg, SO4--:247mg, HCO3-:12.2mg, CO3--:6.0mg,
H2SiO3:52.1mg,
(平成23年10月11日)
加水加温循環消毒なし

(河鹿の湯)
河鹿の湯
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 42.0℃ pH8.2 蒸発残留物1.11g/kg 成分総計1.03g/kg
Na+:81.4mg, Ca++:215mg,
Cl-:84.3mg, SO4--:561mg, HCO3-:17.1mg,
H2SiO3:50.9mg,
(平成23年10月11日)
加水加温循環消毒なし

(露天風呂)
不動の湯2011及び河鹿の湯の混合泉
単純温泉 48.6℃ pH8.6 蒸発残留物0.420g/kg 成分総計0.38g/kg
Na+:54.8mg, Ca++:51.7mg,
Cl-:58.2mg, SO4--:144mg, CO3--:6.0mg,
H2SiO3:48.8mg,
(平成24年7月25日)
加水あり(温泉資源保護と入浴に適した温度に保つため)
加温あり(入浴に適した温度に保つため温水を加えている)
循環消毒なし

群馬県利根郡みなかみ町谷川514-12
0278-72-2619
紹介ページ(谷川温泉観光協会website内)

10:00~20:30(7月~10月は9:00~20:30) 第3木曜定休。毎週木曜は15時より露天使用不可(清掃のため)
570円/2時間
ロッカー(貴重品用無料、脱衣室内は100円有料)、シャンプー類、ドライヤーあり

私の好み:★★

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湯の山温泉 アクアイグニス(片岡温泉)

2018年05月15日 | 三重県
 
近鉄電車で湯の山温泉駅へやってまいりました。
温泉地へ行くならば駅を出て西の方へ向かわなければなりませんが、私は逆の東へと歩き出しました。


 
駅から徒歩約10分で、今回の目的地である「アクアイグニス」に到着です。以前、こちらの施設は「片岡温泉」と称する温泉入浴施設として営業しており、拙ブログでも取り上げておりますが(その時の記事はこちら)、2012年に場所を線路や国道に北側に移した上で、「アクアイグニス」という名称でリニューアルオープンしております。リニューアルどころか完全に別個の、食と癒しをテーマにした、いかにも現代風なコンセプトとデザインを織り込んだ複合リゾートとして生まれ変わりました。
国道から敷地に入ると、広い構内の奥の方に平屋の建物が並び、その手前にはリゾート内で消費される蔬菜類の菜園が設けられていました。自然・安心・手作りといったコンセプトの象徴のような存在かもしれません。


 
敷地内のパン屋さんは、国産小麦を使い、スペイン製の石窯で焼き上げている、吟味と厳選を重ねた素敵なお店です。



聖バレンティンの像と、その周囲にあしらわれた直線的なオブジェクト。ここで結婚式でも行うのでしょうね。


 
敷地の中央には水上ステージなるものが。
各種イベントや結婚式披露宴などで活用されるのでしょう。



水上ステージをまわって、浴場がある建物へ。
デザイン性を優先させているためか、案内表示が小さかったり無かったりして、ちょっとわかりにくいのですが、これもまた洒落た施設らしい特徴です。




白亜のホールを抜けて館内へ。アーティスティックで素敵な空間が広がっていますとても温泉施設だとは思えません。天井が高く開放的で、温もりと落ち着きを兼ね備えた館内には、カフェやリラクゼーション施設が備わっており、日がなのんびり寛ぐことができるでしょう。


 
たくさんのビーズクッションが無造作に置かれ、思い思いに休める休憩室の脇を通り・・・



通路の突き当りにある浴場へ。
綺麗で清潔感に満ちた脱衣室には、大きなロッカーがたくさん用意されており、使い勝手良好です。



浴場も現代的でスタイリッシュ。広々しており開放的です。石材などモノトーンの素材の中に木材といった自然を感じさせる建材を取り込むことで、落ち着いた雰囲気と温かで柔らかな印象を同時にもたらしていました。


 
窓際に設けれられた主浴槽は(目測で)約8m×3mというゆとりの大きさ。床と同じ濃いグレーの石材で設えられており、浴槽の中央底部から噴き上がったお湯は、四方の縁へオーバーフローしています。加温加水循環の無い放流式の湯使いです。
窓外には庭の竹林が広がり、それを眺めながら湯あみすると、あたかも一幅の絵画を眺めているかのような心地です。房かも湯加減もちょうどよく(42℃前後)、主浴槽に相応しい万人受けするお風呂となっていました。また、主浴槽の窓は開閉式になっており、私が後述する露天風呂へ行っている間に、スタッフの方が窓を全開にしてくれました。これにより、まるで半露天風呂のような清々しい空間へと生まれ変わりました。季節や気候に応じて開け方を変えたりするのでしょう。




話が前後しますが、脱衣室から浴場へ入ってまず通過するのが洗い場ゾーン。左右シンメトリに配置され、計38基のシャワー付きカランが取り付けられています。各ブースに備え付けられているアメニティは、かの有名パティシエ辻口博啓氏によるベトナム辻口茶園のもの。洗い場中央には上画像のような上がり湯もあり、シャワーのお湯・上がり湯ともに源泉のお湯が使われています。



主浴槽の窓1枚を隔てた外側には露天風呂が設けられています。「竹林風呂」とネーミングされているように、青く美しく涼しげな竹林を眺めながら湯浴みできる素敵なお風呂です。竹林の向こう側には(画像はありませんが)寝湯が配置され、白木の屋根の下に四角い豆タイル貼りの浅い浴槽が据えられています。体の曲線にフィットするよう底の形状が波打つラインを描いています。
竹林の奥にひっそりと佇んでいるにおは、屋根掛けされた樽風呂。直径3mほどで4~5人は入れそうなキャパを有しています。お湯は中央底部より投入され、惜しげもなく溢れ出ており、湯船自体はまどろんでしまいそうな41℃前後の湯加減に調整されていました。

この他、竹林の庭の一部にウッドデッキが設けられており、湯浴みの途中で休憩するのにもってこい。私は火照った体をクールダウンするべく、その上で大の字になって仰向けに寝そべりましたが、これが実に気持ち良いのです。おすすめ。
露天エリアは周囲を塀で囲まれているものの、結構広い上、竹林が随所にあしらわれているため、美しくて落ち着きのある実に良い雰囲気が醸成されていました。

お湯はわずかに薄い黄色を帯びているように見えますが、実際には無色透明かもしれません。湯中の浮遊物(湯の花等)は存在せず、泡付きについても確認できませんでした(実際にはあったのかも)。お湯を口に含むと、清涼感を伴うほろ苦味と微かな金気、有機肥料のような風味、そしてアルカリ性泉的な微収斂が伝わってきました。また湯中ではツルツルスベスベのとても滑らかで柔らかい浴感が得られ、お湯に入った瞬間、肌のほんの僅かな接触面からもそのトロッツルッとした滑らかさが伝わってきたほど、大変気持ちの良いフィーリングがもたらされます。しかも、全浴槽で放流式の湯使いが採用されているため、お湯の鮮度感も良好です。

現代的な空間に伝統的な和の様式を取りいれたスタイリッシュな施設であり、しかも各浴槽で温泉がかけ流されているにもかかわらず、600円で入浴利用ができるのですから、ただ脱帽するほかありません。施設のコンセプトとしては女性受けしそうですが、いえいえ、男性もきっと満足できるはず。かく言う私もすっかり気に入ってしまいました。
今回の記事で取り上げたのは温泉浴場のみ。ほかにもホテルやオーベルジュなど、魅力的な施設がありますから、今度は宿泊で利用してみたいものです。


湯の山片岡温泉
アルカリ性単純温泉 45.2℃ pH8.5 780L/min 溶存物質0.54g/kg 成分総計0.54g/kg
Na+:153.9mg(95.99mval%),
Cl-:87.7mg(36.41mval%), Br-:0.2mg, HCO3-:244.0mg(58.48mval%),
H2SiO3:35.8mg,
(平成23年12月5日)
加水加温循環ろ過なし
消毒あり(次亜塩素酸ナトリウム12%溶液を毎分12cc投入)

近鉄湯の山線・湯の山温泉駅より徒歩10分ほど
三重県三重郡菰野町菰野4800-1  地図
059-394-7733
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日帰り入浴6:00~24:00
600円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり、各種レンタルあり

私の好み:★★★





コメント (1)
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