温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

倉真赤石温泉

2023年08月28日 | 静岡県

(2022年9月訪問)
鄙び系の温泉が好きなファンから評価が高い静岡県掛川市の倉真赤石温泉。最近は利用に際して事前の予約が必要になり、また営業日も土日祝のみになったため(2023年6月から水曜日も追加)、以前よりも利用のハードルが高くなったのですが、そもそも現地へ向かうまでのアクセスがちょっと大変です。集落から山の方へ伸びる道を進み、途中から上画像に写っている林道のようなアプローチ路を入ってゆくのですが・・・


この道が細くて怖いのです。車1台しか通れないコンクリ舗装の狭隘路で、路側の片方は崖になっており、ガードレールなどは無いため、谷側へ脱輪したら転落してしまいそう。行き違うスペースも無いため対向車が来てもお手上げでしょう。


この悪路は距離こそ短いもののスリリングな道程なので、冷や冷やしながらハンドルを握り、現地へ到着したときにはホッと胸をなでおろしてしまいました。しかも駐車場は1台がやっと停められるスペースしかないため、中途半端に大きなSUVに乗っている私は、自分の車を何度か切り返してようやく駐車できたのでした。狭隘路や駐車スペースといったハードルがあるため運転初心者の方には精神的にちょっと厳しいかもしれません。でも苦あれば楽あり。苦難を乗り越えた先に極楽が待っているのです。
私が車を停めると中からスタッフの方が出てきてくださったので、予約した際の名前を申し上げて湯銭を支払いしました。なお手作り感あふれるこの建物の屋上にも確かお風呂(源泉風呂)があるはずですが、この日は利用できませんでした。


冒頭で申し上げましたように、こちらのお風呂は事前予約制且つ貸切制です。しかも開けている浴室は一室のみ。つまり利用客は私だけ。


この温泉は急斜面に建てられており、それゆえ窓からの眺めが良く、青くて広い空と周辺の山の緑が果てしなく広がっていました。でもこの浴場がある場所を地図を見ると、なんと新東名の掛川PAのすぐそばなんですね。流通の大動脈が目と鼻の先を通っているだなんて信じられません。


お風呂の造りは至ってシンプルで、6畳ほどの空間に2〜3人サイズの浴槽がひとつと、洗い場に混合水栓(シャワー無し)が2つあるだけです。その浴槽もタイルのお風呂の側面をモルタルとペンキで補修しており、自分で修理しましたという感たっぷり。

湯口からは加温された無色透明のお湯が出され、湯舟では糸くずみたいな形状の湯の花が沈殿しています。湯使いは加温かけ流し。湯口から出るお湯を手に取ってテイスティングしてみますと、硫黄感があったりなかったりで、私の訪問時には硫黄感にムラがあるように感じられました。分析表によれば総硫黄は3.5mgというそこそこの量がありますから、湧出したばかりの冷鉱泉ではしっかりとした硫黄感が得られるものと思われます。そんな硫黄感の他、アルカリ性泉にありがちな微収斂やほろ苦みが感じられ、湯中ではヌルっとした感触を伴うツルスベの滑らかな浴感が得られました。24.1mg含まれる炭酸イオンがその浴感をもたらしているのでしょう。湯口から出るお湯は加温が抑えられているので、湯船でも長湯したくなるようなぬるさになっており、つい微睡みそうになってしまいました。余計なものが無いお風呂なので、じっくりとお湯の良さを堪能することができます。なお館内の説明によれば炭酸の気泡が体に付着するとのことですが、今回の利用では(私は鈍感だったのか)気泡付着には気づきませんでした。これも非加温の源泉ではおそらく気泡がしっかり付着するものと思われます。

手作り感溢れる渋い湯小屋で特徴的な鉱泉に入れるこちらの施設。鄙びた雰囲気がお好きな方にはたまらないお風呂かと思います。


倉真赤石1号
単純硫黄冷鉱泉 18.2℃ pH9.4 5.8L/min(動力揚湯) 溶存物質0.448g/kg 成分総計0.448g/kg
Na+:134.8mg(99.66mval%),
HCO3-:134.6mg(37.46mval%), SO4--:122.7mg(43.22mval%), CO3--:24.1mg(13.56mval%), OH-:0.4mg, HS-:2.4mg, S2O3--:1.1mg,
(2019年10月25日)

静岡県掛川市倉真赤石5984-1
0537-28-1126
掛川市観光協会公式サイト内の紹介ページ

事前予約制 10:00~16:00 土・日・祝日のみ営業(令和5年6月より水曜日も営業)
1300円

私の好み:★★+0.5
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清水西里温泉 やませみの湯

2023年08月23日 | 静岡県

(2022年9月訪問)
静岡県の温泉は多くが伊豆半島に偏在していますが、県央部にも温泉ファンが推す名湯がいくつかあります。その中から今回は静岡市清水区にある「清水西里温泉 やませみの湯」を取り上げます。清水といってもその地名から連想するような海岸部ではなく、次郎長の賭場がありそうな市街地でもなく、興津川をひたすら遡った山奥の里にあり、平屋の建物が周囲の緑に囲われている、自然豊かな環境に抱かれた日帰り温泉入浴施設です。


「やませみの湯」という施設名が表すように、付近を流れる渓流ではヤマセミが棲息しているのかもしれませんね。現地に到着してから軽く周辺を散策してみましたが、そう簡単に飛んでいるヤマセミと出会えるわけもなく、施設の前に設置された石像のヤマセミにご挨拶するのが精いっぱいでした


敷地の外れにあるこの設備は源泉関係の設備でしょうね。


私はちょうど開館時間と同時に訪問し、この日最初の客となりました。一番風呂に入れるのですから嬉しいじゃないですか。


受付で入浴料金を支払い、その先に掛かっている暖簾を潜ります。館内では地場産品などを売っているほか、休憩用のお座敷や食事処などがあり、お風呂上がりもゆっくり過ごせます。休憩はなどは後回しにして、まずは一番風呂に入りましょう。

浴室は「岩風呂」と「檜風呂」の2室に分かれており、男女が週替わりで暖簾を入れ替えているそうです。なお岩と檜は露天風呂の設えの違いによります。訪問日は「檜風呂」に男湯の暖簾が下げられていましたので、今回の記事は「檜風呂」について述べさせていただきます。


(内湯と露天風呂の画像は公式サイトから借用しました)
内湯は広くて開放的な造り。洗い場にはシャワーが6個あり、1ヶ所当たりのスペースが広く確保されている上に、シャワーヘッドが大きいため、使い勝手が良好でした。
内湯の浴槽は10人近く同時に入れそうな大きさがあり、その一部では泡風呂装置が稼働しています。浴槽には適温のお湯が張られていますが、かけ流しではなく加水加温や循環消毒が行われている無色透明無味無臭のお湯です。
なお公式サイトで紹介されてる上画像は、今回は入らなかった「岩風呂」側の内湯かと推測されますが、左右シンメトリになっているだけで、基本的な造りは同じかと思われます。とはいえ、タイルの色遣いが異なる他、浴槽の縁に用いられている材質が異なっています(岩風呂は石材であるのに対し、檜風呂は木材を使用)。


「檜風呂」側の露天には3つの浴槽があり、いずれも浴槽自体はタイル(石板?)張りですが、縁には檜材が用いられています。最も奥の大きな浴槽には屋根が掛けられ、その手前の浴槽は2~3人サイズの正方形に近い形状。いずれの浴槽も内湯と同じ加水加温循環消毒の湯で、訪問時は槽内に竹炭が入れられていました。また正方形に近い浴槽のお湯は40℃という入りやすい湯加減でした。


今回私がこの「やませみの湯」を訪ねた最大の目的がこの小さな浴槽です。露天風呂ゾーンの最も手前にあるこの浴槽は非加温の源泉かけ流しとなっており、内湯や他の露天浴槽とは明らかにお湯の質が異なっているのです。まずお湯の見た目ですが、他の浴槽ではお湯が無色透明無味無臭であるのに対し、かけ流しの浴槽ではお湯が黄色を帯びています。また他の浴槽では無味無臭であるのに対し、この浴槽では薄い塩味が感じられました。各浴槽で同じ源泉を使っているはずなのに、湯遣いによってこんなに異なってしまうのですね。

源泉の持ち味を活かすためか加温も抑えられており、他の浴槽では適温かやや熱めでしたが、かけ流し浴槽は35~36℃という微睡みを誘うようなぬる湯設定になっています。私が訪問した日はまだ残暑が厳しかったために適温の湯加減でも少々熱く、このかけ流し浴槽の湯加減がとても爽快に感じられました。いわゆる不感温度帯の湯加減ですから、湯船に浸かるとどうしても眠くなってしまいます。これは私のみならず多くのお客さんが同様でしょう。でも小さな浴槽で2~3人しか入れないため、ここで寝てしまうと他のお客さんが入れなくなってしまいます。このためかけ流し浴槽では15分以内で出るようローカルルールが定められていました。その時間制限を恨めしく思ってしまうほど、このかけ流し浴槽は気持ち良く湯あみできました。

その一方で気になることもいくつか。湯口からは加温されたお湯がチョロチョロと落とされ、その反対側の縁からお湯が溢れ出ているのですが、投入量とオーバーフロー量が見合っていないような気がするのです。私が見る限りはオーバーフロー量の方が多かったようです。また湯口のお湯からははっきりとしたカルキ臭が感じられる他、分析表によれば溶存物質11040mgという高張性の食塩泉であるにもかかわらず、お湯から得られる塩味は比較的薄く、またデータの上では苦汁のような味があっても不思議ではないのですが、そのような味も全く感じられませんでした。
源泉の湧出量が毎分36リットルしかないのに、これを男女両浴場の内湯や露天風呂で使用し、その上かけ流し浴槽まで用意しているわけですから、どうしても源泉が足らなくなり、かけ流しの浴槽でも相当量の白湯が源泉と同時に投入されているのではないかと推測されます。こればかりは致し方ありません。もし私の邪推が的外れでしたら申し訳ございません。無礼をお許しください。

でも周辺は緑豊かで大変良い環境ですし、広くて明るくて複数の浴槽に入れますので、非日常の空気に満たされながらのんびり湯浴みしたい方には最適の施設ではないかと思います。


ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 30.1℃ pH7.2 36L/min(動力揚湯) 溶存物質11040mg/kg 成分総計11200mg/kg 
Na+:2331mg(51.80mval%), Ca++:1857mg(47.34mval%),
Cl-:6712mg(99.48mval%), Br-:21.3mg,
H2SiO3:9.9mg, HBO2:21.7mg, CO2:163.6mg,
(平成27年6月25日)

静岡県静岡市清水区西里1449
054-343-1126
ホームページ

平日9:30〜18:00(最終受付17:00)、土日祝9:30〜19:30(最終受付18:30)
毎週月曜及び年末年始定休
700円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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熊の湯温泉 熊の湯ホテル 2022年8月宿泊

2023年08月16日 | 長野県

(2022年8月訪問)
あ゛~暑ぃ。逃げ場が無い。もうやってらんねぇ。
そうお嘆きのあなた。標高の高いところへ避暑するのはいかがでしょうか。
2022年8月の某日、地獄釜のような東京の猛暑に参っていた私は、体が茹で上がる前に涼しいところへ逃れようと、信州の志賀高原を目指しました。その時にお世話になったのは、温泉ファンならおなじみの名湯である熊の湯温泉「熊の湯ホテル」です。日帰り入浴で何度か利用しており、拙ブログでは2009年に一度取り上げておりますが(当時の記事はこちら)、今回は宿泊して高原の冷涼な気候に体を休めながら名湯をたっぷり堪能しようと考えたわけです。


建物自体は結構年季が入っていますが、客室はしっかりお手入れが行き届いており、快適に滞在できました。
快適なのはお部屋のみならず、志賀高原の気候も実に快適。この日、下界は35℃だったのですが、志賀高原は昼間の最高気温でも25 ℃、夜になれば18℃まで下がり、涼しいを通り越して肌寒さすら感じるほど。これだけ涼しいのですから冷房はんて不要です。エアコンが効いた室内に居続けると体調がおかしくなりますが、ここならそんな心配は要りません。


なお今回宿泊したお部屋はお布団ではなくベッドで寝られるタイプでした。
普段からベッドで寝起きしており、布団だとあまり寝付けない私としては、とてもありがたい設備です。なお室内にもWifiが飛んでいましたが、ちょっと弱めだったかな。


お食事は大食堂でいただきます。
お肉の鍋、根曲竹、夏野菜の煮物、山菜の天ぷらなど、山の幸を中心とした献立で、みなどれも美味。


朝食はバッフェスタイル。
貧乏な性分が性根にこびりついている私は、ついつい欲張って余計に盛ってしまい、食後には動けなくなるほど食べ過ぎてしまいました。
バッフェを利用するたびに盛りすぎてしまう貧乏性を反省するのですが、反省が次の経験に活かせないのが私の情けないところです。


食堂の窓の向こうには源泉があるんですね。
ここから浴場へお湯が引かれているのか・・・。


では、そのお風呂へと向かいましょう。
「碧落」と「翠玉」という二つの浴室があり、日替わりで男女の暖簾を入れ替えています。私が利用した日は「碧落」に男湯の暖簾がかかっていましたので、以下のレポートは「碧落」について述べております。暖簾をくぐった先には・・・


「内湯の水温は約43℃です」と書かれた札が下がっていました。43℃ってちょっと熱めの湯加減ですね。
源泉のお湯をなるべく加水しないで浴槽へ注いでいるため、どうしても熱めになってしまうのでしょう。


総木造の内湯は趣きたっぷり。山の湯小屋は天井が高くて大きいながらも、設備面はシンプル。薄暗くて静かな浴室には、洗い場の他に浴槽がひとつあるだけですが、とにかくお湯が素晴らしいので、余計な設備なんて要らないのです。


洗い場に並ぶシャワーは5つ。吐水圧はやや弱いかな。


湯口から滔々と注がれる熊の湯の温泉。いつまでも眺めていたい・・・。


露天風呂は5〜6人サイズ岩風呂。すぐ目の前が駐車場であるために周囲の景色は眺められませんが、目の前を小さな滝が落ちており、高原の冷涼な風が吹き抜けるので、適宜クールダウンしながら気持ちよく湯浴みできました。


総木造の内湯では目立ちにくかったのですが、この岩風呂では湯口まわりをはじめとして、お湯に含まれるカルシウムなどの析出が浴槽にこびりつき、細かなトゲトゲがびっしりと湯面ライン上に現れていました。

緑色透明のお湯には白い粉状の沈殿が見られ、湯の花も少々浮遊しています。湯口のお湯を口に含むとはじめは石膏の甘みがあり、その後から硫黄のたまご味、苦味といった味覚を得るとともに、口腔粘膜や唇に痺れが感じられます。湯面からはクレゾールのような刺激のある独特の匂いと硫化水素臭が漂っています。緑の硫黄泉で苦いといえば、岩手の国見温泉や北海道の雌阿寒温泉などが思い出されます。湯使いは加水したうえでの掛け流し。内湯はちょっと熱めの43℃前後ですが、露天風呂は外気で冷やされるためか40℃未満だったように記憶しています。お湯に浸かるとしっとりスベスベの浴感が気持ちよく、その良さゆえに後を引くので湯船から出られなくなってしまいます。いつまでに入っていたい名湯です。

熊の湯温泉の宿泊中、夜に車で近くの横手山へ行き、スカイレーターで上の方へ上がったのですが、山の上は涼しいを通り越してむしろ寒いくらいで、焚き火の温かさがありがたく感じるほど冷え込んでいました。下界は熱帯夜で寝苦しいというのに、山の上の方は寒いのですから、暑さから逃れるためにはとにかく上へ上へと向かえばよいのですね。熊の湯はそんな避暑目的で目指す温泉のひとつとしてもおすすめです。


熊の湯温泉
含硫黄-カルシウム・ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩温泉 57.6℃ pH7.5 湧出量記載なし(掘削動力揚湯)溶存物質1.544g/kg 成分総計1.594g/kg
Na+:137.0mg(31.07mval%), Mg++:25.0mg, Ca++:218.8mg(56.93mval%),
Cl-:104.7mg(14.29mval%), HS-:50.7mg, S2O3--:30.4mg, SO4--:341.1mg(34.36mval%), HCO3-:519.5mg(41.20mval%),
H2SiO3:99.1mg, CO2:30.7mg, H2S:19.1mg,
(平成26年9月12日)

長野県下高井郡山ノ内町平穏7148
0269-34-2311
ホームページ

日帰り入浴12:30〜15:30(平日)、12:30〜15:00(土休日)
1200円(タオル付)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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四万温泉 山ばと(後編 お風呂)

2023年08月12日 | 群馬県
前回記事の続編です。


さて食欲を満たした後は、四万温泉のお湯に浸かりましょう。
お宿にはお風呂が3室あり、すべて貸切で使います。貸切とはいえ予約制ではなく、空いていれば3室のうち好きなお風呂をいつでも利用でき、しかも全てのお風呂が源泉かけ流し。
他人に気兼ねなくかけ流しの温泉に浸かれるんですから、有難いことこの上ありません。

館内には3つのお風呂の使用状況をランプで知らせる設備があるほか・・・


(上画像は一部加工しています)
スマホで専用のQRコードを読み取ると、3つのお風呂の空室状況を確認できます。
わざわざお風呂まで行って空いているかを確認することなく、客室にいながら空き状況がわかるので大変便利ですね。


私もスマホで空き状況を確認して、3階の客室から1階のお風呂へ階段を下って向かいました。
まずは階段下って左側にある「美晴の湯」から。このお風呂は私の滞在中、比較的「使用中」になる時間が長かったようでしたが、なぜ利用頻度が高かったのか、理由は後ほど。


貸切風呂だというのに、シャワーが3ヶ所もあるんですね。このシャワーの数からも想像できますが、このお部屋は他の2室より広いような感を受けました。


湯船も比較的ゆとりがある造りで、入りやすい湯加減のお湯が張られており、しっかり掛け流されていました。硫酸塩の析出で真っ白になった湯口を見ると、マニア的には大興奮してしまいますが、果たしてこの日のお客さんで私と同じような心境になった方はいらっしゃったのでしょうか。ま、普通はこんなもので興奮なんてしませんよね。


続いて、真ん中の「こしきの湯」へ。お部屋自体も湯船の造りも「美晴の湯」より一回り小さいのですが、それが原因なのか、湯船のお湯がかなり熱く(冷めにくいのでしょうか)、私は湯浴みする前にしっかりと湯もみして湯加減を調整しました。でもこのお湯の熱さ、浴槽の縁に用いられている木材の感触、そして湯口を覆うかのようにびっしりと付着した白い析出が気に入り、私は宿泊中にこの「こしきの湯」を最も多く利用させていただきました。


洗い場には「美晴の湯」同様に3つのシャワーが取り付けられていますが、スペースの関係でちょっと無理がある配置に見えます。
寛げる広さや湯加減、使い勝手等といった理由で、お客さんは「美晴の湯」を選ぶ傾向にあったのかもしれませんね。


「こしきの湯」の右隣には「露天風呂」もあります。みなさんと同じく私も開放感が楽しめる露天風呂は大好きなので、こちらのお宿に宿泊している間も利用させていただきましたが、正直なところ限られたスペースの中でかなり苦労して作ったような感が強く、湯船は2人がやっと入れる大きさで・・・


洗い場のシャワーも一つだけです。他の2室に比べるとかなり狭く、両側に塀も迫っているため、露天風呂に期待したい開放感はいまひとつといったところ。でも・・・


目下にはせせらぎが流れ、その川の向こうには木々の深い緑が広がり、環境はとても良好です。そよ風に吹かれながら、綺麗な空気を吸って湯あみするのも良いものですね。


露天の湯口にもしっかりと硫酸塩の白い析出がこびりついていました。
先程も申し上げましたように、全てのお風呂で完全かけながしを実践しており、お湯のコンディションはどのお風呂でも良好です。なおネット上の情報によれば、以前は循環していたようですので、最近になって湯使いを改善したのでしょう。3つのお風呂共通で、浴槽の底には緑色凝灰岩が敷かれており、お尻を底へ着けた時の気持ち良さに気分が上がります。

無色透明で綺麗に透き通ったお湯からは、石膏味が少々と芒硝風味が感じられ、湯中ではトロミとともに引っかかりのある浴感が得られます。湯口から出るお湯はちょっと熱めで、加水はしていないため、投入量によって湯加減を調整しているのかと思われますが、加水用のホースもありますので、お客さんによっては大量に加水しちゃうこともあるようです。
四万温泉には複数の源泉がありますが、こちらに引かれているのは湯の泉の湯源泉と山鳥の湯源泉の混合で、日向見地区にある足湯と同じ源泉です。一見すると癖が無さそうに見えますが、湯口にこんもりと白い析出を着けるほどの成分が含まれているわけで、湯船に浸かると力強く温まって、湯上がりは汗がなかなか引きません。実に良いお湯です。

美味しい料理に舌鼓を打ち、貸切のお風呂でかけ流しの温泉を堪能できる、とっても素敵なお宿でした。
四万温泉には良いお宿がたくさんあるので、良い意味で宿選びに迷いますね。


山鳥の湯・湯の泉の湯(混合泉)
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 49.4℃ pH8.76 蒸発残留物1.07g/kg 成分総計1.05g/kg
Na+:104mg, Ca++:203mg,
Cl-:33.2mg, SO4--:651mg, CO3--:7.2mg,
H2SiO3:49.5mg,
(平成17年2月14日)
加水加温循環消毒なし

群馬県吾妻郡中之条町四万4358-11
0279-64-2217
ホームページ

私の好み:★★★
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四万温泉 山ばと(前編 お部屋・食事)

2023年08月09日 | 群馬県

(2022年8月訪問)
2022年8月某日、山の緑の中でぼんやり寛ぎたくなり、四万温泉の「山ばと」で一晩お世話になりました。四万温泉は温泉口、山口、新湯、ゆずりは、日向見という5つのエリアに分かれていますが、こちらのお宿は最奥の日向見に位置しており、山の緑に囲まれ、脇をせせらぎが流れる、とても静かな環境です。
小規模なお宿であるため、一晩に泊まれるお客さんは6組限定。玄関は2階にあり、客室は3階で、お風呂が1階という造りです。


今回案内された客室は、角部屋の「つつじ」。
10畳の和室で、手入れが行き届いているため綺麗で明るく、心置きなくゆったり寛げました。また館内にはWifiも飛んでいるため、ネット環境も問題ありません。


お部屋の中に備え付けられているアメニティでは足りない場合は、廊下や階段の踊り場にあるアメニティコーナーからセルフでピックアップ。


お食事は2階の奥にある食事処でいただきます。
各テーブルが半個室状態なので、他のお客さんを気にせずゆっくり食事を楽しめました。
先付けはトマトのお浸し、地場伝統野菜の和え物、ワカサギ南蛮漬けなど。


山奥なのにマグロやカニなどを出すような野暮なことはせず、山の魚のお造りが出されました。このお魚はギンヒカリといい、川場村の群馬県水産試験場で生産された高級ニジマスなんだとか。川魚って生で食べられないのが一般的ですが、養殖方法によっては生でも大丈夫なんですね。たしかに川魚とは信じられないほど美味でしたよ。


こちらは米茄子の田楽。素材の持ち味を活かした夏らしいお料理ですね。
この他、鰆の西京焼きや茸と瓜類の酢の物なども出されました。



宿泊予約時に食事のコースを選択できるのですが、私たちは「温泉蒸し」を選択。
これがその「温泉蒸し」です。夕食の主役ですね。
たくさんの野菜の他、上州牛サーロイン、麦豚、赤城鶏というご当地産のお肉をせいろに入れ、下から熱した温泉水でこれらの食材を蒸していただきます。ボリュームたっぷりで大変美味。
美味しさのあまりに箸が進みすぎ、食べ過ぎてしまって身動き取れなくなっちゃいました。


こちらは朝食。刺身こんにゃく、県内産大豆を使った納豆、安中のお醤油、地元材料で作った自家製味噌など、とにかく地元食材を積極的に使っており、群馬県の食材の豊富さと美味しさを実感しながら旅の味覚をいただきました。


ご飯はふっくらつやつやに炊かれた地元中之条町産のこしひかり。このご飯と、焼きたてのしゃけを一緒に口へ運ぶと、もう最高です。

次回記事では、お風呂の様子を取り上げます。

(次回に続く)
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