温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

赤倉温泉 旅館いづみ荘

2017年09月30日 | 山形県
 
山形県最上町の赤倉温泉へとやってまいりました。温泉街の真ん中を流れる小国川の両岸に温泉旅館が立ち並んでいます。


 
今回訪れたのは川原からちょっと上がったところにある小さなお宿「旅館いづみ荘」です。道路と斜面に挟まれた土地の形状に合わせて建てられた細長い造りのお宿。館内にある客室は7室という家庭的な規模のお宿です。日帰り入浴をお願いしたところ、快く受け入れてくださいました。


 
階段を下って浴室へ。細長い廊下に沿って二つの浴室が並んでおり、手前側は女湯、奥が男湯でした。


 
ウッディな脱衣室を抜けて浴室へ。
決して大きなお風呂ではないのですが、室内には明るいながらも落ち着いているオフホワイトの建材が用いられ、また窓からは陽光が降り注いでいるため、実際の床面積以上の広さを感じることができるかと思います。なお洗い場にはシャワー付きカランが2個用意されていました。


   
浴槽は4人サイズ。縁は石材で内部はタイル貼りです。浴槽の傍らには観葉植物が置かれ、その下でカエルの置物が入浴客を見つめていました。シンプルな造りの浴槽ですが、寧ろそれによってお湯の清らかさが綺麗に映しだされており、無色透明で大変クリアな湯船の湯面では、窓から差し込む外光がキラキラと輝いていました。


 
使用している源泉は大場源泉と大場2号源泉のミックス。壁から突き出た湯口よりそのお湯が注がれているのですが、湯口には温泉成分の析出が付着し、湯口のみならずその周り、特にオーバーフローが流れやすい窓側の縁にも白いトゲトゲやたくさんこびりついていました。いかにも無色透明の硫酸塩泉らしい、典型的なビジュアル的特徴であり、実際に湯口のお湯をテイスティングすると、芒硝の匂いと味がはっきり感じられ、湯中ではトロミが得られました。
完全放流式の湯使いであり、私が入った時にはやや熱めの湯加減でしたが、入りしなこそ脛にピリピリとした刺激が走ったものの、一旦肩まで体を沈めると湯加減に体が慣れ、そのまましばらく浸かっていると、気持ち良さに後ろ髪を引かれて、体が火照っているにもかかわらず、湯船から出るのが躊躇われました。湯加減はもちろん、お湯自体にパワーがあるため、決して長湯はできないのですが、それでもお湯が良いので、私は湯船を出たり入ったりを繰り返しながら、存分にこちらのお湯を堪能させていただきました。
宿泊予約サイトでこちらのお宿の口コミを拝見すると、どれも高く評価されているので、今度は是非宿泊で利用してみたいものです。


大場源泉・大場2号源泉
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 52.7℃ pH8.1 溶存物質1032mg/kg 成分総計1032mg/kg
Na+:152.5mg(46.59mval%), Ca++:147.1mg(51.58mval%),
Cl-:52.5mg(10.42mval%), SO4--:563.6mg(82.55mval%), HCO3-:53.3mg,
H2SiO3:49.5mg,
(平成21年9月18日)
加水加温循環消毒なし

山形県最上町大字富澤1005-7 地図
0233-45-2403
ホームページ

日帰り入浴10:00~16:00
500円(または鳴子湯めぐりシール2枚)
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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栗駒・駒の湯温泉 2017年秋 栗駒山頂はまもなく紅葉のシーズン

2017年09月28日 | 宮城県
鳴子エリアの温泉を連続して取り上げている途中ですが、今回記事だけタイムリーな話題をお届け致します。

 
拙ブログでこれまで何度もご紹介しており、私(K-I)も個人的に応援している宮城県栗駒山の「駒の湯温泉」。
栗駒山の山頂付近がまもなく2017年の紅葉シーズンを迎えつつありますので、紅葉狩りの登山と温泉をセットにしたお出かけはいかがでしょうか、というご提案とともに、季節の便りをお知らせ致します。なお、9月16日の土曜日に下山してきた登山者の方の画像を拝見したところ、色づきはじめといった状況でしたので、この週末(9月下旬)から見頃を迎えるものと推測されます。


 
 
ご参考までに2015年および2016年の山の紅葉をご覧ください。駒の湯温泉の「そばカフェ」に置かれているアルバムの上からデジカメで撮ったので、写真の上で照明が反射しておりますが、何卒ご了承ください。山頂の紅葉は今月下旬ですが、駒の湯温泉付近の色づきはまだ先ですので、「私は登山をしない」という方は、紅葉前線が山を下ってくるまで、もう少しお待ちください。


なお宮城交通(バス)では、栗駒山の紅葉に合わせて、石越駅(東北本線)~くりこま高原駅(東北新幹線)~くりこま荘~いわかがみ平(栗駒山登山口)で臨時バスを運行します。期間は2017年9月22日(金)、23日(土)、24日(日)、25日(月)、29日(金)、30日(土)、10月1日(日)、2日(月)、7日(土)、8日(日)、9日(月)、14日(土)、15日(日)の計13日間です。予約は不要です。バスは途中、「くりこま荘」や「ハイルザーム栗駒」など、栗駒耕英地区の各所にも停車。「くりこま荘」で下車すれば、徒歩で「駒の湯温泉」までアクセスできます。さらには、往路と復路の間の時間帯に、「いわかがみ平」~「くりこま荘」間での区間運行便も1往復ありますので、登山や紅葉狩りの後の入浴に便利です。
詳しい時間帯や運賃などは、宮城交通公式サイト内の専用ページでご確認ください(サイト内のPDFで細かい情報がアナウンスされています)。

(このサムネイルをクリックしても、臨時バスのPDFへ飛びます)



なお、湯小屋ではいつものように、新鮮な温泉が豊富にかけ流されていますよ!
極上のぬる湯を存分にお楽しみください。


つづいて、駒の湯温泉の現状です。私が実際に9月中旬の連休に行ってまいりましたので、現地で気がついた点をいくつか挙げさせていただきます。

(1)定休日が変更されています

2015年秋の復活から毎週水曜が定休日でしたが、今年から毎週水曜のほか、第2および第4木曜も定休日となりましたので、ご注意ください。
なお営業時間は従来通り(10:00〜17:00)ですが、時折変更される場合がありますので、訪問の際には駒の湯温泉公式サイトでリンクされているブログ「森の温泉~駒の湯温泉通信」、もしくは駒の湯温泉日誌(ブログ)やFacebookなどでご確認ください。


(2)そばカフェに「石巻鯨カレー」が登場

駒の湯温泉の食堂「そばカフェ」では、昨年のオープン以来、北海道幌加内産のそば粉を湯守のご主人が手打ちで仕込んだ十割蕎麦をいただけますが・・・



今年から木の屋石巻水産の鯨カレーが仲間入りしました。下北沢のカレーの名店「ぱんにゃ」が監修した本格的なカレーです。鯨肉は須の子と呼ばれる貴重な霜降り肉を使っているため非常に柔らかく、複数のスパイスを用いてスパイシーに仕上げているものの、ココナツミルクを入れることによってマイルドな口当たりも実現しており、実際に口にした私の実感としましては、程よく辛いのに優しくまろやかな風味もあり、それらが一体となって奥深い味わいに昇華しているように感じられました。栗駒のお米にもよく合っており、お世辞抜きで本当に美味です。特に、鯨肉に関してはスパイスがその味をうまく引き立てており、鯨を食べたことのない人には鯨の臭みを感じず、食べたことのある人ならばあの懐かしい風味が口の中に広がるというような、絶妙な風味に仕上げられていて、よくぞここまで高いレベルの食感を実現できたものだと、頬張りながら感心してしまいました。


(3)お風呂の湯口が変わりました

お客様により安心してご利用いただけるよう、今年の夏から男女両浴室の湯口の形状が変わりました。具体的には、湯口の上にカバーを被せ、その脇に設けた換気扇を運転させることにより、湯船付近の換気性を高めています。なおお湯は以前とまったく変わりありません。

駒の湯温泉は例年通り、11月中旬か下旬で今期の営業を終え、冬篭りに入ります。冬季休業の期間に関しては、その時の気象状況(降雪や凍結など)によって変わってきますので、今期の営業終了日はまだ決まっていません。先が見えてきましたら、また改めてお知らせ致します(この記事のコメント欄か、もしくは新しい記事にてご報告致します)。

秋の行楽シーズンは、栗駒山の紅葉を愛で、そのついでに駒の湯温泉のお風呂に癒され、蕎麦やカレーを召し上がってみてはいかがでしょうか。

次回記事から鳴子エリアの温泉に戻ります。

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中山平温泉 琢琇

2017年09月26日 | 宮城県
 
中山平温泉の人気宿「琢琇」では日帰り入浴も受け入れているので、昨年(2016年)秋の某日、実際に日帰り利用で訪れてみることにしました。
なお、お宿の周りには宿泊者用の駐車場があるのですが、車で来る日帰り客はそこではなく、ちょっと上がった植物園前の広い駐車場を利用することになります。


 
女性受けしそうな民芸調の綺麗な館内。スリッパがたくさん並んでいる玄関の右手にフロントがあるので、そこで料金を支払います。


 
館内には複数のお風呂があるのですが、このうち男女別の露天風呂「鶴亀の湯」は清掃のため利用ができず、また展望特別風呂は宿泊客専用なのか、こちらも利用できなかったため、今回は2階「石橋の湯」と「長生の湯」の2浴室に関して、レポートさせていただきます。


●石橋の湯

フロントがある1階の廊下を進んでエレベータか階段で2階へ上がり、宿泊者用の食事処を通り過ぎた先の突き当たりに、「芍薬の湯」と「石橋の湯」という2つの浴室が並んでいます。この両浴室は男女入替制なのかはたまた暖簾替えが無いのかわかりませんが、私が訪れたときには「芍薬の湯」に女湯の、「石橋の湯」に男湯の暖簾がかかっていましたので、当然ながら私は後者の方へ入りました。


 
さすが人気のお宿だけあって脱衣室は綺麗で掃除が行き届いています。棚にはアルミの板鍵が付いており、鍵の番号の代わりに干支が用いられていました。
お風呂は内湯のみですが、後述する浴槽など石材を多用することにより、落ち着いて且つ品のある雰囲気が醸し出されています。また、窓からは山の景色が眺められ、遠くまで見通せる抜けの良い景色であるため、屋内でありながら、非日常的な開放感が得られます。室内の洗い場にはシャワー付きカランが5基並んでおり、カランから出てくるお湯は真湯です。


 
窓の下に据えられた浴槽は、キャパとしては4~5人サイズ。大きな岩を刳り抜いたようなスタイルをしており、その厚い縁はやわらかな曲線を描いています。また湯船に入ると窓外の山々を一望することができます。優しさと落ち着き、そして重厚さを兼ね備えたような趣きのあるお風呂です。そんな浴槽に対して、壁から突き出た樋から源泉そのままのお湯が注がれているのですが、熱いお湯を加水することなく湯加減調整させるためか、投入量をかなり絞っており、お湯の鮮度はちょっと心細いかもしれません。またその影響なのか、後述する「長生の湯」よりも若干ヌルヌル感がパワーダウンしているように感じられました。お湯は無色透明なのですが、浴槽の岩の影響なのか僅かに黄色を帯びているように見えます。
とはいえ、長い廊下を歩いてここまでやってくる日帰り入浴客は少ないのか、この時は始終独占でき、他人様を気にせず気ままにのんびり湯浴みを楽しめました。


●長生の湯
 
さて1階のフロント付近へと戻ります。続いて入るのは「長生の湯」です。こちらは内湯が男女別で、露天は混浴です。男女の入り口はそれぞれ離れており、一見するとそれぞれが別々のお風呂のようにも見えます。


 
奥に長い脱衣室を抜けて内湯の浴室へ。立派な脱衣室に対して、内湯は拍子抜けするほど小さく、シャワーは2つ、浴槽もコンパクトなものがひとつあるばかりです。


 
浴槽は3~4人サイズ。縁は石材、内部はタイル貼りです。「石橋の湯」と同じく湯口から注がれる温泉は激熱であるため、投入量が絞られているのですが、その影響でお湯の鮮度が落ちており、本来は無色透明と思われるお湯の色も若干黄色くなっているように見えました。


 
内湯から混浴露天風呂へは直接行けます。周囲の山々を借景にした日本庭園風の誂えで、訪問時は紅葉も赤く染まっており、実に素晴らしい佇まいだったのですが、ちょっと開放的であり、男女間に目立った仕切りもないため、女性の方は入りにくいかもしれません。



お湯はホースから注がれていました。内湯同様に熱いお湯ですので、ホース周りの湯船は熱いのですが、さすがに外気の影響を受けるためか、この露天ではそこそこの投入量が確保されており、それでいて湯船全体では入浴に適した温度まで落ち着いていました。
露天のお湯は何らの色付きが無いクリアな無色透明で、タマゴ臭と苦味が感じられ、湯船に入るとウナギ湯の名に相応しいニュルニュルとした大変滑らかな浴感に包まれました。まるでローションの中に浸かっているようなその浴感に感動し、湯中では思わず何度も自分の肌を擦ってしまいました。またどのお風呂も比較的熱い湯加減なのですが、湯上がりには粗熱が素早く抜けてくれるので、爽快なサッパリ感が楽しめます。大変熱いお湯を加水することなく供給しなければならないため、その方法にはご苦労なさっているものと察しますが、おそらく清掃や源泉投入、気候、客の多寡など様々な要因によっても変わってくるのでしょうから、やはり宿泊して時間を変えながら何度も入浴しないと、本当の良さはわからないのかもしれませんね。次回は泊って、今回入れなかったお風呂を含め、改めてゆっくり過ごしてみたいものです。


新1号源泉・新2号源泉混合泉
含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩温泉 67.9℃ pH9.3 蒸気泉(掘削自噴) 溶存物質1107.9mg/kg 成分総計1108.5mg/kg
Na+:256.9mg(95.31mval%),
Cl-:63.8mg(14.01mval%), HS-:15.7mg, S2O3--:4.4mg, SO4--:147.8mg(23.97mval%), HCO3-:198.8mg(25.37mval%), CO3--:106.8mg(27.70mval%),
H2SiO3:273.4mg, H2S-:0.6mg,
(平成20年10月10日)
加水加温循環消毒なし

今回取り上げていない「鶴亀の湯」では「白須5号」という源泉が使われていますが、利用していないため、詳細は不明です。

JR陸羽東線・中山平温泉駅より徒歩20分弱(約1.5km)
宮城県大崎市鳴子温泉星沼20-9  地図
0229-87-2216 
ホームページ

日帰り入浴10:30~20:00(14:00~15:00は清掃のため休み。また土日祝は15時以降を休む場合あり)
800円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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中山平温泉 なかやま山荘

2017年09月24日 | 宮城県
 
中山平温泉の「なかやま山荘」は国道沿いに位置しており、路傍に幟を立てているほど日帰り入浴を積極的に受け入れているので、どんなお湯に入れるのか体感すべく訪れてみました。なおこちらのお宿は、以前拙ブログで取り上げたことのある東鳴子温泉「ホテルニューあらお」と姉妹関係にあるんだそうです。



玄関へ向かうゆるい坂のアプローチには足湯が設けられていました。


 
館内はいかにも昭和の保養施設といった感じ。券売機で料金を支払って券をフロントに出し、その前に広がるロビーを抜けると、先に浴室の暖簾がかかっていました。


 
館内には「桐の湯」と男女別浴室という2種類のお風呂があるのですが、「桐の湯」は時間制で男女入れ替えになっており、私が訪れた時間は女湯でしたので、残念ながら入ることはできませんでした。


 
気を取り直して男女別の大浴室へ。カーペット敷きの脱衣室を抜けて浴室へ入ると、室内には硫化水素臭がふんわりと漂っていました。お風呂は内湯のみですが、2方向が大きな窓になっているため採光がよく、明るい入浴環境が生み出されていました。室内には後述する浴槽のほか、手前側に洗い場が配置されており、シャワー付きカランが計6基取り付けられています。室内側壁の低い位置には換気用のルーバーが所々設けられているのですが、これはおそらく硫化水素ガス対策のものでしょう。



窓外の庭の奥には真っ白な湯気をモクモクと上げている貯湯タンクが見られました。このように中山平温泉ではあちらこちらで湯けむりが上がっており、地熱資源が豊かな当地独特の景色を生み出しています。


 
タイル張りの浴槽は幅3m、奥行3.5mほどの大きさで、訪問時にはお湯が真っ白に濁っていました。私が入浴していると、湯守の方が湯加減を確かめにやってきたのですが、その時に伺った話によれば、お湯の温度など諸条件によってお湯の色や濁り方が異なるらしく、このように白濁しているとぬるい場合が多いんだとか。


 
湯船のお湯は濁っていましたが、湯口から吐出されるお湯は無色透明で、お湯と一緒にタマゴのような匂いを放っていました。そのお湯は茹で卵の卵黄のような味や苦味、そしてほのかな甘味を有しており、湯中ではツルスベの滑らかな浴感が得られました。とはいえ、炭酸イオンが108.9mgも含まれているので、その数値通りのパワーが発揮されているならば、もっと感動的なヌルツルスベを楽しめてもよいはずなのですが、源泉温度が高いために加水されており、しかもお湯の循環も行われているためか、たしかにツルスベを実感できるものの、感動できるほど強くなく、滑らかな浴感を売りにしている他の温泉でも得られるような標準的なツルスベに留まっていました。本来はもっとすごいポテンシャルを有しているはずですから、その実力を体感してみたいのですが、激熱な源泉を適温まで冷ます必要がありますから、加水せずに冷却する方法を見出さないとその実現は難しいでしょうね。
でも指摘されなければお湯の加水や循環などには気づかないでしょうし、何よりもこちらのお宿はリーズナブルに泊まれることが評価されていますから、今度利用するときは、日帰り入浴ではなく宿泊して「桐の湯」にも入り、ゆっくり一晩過ごしてみたいものです。


養老の湯第3号
含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 92.2℃ pH9.3 蒸気泉・掘削自噴 溶存物質1224.7mg/kg 成分総計1225.4mg/kg
Na+:257.3mg(94.51mval%),
Cl-:105.3mg(23.65mval%), HS-:18.9mg, S2O3--:0.8mg, SO4--:80.4mg, HCO3-:148.0mg(19.35mval%), CO3--:108.9mg(28.90mval%),
H2SiO3:434.6mg, H2S:0.7mg,
(平成20年6月30日)
加水あり:源泉温度が高いため
循環ろ過あり:浴槽の衛生管理および温度を均一にするため
加温消毒なし

JR陸羽東線・中山平温泉駅より徒歩10分(約750m)
宮城県大崎市鳴子温泉字星沼19-24  地図
0229-87-2101
ホームページ

日帰り入浴10:00〜19:00
500円(もしくは鳴子湯めぐりシール2枚)
貴重品フロント預かり、シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント (5)
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東鳴子温泉 高友旅館 2016年秋・宿泊 後編

2017年09月22日 | 宮城県
前回記事(前編)の続編です。

一般的な旅館ですと大浴場にあたる「黒湯」のほか、館内には4つの浴室があるのですが、それぞれは迷路のように複雑に入り組む廊下の先にあるため、しっかり探索しないと全てをコンプリートできないでしょう。館内の東側は旅館部となっており、そこには女湯の「ラムネ風呂」と男湯の「ひょうたん風呂」があるのですが、さすがに私が女湯へ入るわけにはいかないので、今回は「ひょうたん風呂」だけを取り上げます。なお「ラムネ風呂」も「ひょうたん風呂」も「玉の湯」という同じ源泉を引いているので、お湯にはあまり違いがないはずです(泡付きが違うという話を聞きますが・・・)。


●ひょうたん風呂

廊下の奥に取り付けられた、まるで牢屋のような鉄格子の扉の先が「ひょうたん風呂」。


 
狭くてシンプルな脱衣室はまるで共同浴場みたい。出入口には「底がぬるいのでかき混ぜてお入りください」と案内されていましたので、そのことを念頭においてお風呂へ入ることに。


 
あくまで私の主観ですが、「ひょうたん風呂」の浴室は、館内にあるお風呂の中で最も明るく落ち着いて利用できる環境が保たれているような気がします。室内には東鳴子温泉らしいアブラ臭が漂っていました。


 
浴槽を真上から見ると、名前の通り瓢箪に見えますね。湯船のお湯は鼈甲のような濃い黄色を呈しながら淡く濁り、湯中では灰や黒の湯の華が浮遊しています。湯口からトポトポ注がれるお湯をテイスティングしてみると、焦げたような苦みのほか、金気やタマゴ味が少々含まれ、先述したアブラ臭のほか、モール泉のような風味も感じられました。出入口で案内されていたように、はじめのうちは湯船の上下で温度にムラがあったため、しっかりかき混ぜてから入ったのですが、その結果湯船の温度は41℃前後の長湯仕様で落ち着きました。この湯加減は、高友旅館に複数あるお風呂の中ではぬるい方かと思われます。湯中では弱いツルスベ浴感が得られ、少々のひっかかりも混在しているのですが、以前私が入った時に確認できた泡つきは、今回はほとんど見られませんでした。コンディションによって泡つきの多寡に違いがあるのかもしれませんね。


●紅葉風呂
続いては私が泊まった湯治棟(52年館)へ戻り、棟内にあるお風呂へ入ることに。
なお、ここから先のお風呂は、拙ブログの以前の記事では取り上げておりません。

 
家族風呂として使える「紅葉風呂」は、自炊棟のコインランドリーや電子レンジ、そしてゴミ捨て場などがある一角に出入口があるのですが、明らかに洗濯機やゴミのポリバケツの方が目立っているため、注意しないとお風呂の存在に気づかないかもしれません。ポリバケツと温泉のドアが同じ空間にある旅館って、他ではなかなか見られませんね。この不思議な混在が怪しい予感をさせてくれるように、ドアを開けて中に入ると、薄暗くて壁紙が剥がれている脱衣室は、日中でもお化けが出そうなほど不気味です。


 
塗装の剥がれや壁の黒ずみが目立つ浴室も全体的にくすんで不気味。何を以って紅葉を名乗っているのか、さっぱりわかりません。昔は紅葉を連想させる何かがあったのかもしれませんから、私は必死に頭の中で紅葉の景色を思い浮かべながら湯浴みすることにしました。


 
お湯は岩の湯壷経由で注がれており、浴槽手前側の穴より排湯されているのですが、源泉そのままの状態であるため非常に熱く、オーバーフローが流れる床も熱くて、まともに歩くことができません。しっかり湯もみしても湯加減は落ち着かなかったため、加水させてもらうことにしたのですが、加水した分、浴槽から溢れ出るお湯の量が増えてしまい、排水が追いつかず、浴室の床全体が数センチ近く水没してしまいました。そこで、まずは排水できるまで加水を止め、ある程度排水が捌けたら加水を再開するというサイクルを繰り返し、結構な手間を経てからようやく湯船に入ることができました。

こちらで使われているお湯は、黒湯(大浴場)のプール風呂と同じ「顕の湯」源泉。温度が下がって鮮度感に不安を覚える「プール風呂」では白い微濁を呈していましたが、熱いまま供給されているこちらでは無色で透明度が高く、湯中では白い糸状の湯の華がユラユラしていました。同じ源泉でもお湯の鮮度が全然違い、「紅葉風呂」の方がはるかに良好です。お湯からはタマゴ感を伴うアブラ臭が放たれ、ほのかな甘みを有する石膏系の味覚が感じられました。湯中ではツルスベの滑らかな浴感が得られます。加水を最小限に留めたため、一般的な適温よりもかなり熱い状態で入ったのですが、それゆえ風呂上がりの私の体は全身赤くなり、なんと自分が紅葉のようになっていたのでした。ここに至ってようやく浴室名の意味に納得。


●家族風呂
 
この旅館に複数ある浴室のうち、最も見つけにくいのが、この家族風呂でしょう。帳場前の階段を上がり、暗くて狭いお化け屋敷のような廊下をすすんで、階段を下った先にポツンと一室の小さな浴室が設けられています。


 
特に館内表示や案内などがない隠し風呂のような存在ですが、ちゃんと保健所の許可を得ている立派なお風呂なのであります。


 
浴室内には薄っすらとアブラ臭が香っています。コンパクトで地味なお風呂ですが、シャワーがひとつ取り付けられており、シャンプー類も備え付けられていました。


 
お湯は湯壷を経由し、緩やかな曲線を描く石造りの浴槽へ注がれています。私が入室した時には湯口のバルブが閉められていたのですが、それを開けて投入量を増やしたら、短時間でちょうど良い湯加減になってくれました。


 
このお風呂で印象的なのは、床で帯状に付着している真っ白な湯の華です。湯壷から床へ溢れ出るお湯によって、大量の湯の華が発生しており、その流路に純白で綺麗な湯の華がユラユラと揺れていました。このお風呂の利用頻度が高ければ、ここまで綺麗に且つ大量にこびりつくことは無いでしょう。このお風呂に張られているお湯は「鷲の湯」源泉といい、おそらく他のお風呂では使われていないかと思われます。貝汁のように僅かな褐色の濁りを呈し、少々のタマゴ味、焦げたような味、ほろ苦み、弱い金気味が感じられました。湯中では滑らかなツルスベ浴に包まれ、湯上がりの粗熱の抜けも良く、重曹泉の長所がよく現れていました。

こちらのお宿は以前から温泉マニアからお湯に対する評価が高い宿として知られていますが、旅館内で実践する湯めぐりの面白さと、東鳴子温泉に湧くお湯の多様性を、今回宿泊することで改めて認識させていただきました。


【ひょうたん風呂・ラムネ風呂】
玉の湯
ナトリウム-炭酸水素塩泉 49.3℃ pH6.5 溶存物質1191.4mg/kg 蒸発残留物803.4mg/kg
Na+:234.3mg(83.52mval%),
Cl-:37.6mg(8.72mval%), HCO3-:659.2mg(88.82mval%),
H2SiO3:188.4mg, CO2:360.3mg,
(平成21年10月2日分析)
加水加温循環消毒なし

【紅葉風呂】
顕の湯
ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩泉 74.6℃ pH6.8 溶存物質2252.6mg/kg 蒸発残留物1461mg/kg
Na+:375.7mg(64.76mval%), Mg++:34.1mg(11.14mval%), Ca++:105.8mg(20.93mval%),
Cl-:104.3mg(11.00mval%), SO4--:222.6mg(17.32mval%), HCO3-:1166.9mg(71.53mval%),
H2SiO3:228.1mg, CO2:385.3mg,
(平成21年10月2日分析)
加水加温循環消毒なし

【家族風呂】
鷲の湯
ナトリウム-炭酸水素塩温泉 47.8℃ pH6.5 溶存物質1197.2mg/kg 蒸発残留物795.4mg/kg
Na+:199.7mg(75.37mval%), Ca++:29.3mg(12.66mval%),
Cl-:17.0mg(4.20mval%), HS-:0.2mg, S2O3--:0.1mg, HCO3-:661.7mg(94.76mval%),
H2SiO3:250.1mg, CO2:400.5mg, H2S:0.6mg,
(平成21年10月2日)

陸羽東線・鳴子御殿湯駅より徒歩2〜3分(250m)
宮城県大崎市鳴子温泉鷲ノ巣18  地図
0229-83-3170
ホームページ

日帰り入浴10:00~16:00
500円(鳴子湯めぐりチケット2枚)
備品類なし

私の好み:★★+0.5
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