温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

久留米市 湯の坂 久留米温泉(家族風呂)

2020年12月30日 | 福岡県

今年最後の記事は、多くのタレントを輩出している九州久留米で締めくくります。久留米の街中でこんな素晴らしいお湯に出会えるとは思わず、心の底から感動したので、一年の最後にこの温泉「湯の坂 久留米温泉」を取り上げることにしました。


西鉄久留米駅から約1km、徒歩で12~15分という市街地の中にある温泉施設。
日帰り入浴のみならず食事や宿泊なども可能な、比較的大きい施設です。


玄関を入って左手の奥にある下足箱に靴を預け、料金と一緒にそのカギをフロントに差し出します。今回私は日帰り入浴での利用で伺ったのですが、一般的な大浴場ではなく、他人を気にせず一人でのんびりできる家族風呂を利用することにしました。家族風呂は8室あり、料金も2200円や2400円など部屋によって異なっています。今回は小さい3番「百合」を使うことにしました。使いたい個室は受付カウンターで指定することができます。部屋を指定してその料金を支払うと、引き換えに鍵付きの札を渡されます。なお、大浴場利用の場合は靴のカギと引き換えにロッカーの鍵(リストバンド)をもらうようです。


フロントから大浴場へ向かう場合は、受付左手の階段を下ってゆくのですが、家族風呂はその階段を下らず、階段の脇を回り込んで右に曲がります。そしてまっすぐ進んでゆくと上画像の自動ドアがあって・・・


受付でもらった鍵を差し込むことでドアが開きます。なお受付でもらった鍵はここ以外では使いません。自動ドアから中に入って階段を下り個室風呂ゾーンへ。


階段を下った左右の廊下に個室風呂が分かれて配置されています。各個室とも空いている場合は鍵がかかっておらず、使用時に中から施錠します。話は前後しますが、私が入室中、スピーカーから音程の狂った「ピーンポーン」音が何度か鳴りました。どうやら誰かが自動ドアから家族風呂ゾーンへ入った際に、鳴る仕組みになっているようです。


私が指定した3番「百合」は、階段を下ってすぐ右側にある個室です。


ドアノブに入浴中の札をぶら下げ、中から施錠します。
脱衣室は広く、ドライヤー・扇風機・洗面台といったベーシックな備品はおろか、エアコンやテレビ、そしてトイレまで用意されており、万が一の場合に用いるインターホンまで取り付けられています。宿泊できちゃう充実ぶりにびっくり。
なお部屋に入ってすぐのところに「温泉ボタン」があるのですが、これについては後程触れます。


「百合」のお風呂は直径2.5~3mぐらいの丸くて青いタイル貼り。湯口から滔々とお湯が注がれており、縁からしっかりオーバーフローしています。源泉のお湯をそのまま供給しているためか、やや熱めの湯加減でしたが、私にとってはむしろ気持ち良くシャキッとするような熱さだったので、私は一切加水することなく入浴しました。


シャワーから出てくるお湯は温泉なので、お湯を頭から浴びるとお湯の個性を全身で感じ取ることができますよ。どんな個性なのかは後述します。


家族風呂は一見すると半露天のような造りで、浴槽の先は庭のようになっているのですが、実は露天に見せかけて露天でなく、頭上にはアクリル波板の屋根が被せてありました。でも半透明アクリル板を採用しているため屋外のような明るさが確保されています。


先ほど、部屋に入ってすぐのところに「温泉ボタン」があるということを述べました。説明によれば、これを押すと5分間48℃の熱いお湯が出てくるとのこと。湯口から新鮮なお湯が大量にドバドバ出てくるのかしら・・・。そんな光景を想像してワクワクしながら、実際にそのボタンを押してみたのですが・・・


湯口から出てくるお湯の温度は、押す前と後とほとんど変わらず(常時投入しているお湯が既に45℃以上の熱さ)、量もそんなに変わっていないような気がしました。入室前から湯口からお湯が注がれていたため、もしかしたらスイッチが押されっぱなしの状態(バルブが常時開の状態)になっていたのかもしれません。

さて、このお風呂で入れるお湯のクオリティが非常に素晴らしい! とても西鉄久留米の駅から徒歩圏の街中とは思えない程、硫黄感がしっかり表れているのです。溶存物質量は大して多くないのですが、その割には硫化水素イオンが多く含まれており、平野部しかも都市の温泉であることが信じられないほど、火山の噴気帯的なイオウの香りと味がしっかりと感じられるのです。シャワーを浴びると全身がその匂いに包まれますので、硫黄の香りが好きな方には堪らないでしょう。家族風呂は私以外に誰も入っておらず、しかも常時供給およびオーバーフローしているので、新鮮で綺麗なお湯を楽しめます。もちろん湯使いは完全かけ流し。なお湯船のお湯は若干黄色を呈しているように見えましたが、これはタイルの色の影響で、実際には無色透明だと思われます。硫黄感がしっかりしている上、ツルツルスベスベの滑らかな浴感も極上。重曹の影響なのか、熱いお湯ですが湯上がりはさっぱりします。

九州の温泉といえば、大分や熊本、鹿児島の有名な温泉地を思い浮かべますが、福岡県第三の都市の街中にも名泉がちゃんと存在するところに、温泉天国九州の底力を実感します。あまりの良さに感動してしまった極上のお湯でした。


アルカリ性単純硫黄温泉 49.4℃ pH不明 溶存物質294.1mg/kg 成分総計294.1mg/kg
Na+:76.9mg,
F-:7.4mg, HS-:3.2mg, HCO3-:134.2mg,
(平成16年6月17日)

福岡県久留米市野中町湯の坂1235
0942-33-4126
ホームページ

日帰り入浴10:00~翌朝9:00
1日入館:平日1500円 ・土日祝1700円(深夜1時以降は1100円加算)
3時間以内:平日750円 ・土日祝800円

家族風呂6:00~深夜1:00
平日2000円から・土日祝2200円から

私の好み:★★★

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さて、2020年の拙ブログは当記事でおしまいです。
週1度というのんびりとした更新にもかかわらず、多くの方にご覧いただきました。誠にありがとうございました。
今年の春以降は遠出が難しい状況となり、旅を生き甲斐とする私には拷問のような一年でしたが、それでも時宜を見計らいながら近場を中心に出かけて温泉を楽しみ、なんだかんだで新規開拓もできました。残念ながら今年訪ねた温泉の多くは、まだブログの記事にできておりません。大晦日までに、今年訪ねた温泉のごく一部を、instagramでご紹介するつもりです。ただし画像のみで説明は省きますからご承知おきを。
https://www.instagram.com/onsen_shouyou/?hl=ja
そうそう、このブログではお伝えしていませんでしたが、外出が憚られていた今年の初夏に、ハードディスクで眠っている過去の画像を振り返りながら外出欲求を満たそうと考え、SNSが苦手な私も、今更ながらインスタグラムに手を出してみました。とはいえ、所詮は苦手なSNSですので、こちらも投稿が滞っており、2週間に一度という酷いペースです。友人には「あんたにSNSは向いていない」と言われてしまいましたが、果たしていつまで続けられることやら・・・。

COVID-19に関しては新年もしばらくは事態に変化が無さそうですが、一日も早く再び自由に旅や湯めぐりができますよう願っております。
皆様もよいお年をお迎えください。

K-I
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原鶴温泉 やぐるま荘

2020年12月27日 | 福岡県

私が大好きな福岡県原鶴温泉へとやってまいりました。今回お邪魔するのは温泉街の中心部からちょっと離れた「やぐるま荘」です。建物自体はかなり年季が入ったコンクリ造ですが、敷地が大きく駐車場も広いので、車でアクセスするならとても便利です。お宿の公式サイトを拝見しますと、車はもちろん、自転車でツーリングするサイクリストを歓迎しているらしく、施設内に屋内駐輪場・自転車洗浄・各種工具等々の用意があるんだそうですよ。


私が訪ねたときには、車でも自転車でもなく、駐車場の隅には白ヤギさんが一頭ウロウロしていました。当然お客さんの移動手段ではなく、お宿で飼われているんですね。


真っ白でかわいらしいヤギさんの目の前には、手水のようなモニュメントがあり、熱い温泉が湯気を濛々と上げながら垂れ流されていました。白ヤギさんはお手紙なんて食べることなく、きっと常に温泉の香りを嗅いでリラックスしているもかもしれませんね。はぁ、うらやましいわ。

さて私は日帰り入浴で利用させていただきます。フロントを訪ねてその旨を伝えると、いかにも人のよさそうなご主人がお風呂までの経路やお風呂に関することなどを丁寧に説明してくださいました。人間もお宿も第一印象が大切。たまに「日帰り・・・」と口にするや否やぞんざいに対応する施設もありますが、こちらのように丁寧に接してくださいますと、次回は宿泊を検討したいな、お風呂がよければ尚更だ、といった感じで確実に再訪候補の対象となり、また自分のブログでも極力良い方向で書かなくては、という気持ちになるものです。


湯銭を支払い、ご主人が案内してくださった通りにフロントの先を右折し、更に左折するという感じでひたすら奥へ進んでゆくと、その先に浴場の入口がありました。


入口の前には「アンチエイジングの湯」と書かれた板を発見。入浴することでアンチエイジング効果が得られるのか、はたまた湧出したてで老化していない新鮮な温泉という意味か、正直なところ判然としませんが、ま、ここでは両方の意味として捉えておきましょう。同じ板には加水も加温もしていないという嬉しい文言もありますので、おそらく後者の意味で捉えるのが正解なのかも。

外観から想像できるように館内も少々お疲れ気味なのですが、それでもしっかりお手入れされており、脱衣室も老朽化に抗うべくしっかり整えられています。ジャズが流れる室内には、エアコンや扇風機などが設けられているほか、ロッカーや洗面台、ドライヤーなどのベーシックなグッズも完備。使い勝手は良好です。


浴室の大きさにはたまげました! H鋼を組んで建てられており、まるで熱帯植物園の温室のような造りなのです。そういえば、表の玄関の看板に「ジャングル風呂」と書かれてたのですが、なるほどジャングルをイメージしているのですね。温室のような造りでありながら決して暖かい訳ではないのですが、アーチ状の天井はとても高くポリカの波板で囲われているため、日中の浴室内はとても明るくのびのび入浴できます。


大きな内風呂に据えられているお風呂は巨大な岩風呂。立派な岩が屹立していますが、室内が大きいため決して窮屈な感じがしません。浴槽は温度別に2分されていて、湯口側はおおよそ3メートル四方で若干熱め。一方、湯尻側は3メートル×6メートルほどで、若干ぬるめの湯加減です。ちなみに浴室の壁には「日本百名湯に選ばれた」と書かれているが、いつどなたが選定したのか、不勉強の私は存じ上げません。


岩の間から出てくる温泉。当然ながら内湯におけるお湯の鮮度は湯口側浴槽がはるかに良好でした。


男湯の場合、脱衣室側から見て左側にシャワーが5個ほど並んでいます。シャワーから出るお湯は温泉であり、しかも飲めるんだとか。理性のリミッターが壊れている私は適量という言葉を知らないため、シャワーの口を自分の顔に向け、出てくるお湯を直接口で受けながら、グビグビと大量に飲んでしまいました。はぁ、おいしかった。


露天風呂は河原のようなロケーション。それもそのはず、目の前は筑後川分水路の原っぱが広がっているのです。この露天風呂には使われていない浴槽跡が一つあるほか、左奥に縦長の台形の浴槽もあり、後者にお湯が張られています。その浴槽の大きさは目測で底辺3m×上底1.8×奥行4.5mほど。なお浴槽の奥には電気風呂が設けられているのですが、私は電気風呂が苦手なので奥の方は入っていません。


奥の湯口から滔々と注がれるお湯は無色透明で、茹で卵の卵黄のような風味がはっきりと感じられます。九州でなく申し訳ないのですが、例えば台湾のアルカリ性硫黄泉にありそうな濃いめの味と匂い、あるいは秩父のタマゴ水にも近い匂いと味と表現したくなるような比較的強いタマゴ感が得られ、この手の風味が大好きな私はついつい感動してしまいました。またそれに加えてアルカリ性泉にありがちな微収斂も感じ取れました。
立派なのは香りや味だけではありません。大してアルカリ性に傾いているわけでもないのに、完全にアルカリ性泉らしいはっきりとしたツルツルスベスベの滑らかな浴感が肌に伝わるほか、若干ヌルヌル感も伴っていました。成分表を見ても特に何かが突出して含まれているわけではないのに、何がこの浴感をもたらしているのでしょうか。重曹が少々多いからか、あるいはフッ素イオンが比較的多いからなのか、とにかく不思議なお湯です。内湯・露天ともに湯使いは完全掛け流し。大変フレッシュですばらしいお湯です。しかも上述のようにお湯が飲めるのですから言うことなし。なお今回は利用していませんが館内には貸切風呂もあるんだそうです。お湯にこだわる方へおすすめしたい、素晴らしい温泉でした。


八車荘2号
単純温泉 46.6℃ pH7.9 200L/min(動力揚湯) 溶存物質0.713g/kg 成分総計0.713g/kg
Na+:185.5mg(90.57mval%),
F-:14.6mg, Cl-:131.4mg(41.09mval%), HS-:1.1mg, HCO3-:274.8mg(49.83mval%),
H2SiO3:69.2mg, HBO2:18.0mg, H2S:0.2mg,
(令和元年12月9日)

福岡県朝倉市杷木久喜宮1890-1
0946-62-0700
ホームページ

日帰り入浴10:00~20:00
700円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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筑後川温泉 ホテル虹の屋花景色 別館虹の湯

2020年12月22日 | 福岡県

美肌の湯として有名な筑後川温泉へとやってまいりました。
当地にいくつかある施設の中から私が選んだのは「ホテル虹の屋花景色」の別館「虹の湯」。屋根に虹の看板を戴く派手なホテルの右隣に位置する日帰り入浴専門施設で、ホテルはやや古めの派手な鉄筋コンクリ造である一方、「虹の湯」は対照的な古民家然とした建物です。


古民家の中は妙に広く、屋内にある休憩室はガランとしていました。券売機で料金を支払い、券を受付のスタッフさんに渡して奥へ進みます。


建物の裏側から屋外の裏庭みたいなスペースに出ると、小さな戸建の個室風呂が数棟建ち並んでいます。九州に多くみられる家族風呂なのですが、この施設では1200円や900円など料金が低く設定されているのが魅力的。私が生活する東京圏ではまず有り得ない料金設定なので、心から羨ましくなっちゃいます。


家族風呂群の間を進んでいった奥が大浴場です。大浴場は岩風呂の「薔薇」と畳風呂の「菖蒲」に分かれており、男女入れ替え制になっています。私が訪問した日は「薔薇」に男湯の暖簾がさがっていました。なお家族風呂・大浴場とも、各浴室には花の名前が付けられているのですが、別にその花が入口や室内に飾られているわけではなく、単なる識別名にすぎません。脱衣室はウナギの寝床みたいに奥へ細長く、ロッカーや洗面台は設置されていないものの、ドライヤー・エアコン・扇風機など電化製品はしっかり備え付けられていました。


浴室も横長の脱衣室に合わせるような左右に長い造りになっていて、「薔薇」の場合は右手に洗い場が配置され、シャワー付きカランが5~6個設けられていました。記憶が曖昧なのですが、シャワーから出るお湯はおそらく温泉だったかと思います。


お風呂は内湯のみですが、とても大きく立派な岩風呂が据えられています。なお窓の外には筑後川が流れているのですが、目隠しのための曇りガラスが採用されているため、残念ながら窓を開けない限り景色を眺めることは難しいでしょう。


大きな浴槽は真ん中で温度別に2分割されています。湯尻側は「低温」と書かれているものの、実際には適温かややぬるい40℃程度といった程度でしょうか。長湯にはもってこいの湯加減です。一方、湯口側は「適温」と書かれているものの、実際にはちょっと熱い43~44℃でした。


お湯は屹立する大きな岩の湯口から滝のようにドバドバ落とされており、「適温」槽から「低温」槽へ流れたあと、湯尻から大量に溢れ出ています。それだけではなく、湯口側の「適温」槽からも溢れ出ていました。思わず天晴れと言いたくなっちゃうほど、お湯の量が豊富です。

湯量のみならず湯船に浸かったときの浴感も実に天晴れ。お湯は無色透明ながら、湯中でチラホラと薄く黄色い湯の花が舞っています。また浴室へ入室した時にはふんわりとイオウの香りが漂っていました。お湯を口に含むとゆで卵の味と香りが優しく感じられるほか、ほろ苦味も含まれています。そして、お湯に触れた際に感じる石鹸水のような強いツルスベ浴感にびっくり。アルカリ性であることのほか、炭酸イオンの多さもその浴感をもたらしているのではないかと思います。ウナギ湯という程ではないにせよしっかりとした滑らかな感触には感動してしまいました。しかも大量に掛け流されているのですから、これを天晴れと言わずして何と表現しましょうか。

浴室の中に掲出されていた温泉に関する説明プレートには、マニアから絶賛される秘湯、と書かれていたのですが、そのわりにはあまり知られていないような気がします(私が知らないだけ?)。秘密のままにしていては勿体ないので、是非とも名湯の誉れを全国に轟かせていただきたいものです。


余談ですが、脱衣室と浴室の間にある引き戸には「当館の温泉はアルカリ硫黄線の為(中略)大変すべりやすく・・・」と記された注意書きが貼られていました。確かに滑りやすいのですが、ここで注目すべきは「泉」ではなく「線」と誤記されている点。もしアルカリ硫黄線という名前の鉄道路線があったら、私は毎日乗りに行ってしまうでしょう。いや沿線に定住してしまうかも・・・。
滑っている冗談はともかく、お湯が大変良い施設でした。大きなお風呂なのでのびのび入浴できるのもうれしいところ。惜しむらくは建物がやや草臥れており、岩風呂の浴槽内に青い塗装を塗ることで安っぽい雰囲気になってしまっていること。こうした点に目を瞑れば十分訪問する価値があるかと思います。


アルカリ性単純温泉 42.5℃ pH9.1 470L/min(動力揚湯) 溶存物質0.27g/kg 成分総計0.27g/kg
Na+:78mg(95.49mval%),
Cl-:23mg(19.76mval%), HS-:0.6mg, S2O3--:0.3mg, HCO3-:98mg(48.94mval%), CO3--:17mg,
H2SiO3:33mg,
(平成30年1月22日)

福岡県うきは市浮羽町古川1097-1
0943-77-2110
ホームページ

11:00~22:00
大浴場500円(家族風呂は公式サイトをご覧ください)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★





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久留米市田主丸 みのう温泉 みのう山荘

2020年12月16日 | 福岡県
ちょうど1か月前まで九州の温泉を連続して取り上げていましたが、今回から再び九州の温泉に戻り、数回連続で福岡県筑後川流域の温泉を取り上げます。久留米市郊外の田主丸地区に眺望のすばらしい露天風呂があって、人気を博していると噂に聞いたので、実際に行ってみることにしました。


Googleマップに導かれながら田主丸地区の南方へ向かい、里と山の境に沿って伸びる細い道を走ってゆくと、上画像のようなゲートがある場所に行き着きました。ここから更に急な坂道をどんどん上がっていきます。「みのう山荘」という名前の通り、今回の目的地は耳納山地の山裾に位置しているのです。


駐車場に車をとめて、受付へ向かいます。施設は山裾の傾斜地に建てられており、全体的に当世風で小洒落ています。受付がある建物には眺めの良いレストラン&カフェが併設されており、時間が合えば食事を楽しんでいきたかったのですが、ランチにはまだ早い時間帯だったため、今回は入浴だけの利用とさせていただきました。


受付やレストランの先には温泉の熱で食材を蒸す蒸し器が設けられており、朦々と白い湯気を上げていました。福岡県では珍しいものの、大分・熊本・鹿児島など九州各県の温泉にはこの手の設備が多くみられますので、湯気を上げる温泉蒸し器を目にするたび「あ、私はいま地熱資源が豊かな九州にいるんだ」と実感しちゃいます。


この温泉蒸し器がある場所は眺望が実に素晴らしく、この日はあいにくの天気でしたが、それでも筑後川流域の一帯を一望することができました。この見晴らしの丘に家族風呂があり、各個室から歓声が聞こえてきました。他人を気にせず身内だけで楽しめる家族風呂はどこへ行っても人気ですが、このような家族風呂を併設する施設が多いことも九州の温泉に見られる特徴のひとつであり、関東で暮らす私にとって九州の温泉環境はうらやましいことこの上ありません。

さて、大浴場を利用する私は、受付の前にある階段で2階にあがり、廊下を進んで男湯の扉を開けました。ウッディな脱衣室は決して広くなく、どちらかと言えば薄暗い感じ。にもかかわらず室内にはコの字型にコインロッカーが設置されていますので、週末など混雑時には他のお客さんとの干渉がちょっと心配です。


(お風呂の画像は公式サイトより借用しました)
脱衣室を抜けて浴室に入ると、(男湯の場合は)右側にシャワーが3つ並んでおり、左側には水道の蛇口のようなものが取り付けられていて、正面にはホームベースのような形状をした主浴槽がひとつ据えられています。主浴槽の真上に開けられた大きな窓からは筑後平野が一望でき、室内ながら開放的でのびのび気持ちよく湯あみできます。奥の湯口からちょっと熱めのお湯が注がれ、木の縁からしっかりオーバーフローしていました。

ところで、私が訪ねたのはお昼前の比較的早い時間だったのですが、さすが人気施設だけあって既に利用客が多く、3つしかない洗い場は埋まりかけていました。お昼前でこれなんだから、お昼過ぎや夕方の混雑時間帯にはどうなってしまうのかと余計な心配をしてしまったのですが、露天風呂へ出る扉を開けてひと安心。露天へ出てすぐ右側にドアがあり、中にはいかにも追加で増設しました感が強い洗い場がありました。3つだけでは足らなかったのですね。ちなみにシャワーから出てくるお湯は温泉です。


内湯から屋外へ出る扉を開け、ちょっと下ったところに露天の岩風呂が設えられています。なお湯船の半分ほどは屋根掛けされているので、多少の雨なら凌げそうです。この岩風呂は奥に長い造りになっていて、8~9人は同時に入れそうな大きさです。なお奥の方はちょっと浅くなっているので、肩まで浸かりたい方は手前の方で入浴しましょう。お湯は最奥の湯口から大量に投入され、湯尻から惜しげもなく溢れ出ていました。浴槽の湯口側が浅いのは熱いお湯を適温まで冷ますために工夫なのかもしれませんね。なお露天は湯温にムラが発生しがちなので、奥の湯口のみならず、手前側の槽内(底)からも投入することで温度の均衡を図っていました。


高台に位置しているため眺めが良い露天風呂。上述のように訪問時が天気が悪く筑後平野は霞んでおり、朝倉方面は雲海状態になっていましたが、それはそれで幻想的な景色。周囲は木々に囲まれ、自然豊かで静寂な環境です。

さて、肝心のお湯についてですが、見た目は無色透明で特段湯の華などは見られませんでした。でも館内表示には湯の華に関する説明がありましたので、よく見れば浮遊を確認できるのかもしれません。同じく館内説明によると、こちらの温泉は自家源泉で深く掘削したら自噴するようになったんだとか。その源泉温度は50℃超。そのお湯を加水することなくかけ流しているため、湯船ではやや熱めの湯加減になっていたようです。分析表の数値を見ますと重曹泉型の単純泉であり、それほど強くはないものの心地よいツルスベ浴感が得られます。お湯を口に含むと若干のほろ苦みとゴムのような焦げたような風味を感じ取れました。湯量豊富なので内湯・露天ともにお湯の鮮度感は抜群です。

景色よし、お湯良し、という条件が揃えば、人気を博するのも至極当然。世間の評判を再確認する一湯でした。


単純温泉 50.2℃ pH7.7 溶存物質680.9mg/kg 成分総計684.4mg,
Na+:180mg,
F-:13mg, HCO3-:410mg, CO3--:6.2mg,
H2SiO3:52mg,
(平成23年2月21日)
加温加水循環消毒なし

福岡県久留米市田主丸町森部1206
0943-74-1268
ホームページ

大浴場10:00~21:30(受付終了21:00。家族風呂等の営業時間は公式サイトをご覧ください) 木曜定休
770円
ロッカー(100円リターン式)シャンプー類、ドライヤーあり

私の好み:★★★
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那須塩原駅前温泉

2020年12月09日 | 栃木県
COVID-19が世界全体を暗く覆う2020年ですが、そんな暗闇に光明をもたらすかの如く、栃木県では昨年から希望の新星と称すべき良質な温泉施設が相次いで開業しました。拙ブログでもそうした新星を2つ、具体的には「東山道那須温泉」「高原火山水街道 自噴 松ヶ峰温泉」をご紹介しております。


今回取り上げるのもそんな栃木の新星。今年(2020年)10月に開業したばかりの期待の新人ならぬ新湯「那須塩原駅前温泉」です。この温泉は「YOOMI'S至福温泉日記」のYOOMIさんがご紹介なさってから、たちまち温泉ファンの間に評判が広まり、まだ開業から数ヶ月だというのに既に他県からのお客様が次々といらっしゃっているそうです。かく言う私もそんな一人。結論から申し上げますと、まさか那須野が原でこんな個性的な良泉に出会えるとは想像だにできず、心から感動してしまいました。まさにYOOMIさんの値千金大金星と言えましょう。

駅前と称しているものの、実際には那須塩原の駅から3km近く離れているため、私は車で現地へ向かうことにしました。もし公共交通機関で現地へ行く場合、那須塩原駅からゆーバス(黒磯線)に乗り、唐杉東バス停から徒歩600メートルほどです。
那須塩原駅の西口から伸びる通り(県道53号線)には上画像のような「白河井戸ボーリング 那須営業所」の大きな看板が立っていますので、これが目印になります。とはいえ、この看板だけですと、果たして当地に温泉浴場があるのかわかりませんが・・・


大きな看板の下には、温泉マークと一緒に施設名が記された小さな看板も立てられていますので、これでようやく温泉の存在を確認することができますね。


敷地内にはいくつかの建物があり、中でも道路に面して建つログハウスが目立っているのですが、温泉浴場があるのはその奥にある平屋のシンプルな建物。屋根の湯気抜きに小さく温泉マークが描かれています。

玄関入ってすぐのところに設置されている券売機で支払い、券をカウンターの人に渡します。なお下駄箱の鍵は退館時まで自分で管理します。お風呂は2室あり、片方にはサウナが併設されていて、もう一方にはありません。この2室を曜日により男女を入れ替えています。私が訪ねた土曜日は、サウナが無い右側の浴室に男湯の暖簾がかかっていました。脱衣室も至ってシンプルながら、100円リターン式ロッカーのほか、1台のユニット型洗面台、そしてエアコンも設置され、使い勝手も十分満足できます。


さすがに開業したばかりですから、浴室内部はとても綺麗でどこもかしこもピカピカ。大きな窓から陽光が降り注ぎ、明るい環境で湯あみを楽しめます。さて脱衣室で着替えてこの浴室に入った瞬間、私は感動してしまいました。と言うのも、室内に硫黄の存在を誇示するかのような鉱物油臭が漂っており、その芳香が私の鼻孔を突いてきたのです。良泉との邂逅を期待させる香りを胸いっぱい吸い込んだ私は、お湯を浴びる前から既に興奮してしまいました。


なお浴室内にはシャワー付きカランが3基並んでおり、カランからはボイラーの沸かし湯が吐出されます。


浴槽の大きさは目測で1.2×3メートルほど。一般的なタイル張りの浴槽ですが、縁には木材が用いられ、見た目のみならず実際の感触でも優しさや柔らかさをもたらしています。一方、浴槽自体は今時珍しい深めの造りで、肩までしっかりお湯に浸かることができます。後述するようにこの温泉は元々オーナーさんの自家用目的だったため、私の勝手な想像ですが、おそらくこの深い湯船はオーナーさんの好みではないかと思われます。近年はバリアフリー等の理由で湯船を浅くつくるのが一般的ですが、私個人としては入り応えのある深い湯船が好きなので、お湯の質だけでなく、この湯船の構造自体も気に入りました。

お湯は上画像に写っている木組みの湯口の他、浴槽内でも投入されており、以て湯温の均衡が図られているようです。まだ開業して間もないのに、湯口まわりには白い湯の華が付着し、お湯の流れに身を任せながらユラユラと揺れていました。


内湯のお湯は緑色を帯びつつ白く濁っており、湯口に付着しているような白い湯の華の他、上画像のような黒い湯の華もチラホラと舞っていました。なお湯使いは完全かけ流し。湯尻から惜しげもなくお湯が排出されています。この日の内湯はちょっと熱めの43℃でした。


内湯のドアから屋外に出て壁伝いに歩くと露天風呂に行き当たります。プールサイドならぬバスサイドにはデッキチェアが3つあるので、お風呂に逆上せたらここでクールダウンが可能。露天の周囲は工事現場で用いられるような鉄板で目隠しされているため、正直なところ殺風景なのですが、これまたオーナーさんのご趣味なのか、壁には緑鮮やかなゴルフ場の写真が飾られており、お湯の自然な美しい緑色と競うかのように二つの翠が相対峙していました。


浴槽は扇のような形状で、深さは何と1.05メートルもあります。まるでプールのような深さであり、専ら立ち湯専用ですが、それゆえ子供一人での利用を禁じています。なお内湯はちょっと熱めの43℃でしたが、この露天は長湯したくなる41℃前後で、実に入りやすい湯加減でした。内湯同様、湯口のほか、浴槽内からも温泉が投入されています。深く、しかも外気に晒される露天は、なおさら温度均衡の工夫が求められますので、浴槽内部からの投入は必須ですね。
一方、内湯は白く濁っていましたが、露天はエメラルドグリーンでほぼ透明。若干濁りあるものの、底が見える透明度がありました。同じ源泉でありながら、浴槽の環境が異なると見た目がかなり違ってくるのですね。

それにしてもこの露天のお湯は美しい緑色を呈しています。新潟の月岡温泉、青森の新屋温泉、岩手の国見温泉、長野の熊の湯温泉など、全国には美しい緑色の温泉が点在していますが、そうした名湯と比肩できる美しさです。湯口から吐出されるお湯を口に含んでみますと、しょっぱさ、喉の粘膜にひっかかるような苦み、出汁味、たまご味、ゴムみたいな硫黄感、ふんわりとした鉱物油臭、焦げたような臭いなど、実に多種多様な知覚的特徴を確認することができました。一度にこれだけの味や匂いを感じ取ることができる温泉は珍しいのではないでしょうか。しかも山間部ではなく那須野が原で湧出しているところが驚きです。

お風呂上がりに、番台で店番をしていた会長さんにお話を伺いました。曰く、この温泉は故蔵田延男博士の指導のもとで福島県西郷村のボーリング掘削会社が掘り当て、その会社の会長さんが自家用として使おうとしていたようです。東日本大震災の2年前には既に源泉掘削していたものの、震災により水道用井戸掘削工事が増えると温泉どころではなくなり、しばらく手付かずのまま数年が経過。やがて良質な温泉を自家用ではなく一般にも提供しようということで、当初の倍の大きさを擁する施設を建て、ようやく開業に至ったんだそうです。
この温泉は厳冬期ですら源泉温度が70℃以上あり、そのまま湯船へ投入してしまうと熱すぎるため、揚湯量を絞り、50℃を超える程度で貯湯タンクに一旦ストック。そこから内湯や露天へ少しずつ流しているとのこと。なお私の訪問時に露天風呂の透明度が高かったのは、会長さん曰く「掃除したばかりだから」とのことで、やがて露天も内湯のように白く濁ってゆくと仰っていました。

とにもかくにも非常に素晴らしい温泉です。繰り返しますが、山間部ではなく平野部でこのような個性的な温泉に出逢えることに感動してしまいました。那須野が原は温泉天国ですね。私の屁理屈なんてどうでも良いので、まずは温泉ファンの方々にこの良さを実感していただきたい。いまはCOVID-19の感染拡大で思うように外出できませんが、ある程度外出しても差し支えないような状態になりましたら、是非足を運んでみてください。


ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 72.1℃ pH7.9 溶存物質5.840g/kg 成分総計5.842g/kg
Na+:1477.3mg(68.10mval%), Ca++:591.3mg(31.27mval%),
Cl-:2743.6mg(82.58mval%), Br-:6.2mg, HS-:0.3mg, SO4--:691.0mg(15.35mval%), HCO3-:99.5mg,
H2SiO3:73.6mg, HBO2:130.2mg,
(2019年1月17日)
加温加水循環消毒なし

栃木県那須塩原市唐杉41−5
0287-65-1126

10:00~21:00(受付20:00終了) 第三火曜定休
1000円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★


コメント (10)
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