今年最後の記事は、多くのタレントを輩出している九州久留米で締めくくります。久留米の街中でこんな素晴らしいお湯に出会えるとは思わず、心の底から感動したので、一年の最後にこの温泉「湯の坂 久留米温泉」を取り上げることにしました。
西鉄久留米駅から約1km、徒歩で12~15分という市街地の中にある温泉施設。
日帰り入浴のみならず食事や宿泊なども可能な、比較的大きい施設です。
玄関を入って左手の奥にある下足箱に靴を預け、料金と一緒にそのカギをフロントに差し出します。今回私は日帰り入浴での利用で伺ったのですが、一般的な大浴場ではなく、他人を気にせず一人でのんびりできる家族風呂を利用することにしました。家族風呂は8室あり、料金も2200円や2400円など部屋によって異なっています。今回は小さい3番「百合」を使うことにしました。使いたい個室は受付カウンターで指定することができます。部屋を指定してその料金を支払うと、引き換えに鍵付きの札を渡されます。なお、大浴場利用の場合は靴のカギと引き換えにロッカーの鍵(リストバンド)をもらうようです。
フロントから大浴場へ向かう場合は、受付左手の階段を下ってゆくのですが、家族風呂はその階段を下らず、階段の脇を回り込んで右に曲がります。そしてまっすぐ進んでゆくと上画像の自動ドアがあって・・・
受付でもらった鍵を差し込むことでドアが開きます。なお受付でもらった鍵はここ以外では使いません。自動ドアから中に入って階段を下り個室風呂ゾーンへ。
階段を下った左右の廊下に個室風呂が分かれて配置されています。各個室とも空いている場合は鍵がかかっておらず、使用時に中から施錠します。話は前後しますが、私が入室中、スピーカーから音程の狂った「ピーンポーン」音が何度か鳴りました。どうやら誰かが自動ドアから家族風呂ゾーンへ入った際に、鳴る仕組みになっているようです。
私が指定した3番「百合」は、階段を下ってすぐ右側にある個室です。
ドアノブに入浴中の札をぶら下げ、中から施錠します。
脱衣室は広く、ドライヤー・扇風機・洗面台といったベーシックな備品はおろか、エアコンやテレビ、そしてトイレまで用意されており、万が一の場合に用いるインターホンまで取り付けられています。宿泊できちゃう充実ぶりにびっくり。
なお部屋に入ってすぐのところに「温泉ボタン」があるのですが、これについては後程触れます。
「百合」のお風呂は直径2.5~3mぐらいの丸くて青いタイル貼り。湯口から滔々とお湯が注がれており、縁からしっかりオーバーフローしています。源泉のお湯をそのまま供給しているためか、やや熱めの湯加減でしたが、私にとってはむしろ気持ち良くシャキッとするような熱さだったので、私は一切加水することなく入浴しました。
シャワーから出てくるお湯は温泉なので、お湯を頭から浴びるとお湯の個性を全身で感じ取ることができますよ。どんな個性なのかは後述します。
家族風呂は一見すると半露天のような造りで、浴槽の先は庭のようになっているのですが、実は露天に見せかけて露天でなく、頭上にはアクリル波板の屋根が被せてありました。でも半透明アクリル板を採用しているため屋外のような明るさが確保されています。
先ほど、部屋に入ってすぐのところに「温泉ボタン」があるということを述べました。説明によれば、これを押すと5分間48℃の熱いお湯が出てくるとのこと。湯口から新鮮なお湯が大量にドバドバ出てくるのかしら・・・。そんな光景を想像してワクワクしながら、実際にそのボタンを押してみたのですが・・・
湯口から出てくるお湯の温度は、押す前と後とほとんど変わらず(常時投入しているお湯が既に45℃以上の熱さ)、量もそんなに変わっていないような気がしました。入室前から湯口からお湯が注がれていたため、もしかしたらスイッチが押されっぱなしの状態(バルブが常時開の状態)になっていたのかもしれません。
さて、このお風呂で入れるお湯のクオリティが非常に素晴らしい! とても西鉄久留米の駅から徒歩圏の街中とは思えない程、硫黄感がしっかり表れているのです。溶存物質量は大して多くないのですが、その割には硫化水素イオンが多く含まれており、平野部しかも都市の温泉であることが信じられないほど、火山の噴気帯的なイオウの香りと味がしっかりと感じられるのです。シャワーを浴びると全身がその匂いに包まれますので、硫黄の香りが好きな方には堪らないでしょう。家族風呂は私以外に誰も入っておらず、しかも常時供給およびオーバーフローしているので、新鮮で綺麗なお湯を楽しめます。もちろん湯使いは完全かけ流し。なお湯船のお湯は若干黄色を呈しているように見えましたが、これはタイルの色の影響で、実際には無色透明だと思われます。硫黄感がしっかりしている上、ツルツルスベスベの滑らかな浴感も極上。重曹の影響なのか、熱いお湯ですが湯上がりはさっぱりします。
九州の温泉といえば、大分や熊本、鹿児島の有名な温泉地を思い浮かべますが、福岡県第三の都市の街中にも名泉がちゃんと存在するところに、温泉天国九州の底力を実感します。あまりの良さに感動してしまった極上のお湯でした。
アルカリ性単純硫黄温泉 49.4℃ pH不明 溶存物質294.1mg/kg 成分総計294.1mg/kg
Na+:76.9mg,
F-:7.4mg, HS-:3.2mg, HCO3-:134.2mg,
(平成16年6月17日)
福岡県久留米市野中町湯の坂1235
0942-33-4126
ホームページ
日帰り入浴10:00~翌朝9:00
1日入館:平日1500円 ・土日祝1700円(深夜1時以降は1100円加算)
3時間以内:平日750円 ・土日祝800円
家族風呂6:00~深夜1:00
平日2000円から・土日祝2200円から
私の好み:★★★
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さて、2020年の拙ブログは当記事でおしまいです。
週1度というのんびりとした更新にもかかわらず、多くの方にご覧いただきました。誠にありがとうございました。
今年の春以降は遠出が難しい状況となり、旅を生き甲斐とする私には拷問のような一年でしたが、それでも時宜を見計らいながら近場を中心に出かけて温泉を楽しみ、なんだかんだで新規開拓もできました。残念ながら今年訪ねた温泉の多くは、まだブログの記事にできておりません。大晦日までに、今年訪ねた温泉のごく一部を、instagramでご紹介するつもりです。ただし画像のみで説明は省きますからご承知おきを。
https://www.instagram.com/onsen_shouyou/?hl=ja
そうそう、このブログではお伝えしていませんでしたが、外出が憚られていた今年の初夏に、ハードディスクで眠っている過去の画像を振り返りながら外出欲求を満たそうと考え、SNSが苦手な私も、今更ながらインスタグラムに手を出してみました。とはいえ、所詮は苦手なSNSですので、こちらも投稿が滞っており、2週間に一度という酷いペースです。友人には「あんたにSNSは向いていない」と言われてしまいましたが、果たしていつまで続けられることやら・・・。
COVID-19に関しては新年もしばらくは事態に変化が無さそうですが、一日も早く再び自由に旅や湯めぐりができますよう願っております。
皆様もよいお年をお迎えください。
K-I