(2020年3月訪問)
前回記事の三島から丹那トンネルを潜り抜けて熱海へ。
熱海は数年前まで斜陽温泉地の代表のような言われ方をしていましたが、全面建て替えやリノベーションなど創意工夫を凝らした施設が相次ぎオープンし、最近は賑わいが戻ってきました。
さてそんな温泉街で、日帰り入浴できるお宿は無いものかとウロウロしていると「湯宿みかんの木」という一軒のお宿に出くわしました。いかにも熱海らしい海に向かって一気に下る路地の坂に面している中小規模のお宿なのですが・・・
こんなに大きく「立ち寄りゆ」と書かれた大きな看板が立てられていましたので、まるで外灯に吸い寄せられる蛾の如く、気づけば玄関をお邪魔していました。予備調査無しの訪問ですが、果たしてどんなお湯に出会えるのでしょうか。
玄関を入った客を出迎えてくれるのは、比較的コンパクトながらも絢爛華麗なロビーです。非日常の旅時間を愉しみたい方の旅心を満足させてくれることでしょう。この画像では見切れていますが、3月に訪ねたのでロビーにはお雛様が飾られており、また天井からは伊豆(稲取)の伝統文化である吊るし雛が下げられていました。
さて、フロントで日帰り入浴をお願いしますと、快く且つ丁寧に対応してくださいました。お風呂は画像に写っているフロント前の大きな階段を上がり、右へ折れたところにあります。
お風呂は「花鳥」と「風月」に分かれており、午後8時に暖簾を入れ替えます。私の訪問時、手前側の「風月」に男湯の暖簾が掛かっていました。脱衣室も決して広くないものの綺麗に維持されており、アメニティ類も揃っています。こうした細かいところからも旅館らしいホスピタリティマインドが伝わってきます。なお脱衣室内には貴重品ロッカーがありますが、私は財布をフロントに預けましたので、そのあたりはご自身でご判断ください。
浴室入ってまず目に入ってくるのが洗い場。シャワー付きカランが4基並んでいます。シャワーの吐出圧力は良好。ストレス無く利用できるでしょう。
洗い場の上にはこのような絵が飾られています。お月様、うさぎ、そして姫君・・・どうやらかぐや姫のようですね。
長方形の内湯浴槽はおおよそ5人サイズ。奥の方で青白い光が2本下から真上へ照射されているのですが、まるで竹が光っているような装飾ですので、先ほどの絵と併せて想像するに、竹取物語の世界観をイメージしているのだろうと思います。
湯口から注がれるお湯はチョロチョロとかなり絞られているのですが、その代わり激熱でした。できるだけ加水を控えて湯量を絞ることにより、薄めることなく湯温を調整しているのでしょう。おかげで湯加減は最適。実に素晴らしい塩梅でした。
露天風呂は所謂岩風呂で、内湯よりもこぢんまりとした3~4人サイズ。温泉はゴツゴツとした溶岩質の岩を伝って流下してきます。内湯同様にこちらもチョロチョロとした投入量なのですが、外気により冷めるのを防ぐためなのか、内湯よりやや多いような気がします。なお岩からの落とし込みのほか、底からの熱い湯の投入も確認できました。こうした工夫により露天風呂の湯加減も最適。いつまでも入り続けたくなるお湯です。
傾斜地というロケーションを活かしたのかあるいは偶々なのか、おそらく崖の只中にあるワイルドなお風呂をイメージしているのではないかと勝手に推測するのですが、すぐ真上は隣家で閉塞感があり、葭簀などで誤魔化しているものの正直なところ殺風景なのは否めません。でも、竹垣や植木、石灯籠などの設えにより日本庭園風な趣きを醸し出し、頑張って非日常空間を演出しています。
こちらのお湯は6つの源泉をミックスしたもので、湯使いは内湯露天ともに加水した上でのかけ流し。見た目は無色透明で、特に匂いはありませんが、味覚面はいかにも熱海らしいお湯であり、湯口のお湯を口に含むとまず苦汁味が来て、やや遅て塩辛さがやって来ます。湯中ではツルスベの滑らかさの中にしっかりグリップ利く浴感が混在し、湯船のお湯を手で掻いてみるとトロトロして、なかなか良い湯です。しょっぱいお湯ですから湯上りは全身が力強く温まり、私の場合はいつまでも汗が引きませんでした。
何も調べず行き当たりばったりで訪問しましたが、綺麗なお風呂と良質なお湯に大満足。
今回は日帰り入浴のみの利用でしたが、次回は宿泊でお世話になってみたいものです。
6源泉混合
(熱海49号青沼温泉、熱海178号坂本湯、熱海218号古河湯、熱海241号第2野中山湯、熱海242号一ふじ湯、熱海276号第4野中山湯)
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 77.8℃ pH7.9 溶存物質7.035g/kg 成分総計7.067g/kg
Na+:1624mg(59.49mval%), Ca++:896.8mg(37.69mval%),
Cl-:3881mg(94.98mval%), Br-:12.7mg, SO4--:243.1mg(4.39mval%),
H2SiO3:198.0mg, CO2:32.2mg,
(平成24年6月22日)
加温循環なし
加水あり(源泉温度が高いため)
換水清掃時のみ消毒あり
静岡県熱海市東海岸町1-11
0557-81-1533
ホームページ
日帰り入浴13:30~19:00(最終受付18:00)
1,250円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★
前回記事の三島から丹那トンネルを潜り抜けて熱海へ。
熱海は数年前まで斜陽温泉地の代表のような言われ方をしていましたが、全面建て替えやリノベーションなど創意工夫を凝らした施設が相次ぎオープンし、最近は賑わいが戻ってきました。
さてそんな温泉街で、日帰り入浴できるお宿は無いものかとウロウロしていると「湯宿みかんの木」という一軒のお宿に出くわしました。いかにも熱海らしい海に向かって一気に下る路地の坂に面している中小規模のお宿なのですが・・・
こんなに大きく「立ち寄りゆ」と書かれた大きな看板が立てられていましたので、まるで外灯に吸い寄せられる蛾の如く、気づけば玄関をお邪魔していました。予備調査無しの訪問ですが、果たしてどんなお湯に出会えるのでしょうか。
玄関を入った客を出迎えてくれるのは、比較的コンパクトながらも絢爛華麗なロビーです。非日常の旅時間を愉しみたい方の旅心を満足させてくれることでしょう。この画像では見切れていますが、3月に訪ねたのでロビーにはお雛様が飾られており、また天井からは伊豆(稲取)の伝統文化である吊るし雛が下げられていました。
さて、フロントで日帰り入浴をお願いしますと、快く且つ丁寧に対応してくださいました。お風呂は画像に写っているフロント前の大きな階段を上がり、右へ折れたところにあります。
お風呂は「花鳥」と「風月」に分かれており、午後8時に暖簾を入れ替えます。私の訪問時、手前側の「風月」に男湯の暖簾が掛かっていました。脱衣室も決して広くないものの綺麗に維持されており、アメニティ類も揃っています。こうした細かいところからも旅館らしいホスピタリティマインドが伝わってきます。なお脱衣室内には貴重品ロッカーがありますが、私は財布をフロントに預けましたので、そのあたりはご自身でご判断ください。
浴室入ってまず目に入ってくるのが洗い場。シャワー付きカランが4基並んでいます。シャワーの吐出圧力は良好。ストレス無く利用できるでしょう。
洗い場の上にはこのような絵が飾られています。お月様、うさぎ、そして姫君・・・どうやらかぐや姫のようですね。
長方形の内湯浴槽はおおよそ5人サイズ。奥の方で青白い光が2本下から真上へ照射されているのですが、まるで竹が光っているような装飾ですので、先ほどの絵と併せて想像するに、竹取物語の世界観をイメージしているのだろうと思います。
湯口から注がれるお湯はチョロチョロとかなり絞られているのですが、その代わり激熱でした。できるだけ加水を控えて湯量を絞ることにより、薄めることなく湯温を調整しているのでしょう。おかげで湯加減は最適。実に素晴らしい塩梅でした。
露天風呂は所謂岩風呂で、内湯よりもこぢんまりとした3~4人サイズ。温泉はゴツゴツとした溶岩質の岩を伝って流下してきます。内湯同様にこちらもチョロチョロとした投入量なのですが、外気により冷めるのを防ぐためなのか、内湯よりやや多いような気がします。なお岩からの落とし込みのほか、底からの熱い湯の投入も確認できました。こうした工夫により露天風呂の湯加減も最適。いつまでも入り続けたくなるお湯です。
傾斜地というロケーションを活かしたのかあるいは偶々なのか、おそらく崖の只中にあるワイルドなお風呂をイメージしているのではないかと勝手に推測するのですが、すぐ真上は隣家で閉塞感があり、葭簀などで誤魔化しているものの正直なところ殺風景なのは否めません。でも、竹垣や植木、石灯籠などの設えにより日本庭園風な趣きを醸し出し、頑張って非日常空間を演出しています。
こちらのお湯は6つの源泉をミックスしたもので、湯使いは内湯露天ともに加水した上でのかけ流し。見た目は無色透明で、特に匂いはありませんが、味覚面はいかにも熱海らしいお湯であり、湯口のお湯を口に含むとまず苦汁味が来て、やや遅て塩辛さがやって来ます。湯中ではツルスベの滑らかさの中にしっかりグリップ利く浴感が混在し、湯船のお湯を手で掻いてみるとトロトロして、なかなか良い湯です。しょっぱいお湯ですから湯上りは全身が力強く温まり、私の場合はいつまでも汗が引きませんでした。
何も調べず行き当たりばったりで訪問しましたが、綺麗なお風呂と良質なお湯に大満足。
今回は日帰り入浴のみの利用でしたが、次回は宿泊でお世話になってみたいものです。
6源泉混合
(熱海49号青沼温泉、熱海178号坂本湯、熱海218号古河湯、熱海241号第2野中山湯、熱海242号一ふじ湯、熱海276号第4野中山湯)
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 77.8℃ pH7.9 溶存物質7.035g/kg 成分総計7.067g/kg
Na+:1624mg(59.49mval%), Ca++:896.8mg(37.69mval%),
Cl-:3881mg(94.98mval%), Br-:12.7mg, SO4--:243.1mg(4.39mval%),
H2SiO3:198.0mg, CO2:32.2mg,
(平成24年6月22日)
加温循環なし
加水あり(源泉温度が高いため)
換水清掃時のみ消毒あり
静岡県熱海市東海岸町1-11
0557-81-1533
ホームページ
日帰り入浴13:30~19:00(最終受付18:00)
1,250円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★