日本酒を美味しく飲むには。
五十を過ぎて一人娘が片付き、反抗期を懐かしく思うほどの寂しさを抱えて日々を過ごしていたところに、娘夫婦から孫ができたとの知らせが。万歳しかねないほど喜びをあらわにする妻をしり目に、草履を履いてぶらりと出かけ、夕日を浴びた赤提灯、馴染みの居酒屋に入って旬の焼き魚を注文、ひやで一杯、くーっと煽って嘆息する。
ブランデーを美味しく飲むには。
本革張りの肘掛け椅子はどうしても必要になる。億単位の商談が難航していることは家族にひた隠しにしたまま、邸宅でいつも通りの夜を迎える。ピアノを弾き終えた妻がお休みのキスをして寝室に下がり、絨毯の上でお絵かきをしていた二人の小娘たちも順番にハグをして子供部屋に。自分一人、いつまでも肘掛椅子に深く腰掛けたままじっとしていると、一本の電話。産業スパイがうまく任務を果たしたという報告である。静かに電話を切った後、クリスタルガラスの酒瓶からブランデーをグラスに注ぎ、シャンデリアと燭台の明かりの下、片手でくゆらせてゆったりといつまでも薫りを楽しむ。
焼酎を美味しく飲むには。
ねじり鉢巻きと汽笛でしょ。