た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

菜園

2017年06月11日 | essay

 一大決心をして家庭菜園を始めた。ただし半畳ばかりの小さな畑である。猫の額と言ったら猫が怒りそうなほど狭い庭なので、とれる面積もそれがせいぜいである。それでも気分だけはいっぱしの農家気取りで、何を植えるかでさんざん悩んだ。選んだのは、ミニトマトときゅうりとピーマン。場所もないのに欲張ったものである。しかも苗を買い付ける段になって、ふとした気まぐれで種から育苗器で育てることになった。まったく素人の浅はかさである。経験をしていない者ほど、「どうせやるなら本格的に」などと意気込んでいきなり高難度に挑戦し、失敗するのである。兼業農業である実家の母に電話で報告したら、馬鹿にされた。そんなことをする農家はいないのだそうだ。

 それでも種は同居する義母の献身的な水やりのおかげでちゃんと発芽し、地植えも無事終え、現在、なかなかに立派な姿を見せている。きゅうりは花も咲いた。そのことを実家の母に報告したら、苗から育てたきゅうりはすでに収穫を始めているとのこと。「ま、せいぜいがんばってください」と冷やかされた。

 実がなるかどうかはまだわからない。実家の母の冷笑も気になるところである。それでも、はや充分に楽しませてもらっている。

コメント
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