た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
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静電気

2005年04月19日 | essay
 二年ぶりにまた車を運転するようになって、ドアの開け閉めの際の静電気に参っている。
 中古の軽自動車のような、いかにもがたがたしながら走っていそうな車は、それだけ静電気を多く帯びるのか。というのも私の現在の愛車はまさに中古でがたがたの軽自動車である。しばらく運転したあと停車する。ドアを開ける。車を出る。ドアを閉めようとノブに手を触れると、ばちっ、と音がする。私がおののく。
 指がしびれるのも嫌だが、むしろあの、ばちっ、という音に驚く。買い物して戻ってきてドアを開けてもまだ、ばちっ、が健在だと、さすがにうんざりする。私は小心者である。だんだんドアに手を触れるのが恐怖になる。
 これでは遠からず、車に乗れなくなるか、車から出られなくなる。どちらも生活に支障をきたすので、対策を練ることにした。
 まずは折りたたんだハンカチ越しに。それでもばちっ。
 なんと強力な静電気なのだ。ようし、そっちがその気ならこっちも本気、絶縁体を用意しよう。ということで、ゴム製の指サックを購入した。これを指にはめて触ればへへっ、静電気の奴もさすがに手も足も出まい。ああ、今日もいい天気だ、川べりまでドライブするかな、とドアに手をかけたとたんばちっ。
 どういうことなのだ。私の愛車の静電気は絶縁体まで貫くのか。
 私はびどく混乱した。指サックも貫く? ひょっとして指サック以外のところが触れたのかも知れないが、いいや、何か雷のように指サックを遠回りして電気が来たような気もするぞ。空中放電? 一体これでは、ゴム手袋をはめなければいけないということか。そんないかにも汗ばみそうなものを───しかもそんなものをはめて駐車場に姿を見せれば、これから家宅侵入を試みる泥棒と間違えられるではないか。
 ええい、こうなったらむしろ静電気を有効利用しよう。充電器をドアのところに備え付けて、車のエアコン程度の発電に使えないかしら・・・と思考がはるか遠くに行ってしまっている私であった。

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