た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

7月4日

2011年07月04日 | essay
 夢を見たよ──と、老いた母は言った──家で寝てたんだね。で、ふと起きて見ると、障子の向こうに誰かの影が映っているじゃない。誰だろうと思って開けたら、あたしの両親が立っていた。びっくりしたよ。親の夢なんて、もう何年も見てなかったからねえ。手荷物いっぱいで、いろいろ持ってきてくれたんだと思ったさ。でも、死んだ人は夢の中でもしゃべらないのかねえ。一言も言わずに、あれと思ったら、消えていったよ。
 不思議とはっきりした夢だったねえ。

 前の晩、母を交えて自宅の庭でバーベキューをした。炭火が尽き、子供が寝た後、大人だけで縁側に腰をおろし、いろいろな昔話をした。そのせいで母も昔のことを夢に見たのであろう。

 風のやたら強い、暑くも寒くもない、妙と言えば妙な晩であった。
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