5/11(木)、「亀形石造物遺構」は、明日香村岡の「酒船石」から北に約75m、高さ25m下がった所にある。
石造物はいずれも花崗岩で実に精巧に出来ており、上の小判形水槽に貯った水が、下の亀の花の穴に流れ込み、円形にくり抜かれた甲羅部分に導かれるようになっている。亀のしっぽ部にも穴がくり抜かれ、水は石敷きのほぼ中央を北に延びる水路に流れるようになっている。斉明天皇の両槻宮「たぶれ心の溝」の遺構であろうといわれている。(明日香村教育委員会)
亀形石造物(酒船石遺跡)の見学に際しては、観覧料金(文化財保存協力金)大人1人・300円が必要です。見学時間 9~17時、
交通:近鉄橿原神宮前駅東口より奈良交通バス「岡寺前」行き、万葉文化館西口下車/近鉄・JR桜井駅南口より、奈良交通バス「岡寺前」行き、万葉文化館下車/近鉄飛鳥駅より徒歩約40分。
渡された、財団法人 明日香村観光開発公社発行のパンフレットには、「亀形石造物(酒船石遺跡)の見学に際しては、観覧料金(文化財保存協力金)をお願いしています。これは遺跡の今後の維持管理を行うために必要な資材として協力をお願いするためのものです。国民的財産として、今後も保存し、歴史学習の場として皆様方にご観覧いただくため、ご理解いただきますようお願いいたします。」と書かれています。
酒船石遺跡について(明日香村観光開発公社のパンフレットより)
飛鳥の謎の石である史跡「酒船石」。この石は伝飛鳥板蓋宮(いたぶたのみや)跡の東方に位置する小高い丘陵にあります。この丘陵一帯に広がる遺跡を現在「酒船石遺跡」と呼んでいます。
平成4年に丘陵北斜面で砂岩石垣が発見されたことから、「日本書紀」の斉明天皇2年の条に記された「宮の東の山に石を累(かさ)ねて垣とす。」「石の山丘」に符合する遺跡であると推定されています。
平成12年の丘陵北裾で行った発掘調査で、新たに亀形石造物、小判形石造物が見つかっています。この2つの石造物は石槽となっており、造形的にも優れています。組合わせて導水施設を造り出していることが明らかとなりました。
水の流れとしては砂岩切石を積んで造られた湧水施設から小判形、亀形石造物を通って北へ伸びる溝に排出されており、水源から排水までの一連の導水構造が解明されています。その周囲には石敷が広がり、東側には階段状石垣、西側にも石垣などが見つかっています。
ここでは亀形石造物の周囲400㎡をご覧頂くことになります。遺構は斉明期に造営され、何度か改修されながら平安時代に廃絶されるまで、約250年間存続したことが判明しています。
特に良好に遺存している7世紀後半(天武天朝前後)に造営された遺構を公開展示しています。この場所は東西に張出した尾根に挟まれて閉鎖性の高い人工的な空間を創り出しています。何らかの祭祀(さいし)が行われたことが示唆(しさ)されています。酒船石遺跡は斉明天皇の「両槻宮(ふたつきのみや)」ではないかとも推定されており、丘陵との関係などが大いに注目されることでしょう。