この前、京都に桜見物に行ったスノッブなM氏は、「相
国寺」に若冲の襖絵を観にいった、らしい。
「相国寺」は、若冲のパトロン的お寺で、当然のこと若
冲の作品をいくつか所有している。
中でも襖絵は代表作で、それが観たいが為にわざわざ
行った、ということだった。
ところが入場料を払って入ったら、そこで初めて襖絵
のあるところが工事中で、その襖絵が観られないこと
を知った。
つまり、入場料を払う時にはそういう事情を説明しな
かったらしいのだ、お寺側は。
なかなか商売上手だ。
M氏は、「お寺がそんなことやって良いのか」と憤っ
ていたが、「お寺だからやるんじゃない」とこちらは
それに答えた。
M氏からすれば詐欺同然、しかし、入る時に襖絵は観
られるか、と聞いた訳ではない(聞く人間もいないと
思うが)。
京都などの神社仏閣に行くと、いつも感じることだが、
今や関係者の皆さんは商売人?の世界だ。
利益を上げるためなら何でもしまっせ、というメッセ
ージはよく伝わってくる。
今回の場合、「インフォームドコンセント」という言
葉が適用されるような状況だが、命がかかってないか
ら諦めるしかないね。
「それはそれは、お疲れさん」とM氏には言っておき
たい。
それにしても、M氏も、ついこの間まで「若冲」など
という名前さえ知らなかったのに、いつの間にか普通
に若冲などと言うようになった。
それだけ浸透してきたと言うことだが、契機はやはり、
2000年に京都でやった「若冲展」だろう。
個人的にも、過去十年の「ベスト美術展」はその「若
冲展」である。
と言っても、過去十年で他の美術展は、トータルで七
八回ぐらいしか行ってないが。
まあいずれにしろ、良かったことに変わりは無い。
残すは「三の丸尚蔵館」か。