アラン.ロブ=グリエ(こういう表記をするらしい)が
死んだ。
ヌーヴォーロマンの旗手であり、映画監督でもあった。
「nouveau roman」あるいは「anti roman」とも言わ
れる、要するに、普通の小説のような物語の構造を持っ
ていな小説を書いてきた小説家ということになるが、
個人的には好きだった。
日本では、殆ど知られていないと思う。
小説は、「迷路の中で」と「覗くひと」の二冊読んだだ
けだが、どちらも印象的な作品で、今でも映像(作品
から喚起された個人的なイメージ)が浮かぶ。
映画監督としては、寡作であるので、そもそも見る機
会が少ない。
これも2本(と言っても全部で5本くらいだから)し
か見てない。
そのうちの1本、「囚われの美女」は保存用としてビデ
オを所有している。
この作品はデビッド.リンチの「マルホランドドライブ」
にかなり似ている。
現実の出来事なのか、幻想なのか、そういう映像が繰り
返し繰り返し出てくるのだが、この手のものはともすれ
ばわざとらしく感じ、いい加減にしろという気にさせら
れるものが多い。
多分、それは製作者の意図が見えすぎているのからだと
思う。
要するに、計算があからさまに露呈するのだ。
そういうところが「囚われの美女」にはない。
心地の良い分かり難さ。
現実だろうが、現実じゃなかろうが、どちらでも良いし、
そんなことは重要ではない、と思わせる。
好きなように見れば良いのではないだろうか。
解釈するな、体験せよ。
「マルホランドドライブ」は、この作品に大分刺激され
ているのではないかと密かに推測しているのだが。
他の作品も確認してみると、去年の作品があった。
「グラディーヴァ マラケシュの裸婦」という作品らし
いが、全く知らないのだが(日本では公開されてない)、
DVDではでているようだ。
こういうのを見ると、またほしくなってしまう。
非常にまずい。
あと「快楽の漸進的横滑り」という、変な(非情に気に
なっていた)タイトルの映画もあったはずなのだが、
それが見当たらない。
どうなっているのか。
ひょっとして、この「快楽の漸進的横滑り」という映画
そのものが幻想だったのか。