ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

キュジーヌ.コンテンポラリー

2008年02月09日 | 食べ物


T君が、この前のNHK見ました?と聞く。
何かと言うと、ミシュラン東京版で三ツ星を取った30代
シェフの話だ。
ちょっと見てたので、半分見たと言った。
で、どうですか?と聞く。

「最近の流行の、というより先端のと言った方が良い
のか、そういう料理なんだと思うけど、問題は美味い
かどうかだよね」(私)
「僕はあまり好きじゃないです、ああいう料理は」(T君)
「大皿に、ぽつんときれいに盛り、その大皿も楕円を更
に歪ませたようなものなんだよね、そしてソースはジャ
クソン.ポロックのように」(私)
「キュジーヌ.コンテンポラリーとか言うらしいです
ね」(T君)
「ますます、ジャクソン.ポロックが正しいということ
だ、しかも、今はソースを使わないというのもある」(私)
「ということは、松澤宥の世界ですか」(T君)
「作品そのものが消滅する、なわけないよ、飽くまで
もソースが無いだけで、食べる素材はあるわけだから、
むしろ素材だけを提示するという点ではデュシャンが
近いのでは」(私)
「それだと、時間が戻ります」(T君)
「そうそう、新しい料理だった、それにポロックまで
は確かにその影響があるとはいえるけど、流石にデュ
シャンはねえ」(私)

「でも、見た目に関してはそういう影響はあるんでしょ
うが、別に観賞するわけじゃないですからね」(T君)
「味が新しいかどうかが重要ということだね」(私)
「何かいろんな組み合わせを考えてましたね」(T君)
「番組の肝はそこだよね」(私)
「番組的には、天才がぱっと思いつく降臨した瞬間を
大袈裟に撮りたいんでしょうが」(T君)
「それにしても最近は、天才の大安売りだ」(私)
「結局、試行錯誤して生み出すということだったです
ね」(T君)
「天才ではなく、職人の世界だったと」(私)

「それより僕が気になったのは、伝統料理がいつまで
も美味いものでは進歩が無い、というような意味のこ
とを言ったところ」(T君)
「まあ、あのシェフの方向はそういうことなんだろう
が、食べ物に関しては、伝統料理であろうが無かろう
が美味いものは美味いだから」(私)
「そうですよね」(T君)
「個人的には、新しい料理、例えばきれいな直方体の
ケーキのような料理より、どかんと盛った煮込み料理
に代表されるビストロ料理が好きだけど」(私)
「僕もです」(T君)
「まあ、その時代時代の味は、そういう先端と言われ
る料理がフィードバックされ変化していくのだと思う
けど、料理に芸術は求めないからね」(私)
「素朴に美味い、これですよね」(T君)
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