ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

スティーヴ.ライヒ

2008年07月05日 | 音楽


NHK教育で、「スティーヴ.ライヒ」特集をやって
いたので、じっくり見てしまった。
ついこの間行われた「東京オペラシティー」での公演
を中心に、初の発表となる「DANIEL VARIATIONS」の
出来るまでの背景などの解説も交え、解り易い構成に
なっていた。
言わずと知れた「ミニマルミュージック」の中心的人
物の「スティーヴ.ライヒ」の作品は、聴きなれない
人にとっては、同じフレーズの繰り返しで、一体何が
良いのかさっぱり解らない、などと言われそうだが、
これが実に心地良いのだ。

同じリズム、フレーズの繰り返しと言えば、太鼓など
が身近な例として思い出される。
聴いているうちに、トランス状態に近くなりある種の
快感を呼び起こす。
バリの「ガムラン」などもそうであろう。
それを目的に戦略的に作られた「ケチャックダンス」
なんてのもあるし。
それらに共通するのは、原初性とうるささだが、そう
いう部分を洗練させたのが「ミニマルミュージック」
なのではないか。
洗練させた、人によってはわざわざ難しくしたとも言
われかねないが、元々そういのが好きだからしょうが
ない。
心地よくなるのも頷けるというものだ。

「DANIEL VARIATIONS」は、取材中に殺されたジャー
ナリストの遺族から委嘱された曲ということだが、知
らないで聴くと、多分「フィリップ.グラス」か「ス
ティーヴ.ライヒ」のどちらかの曲、と答えるだろう。
ヴォーカルの部分が「フィリップ.グラス」を思わせ
たのだ。

次の曲は「MUSIC FOR 18 MUSICIANS」。
イメージする「スティーヴ.ライヒ」の音楽そのもの
という感じである。
この曲がリトマス試験紙「スティーヴ.ライヒ」版に
なると思う。
それにしても「ブライアン.イーノ」のアルバムタイトル、
「MUSIC FOR FILMS」と「MUSIC FOR AIRPORTS」
はここから拝借したのか。
影響を受けたのは間違いないらしいが。

最後の曲は「DIFFERENT TRAINS」。
これだけは、日本人のカルテットの演奏。
「クロノスカルテット」版を聴いていたので、一番な
じみの曲だったが、そもそもが「クロノスカルテット」
のために作られたということを今「ウィキペディア」
で知った。
なるほどね。
しかも、ジャズと違って楽譜どおりでクロノス版と曲が
同じだ(当たり前と言えば当たり前だが)。
それはいいが、この曲が「ユダヤ人」の問題をテーマに
した曲であることをこの番組で初めて知った。
基本的に解説書を読まないので、曲のテーマとかそう
いうものは殆ど知らない。
よく言えば、純粋に音楽だけを聴くのである。
そんな聴き方だから、こういう背景を知るとちょっと
新鮮な驚きがある。
「TRAIN」が収容所に向かう列車を指していたとか、そ
してそれが自由の国アメリカの列車になり、シカゴか
らニューヨーク、ニューヨークからロス、と安住の地
を求めて彷徨う。
最後は天使の地を目指すというのは、ある種の皮肉か、
といろいろ意味を探るのはそれなりに面白いが、やは
り個人的には、純粋に音楽そのものを、というところ
に戻りたい。
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