どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(超短編シリーズ)27 『竹の花』

2010-03-19 03:16:25 | 短編小説
     (竹の花)  大和の北西に位置する讃吉の郷(現在の北葛城群広陵町あたり)に、とりわけ美しい竹林がひろがる山里があった。  春は筍を掘る村人たちの静かな声が斜面をわたり、夏は山からの涼風を取り込んで竹の梢がさやさやと触れ合った。  秋から冬にかけては竹落葉が散り敷き、山にまつわる言い伝えや昔話をつつみ永らえさせた。  とりわけ月の出が美しい中秋のころは、ススキも萩も競うように風 . . . 本文を読む
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