どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(超短編シリーズ)47 『いびつな月』

2011-03-22 03:19:58 | 短編小説
     (いびつな月)  入鹿は、数日前からいらいらしていた。 頭の周りで、なにかチリチリとはじけるような波動が感じられるのだ。 (なんだろう?) 沖の方から追いかけてくる目に見えない不安が、全身の皮膚を粟立たせる。 親から受け継いだ精密な感覚が、音ともいえず唸りともいえない底鳴りを感知して未知の信号を送って来るのだ。「おまえ、何か変なものを感じないか」 入鹿は、近づいてきたサブに訊いた。「は . . . 本文を読む
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