どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(超短編シリーズ)102 『ボクサー画伯』

2014-05-22 00:00:22 | 短編小説
   二十歳といえば、実りはじめた玉蜀黍のようなもの。  生のまま歯を立てればプチっと汁が飛び、口の中にも甘い汁と青っぽい匂いが充満する年頃だ。 「玉木さん、ぼく今度個展をやりますので見に来てください」  テレピン油の臭いが充満するアトリエで、二十歳の誕生日を祝ったばかりの日下五郎は顔を輝かせた。  アトリエといってもアパートの四畳半で、寝室にもなれば客間にもなる。  ビニー . . . 本文を読む
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