どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(超短編シリーズ)112 『鐘鳴山』

2015-08-01 11:40:15 | 短編小説
    水戸の城下町を少し離れたところに、鐘鳴山と呼ばれる海抜六百数十メートルの山がある。  この山の頂上近くに小さな沼があって、そのほとりに古風な社がひっそりと祀られている。  地元では「鐘鳴大明神」と呼ばれ、あたりには古木が鬱蒼と生い茂り、昼も暗く陰森の気を漂わせている。  沼は碧く、深くしずかに死の色をたたえて、大蛇でも棲んでいるのではないかと思わせるほどだ。 . . . 本文を読む
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