さきち・のひとり旅

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イタリアで見た「巨人の星」 ~イタリア紀行22

2010年11月10日 | イタリア


ローマで歩き疲れた人がひとり…

 ヨーロッパで放映されているアニメの3本に2本は日本製らしひ。たしかにどこでもよく見るし、ビデオ屋では、「MANGA」というコーナーがあったりする。マニアが増えているだけでなく、「かわいい」なんて日本語が普通の若者の間で使われだしている。「北斗の拳」の「わらば!」とか「ひでぷ!」といった言葉が飛び交う日も来るのであろうか。スペインでは「クレヨンしんちゃん」が大人気であり、あの下品なギャグは、ラテンの血に合っているのだろうなぁ、と思ったりしたものだ。

 しかしイタリアでは、意外な作品を見た。まずは「巨人の星」だ。あの究極のスポコンものがヨーロッパで放映されるとは、思いもしなかった。しかも連日あさ7時からブチ抜きで2本…。


                     早朝から熱すぎるぜw


 あのこぶしをきかせた軍歌調のテーマソングは、アップテンポの現代風になっていた。そして登場人物の名前も、なぜか西洋人になっていた(多くの場合、名前は日本名そのままである)。

 星飛雄馬 → トミー・ヤング
 伴宙太   → チャーリー
 花形進   → アレクサンダー
 オズマ    → トーマス・ホプキンズ

 というわけで、わたしが見たときは、オズマの話をやっていたのれす。イタリア語なのに、内容が全部わかってしまうのはナーゼ(^益^)v 究極の教育パパゴンである星一徹は、息子を鍛えるために巨人のライバル球団中日ドラゴンズのコーチになり、米国から才能あふれる黒人バッター、アームストロング・オズマを呼び寄せ、飛雄馬に挑戦させるのであった。(獅子は子供を鍛えるために崖から落とすとか、突然ライオンの映像が出たりするのだが^^;)

 このオズマの生い立ちがすごい。スラム街でかっぱらいをやっているときの逃げ足のすごさをスカウトに発見され、なんと極貧の両親は契約金を積まれて幼い息子を球団に売り払ってしまうのである。

 親に捨てられて屈折した少年オズマは、涙をふり払って「野球ロボット」の人生を歩んでゆく。

 一方主人公の飛雄馬も、言ってみればオヤジの被害者だ。一徹は太平洋戦争で腕を負傷し、野球人生を絶たれた。その自分の夢を継がせるために(巨人の星になるんだ!)、息子に幼少の頃から恐ろしいほどのスパルタ方式で英才教育を授けて育てた(大リーグボール養成ギブスを思い出そう^^)。そんな飛雄馬は、自分が人生の選択肢を奪われた「野球人形」なのではないかと悩む。

 飛雄馬はライバルのオズマと生い立ちの共通点を見い出して、自らの生き方の選択とアイデンティティに悩み苦しむことになる。

  おれは親に決められた人生を歩んでいるだけなのか?

  おれは本当に野球が好きなのか?

  おれだって人並みの青春を楽しみたいんだぁー!!!

 
「飛雄馬」という名前は、「ヒューマニズム」から来ているそうである。このストイックな自己発見の物語は、クサくても大袈裟でも、人種や時代を超えて通じるテーマであるのかなぁ、と思ったりしたのであった。

イタリアで、毎朝見ましたよぉー。1時間~。早起きしてさ…

 
後日談まで見ました。オズマは帰国したのち大リーグで活躍するが、ヴェトナム戦争に徴兵されてしまい、現地で負傷して選手生命を絶たれてしまう。アジア人を虐殺するのに、黒人が前線にやられたのかー w(゜゜)w 「反戦」も重いテーマになっていますね。



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