ちさと図書館の音楽関連コーナーで借りた『演歌・艶歌・援歌』は、昭和の大作詞家星野哲郎さんの生涯と作品について、親しみ深い歌の背景やエピソードが描かれ興味深く読みました。
毎日新聞記者の著者により綿密な取材がされて、「私の生き方」というコラムに連載されたものが元になっています。同行したカメラマンによる写真もたくさん紹介され、関わりの深い作詞・作曲家などの若かりし頃の姿も楽しめます。
その中で『黄色いサクランボ』を作曲したハマクラこと浜口庫之助さんの、その頃からチョビ髭を生やした写真も載っていました。
プロデューサーの指示により初めてハマクラさんの自宅を訪ねたのですが、話していても二人はまったく噛み合ないという感じだったようです。田舎育ちの海の男と都会っ子でジャズマンとの接点が見いだせないままに、それでもピアノを前にして作詞・作曲を同時進行で作っていった結果『黄色いサクランボ』は生まれたということです。
演歌の星野哲郎さんの作品の中では異質の『黄色いサクランボ』ですが、普通に歌詞だけで発想していたらきっと出来なかったのではないでしょうか。コラボレーションの妙を感じさせられます。
ちなみに、自分はステージで十分に稼げると始めは作曲に気乗りがしなかったハマクラさんでしたが、歌がヒットして印税がたくさん入ってくると俄然力を入れ出し、その内に作詞まで自分でするようになってしまったと書かれていたのも面白かったです。