忘れてしまう。何もかも、とまでいかないが、肝心なことを忘れてしまう。これはもう恐怖である。
大体同じ年代の人と話していると話題は『物忘れ』に尽きる。
「冷蔵庫を開けるでしょ、何を取ろうとしているのかしら?って迷うのよ」
「・・・たしかに」
「二階へ行くでしょ、何しに来たのかしら?って立ちすくんでしまうの」
「あるわ、そういうこと」
「いやあね、本当に困ってしまうわ」
こんな話題、AさんともBさんとも、Cさんとも話している。
「ええと、わたしは何をしようとしているのかな?」なんて可笑しなことをブツブツ言いながら暮らしている。
「う~ん、なんだったけな・・・」すでに問題の所在さえ曖昧になり(わたしは誰)状態の一歩手前。(まずいな、まずいな)と思いながらも、もう一人似たような年寄りが鎮座しているだけのひなびた家の事情、誰も笑う者はいない。
「でもさ、呆けないだけまだましだよね」と自分たちにまだ救いがあることを確認しあう。(崖っぷちなのにも関わらず)
「まあ、お使いに出られるうちは、何とか自分で頑張りたいわ」と、Aさん。
「ほんとうね。」ため息交じりの苦笑い。
「死ぬまで頑張れたらそれで、上等だわ」「ほんと、ほんと。」
そんな話をしている脇を、95才のKさん、「今日はいいお天気で最高だね」と早足で通り過ぎていった。
・・・、後姿を拝みたくなってしまったわたし。がんばるぞ!!
大体同じ年代の人と話していると話題は『物忘れ』に尽きる。
「冷蔵庫を開けるでしょ、何を取ろうとしているのかしら?って迷うのよ」
「・・・たしかに」
「二階へ行くでしょ、何しに来たのかしら?って立ちすくんでしまうの」
「あるわ、そういうこと」
「いやあね、本当に困ってしまうわ」
こんな話題、AさんともBさんとも、Cさんとも話している。
「ええと、わたしは何をしようとしているのかな?」なんて可笑しなことをブツブツ言いながら暮らしている。
「う~ん、なんだったけな・・・」すでに問題の所在さえ曖昧になり(わたしは誰)状態の一歩手前。(まずいな、まずいな)と思いながらも、もう一人似たような年寄りが鎮座しているだけのひなびた家の事情、誰も笑う者はいない。
「でもさ、呆けないだけまだましだよね」と自分たちにまだ救いがあることを確認しあう。(崖っぷちなのにも関わらず)
「まあ、お使いに出られるうちは、何とか自分で頑張りたいわ」と、Aさん。
「ほんとうね。」ため息交じりの苦笑い。
「死ぬまで頑張れたらそれで、上等だわ」「ほんと、ほんと。」
そんな話をしている脇を、95才のKさん、「今日はいいお天気で最高だね」と早足で通り過ぎていった。
・・・、後姿を拝みたくなってしまったわたし。がんばるぞ!!