続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

M『つき刺された持続』

2015-03-24 06:43:43 | 美術ノート
マグリット『つき刺された持続』は、以後ずっと記憶に刺さったままの衝撃の思いである。

 この作品に描かれた目線は暖炉の上部にある、つまりその辺りが眼の高さである時代・・・そのくらいの背丈の頃(少年時代)の衝撃だったのではないかと推測する。
 暖炉に映っているのは暖炉の上にある置時計と左右の燭台だけである。背後は何もない闇(こんなことはありえない、室内であれば少なくとも壁の線くらいは映るはずである)しかし、何も無い。時刻を知らせる時計と燭台(鏡に映るもう一方の燭台が時計の影に位置し、見えないのは暗示的である)のみが映った鏡。他は見えない・・・。
 暖炉の壁面から煙を吐きながら突出して来た汽車、ありえない光景、ありえない衝撃が走ったということである。
 室内は上方からの照明もあるのに、鏡に映る室内は暗澹としている。大きな事件の前の瞬間的な静けさ、理解不能、パニックである。

 米の3.11を思い出しても、飛行機が高層ビルを突き抜けるその瞬間は《ありえない光景》として呆然と息を呑むばかりであって、次の瞬間に崩壊して行くことが想定できないほどの衝撃である。
 構築された物の崩壊は、想像を絶する恐怖と喪失感を惹き起す。

 あの日あの時の衝撃(母の自殺と思われる)を、どうしても忘れることが出来ない。胸に深く突き刺さったまま除去する術が見つからない。深い悲しみはあの時点に起因するのではないか。

 作品を見たら、その印象だけに留めてほしい。《決して深く覗いて解釈するなど断じて許さない》マグリットの制止を跳ね除けてしまったわたしは許されないかもしれない。もし、あなたが傍らにいる人だったら、わたしは生涯作品解釈には口を閉ざしていたでしょう。あの世でお会いしたら、謝りたいです。(『マグリット』西村書店刊より)

『城』1916。

2015-03-24 06:22:42 | カフカ覚書
フリーダはゆっくりとKのほうを見あげながら、なにもはっきりしたことじゃないの、お内儀さんのこと、お内儀さんが言ってくれた言葉を思いだして、そのいくつかが嘘でなかったと考えているだけですわ、と答えた。


☆フリーダ(平和)はゆっくりと、Kの方を見あげながら、はっきりとした決定ではないと言いながらも、いろいろな言葉は真実です、と答えた。