続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『現実の感覚』

2015-05-10 08:01:18 | 美術ノート
 巨大な岩石が空高く宙に浮いている。その上に二十六日の月。


「わたしのほかに神はあるか。わたしのほかに岩はない。」(イザヤ書より)


 ある意味、反宗教的な示唆がある。
 (この絵の中に入り込み、地上に立ってみると)像を刻んではならないという石(岩石)が月を隠して宙に浮上している。
 無重力といったり、非現実と見たりする。もちろん精神界に重力は通用しない(カフカ)が、《現実の》と題している。作品の中の現実は、(万軍の主である神への崇拝が月という現実を隠している)ともいえる。現実の感覚としては信仰が現実を隠蔽しているという示唆があるのかもしれない。

≪主なる神はとこしえの岩だからである≫(イザヤ書より)

 マグリットの真意は分からない。作品を解釈するな!という。「わたしの思いは、わたしの中でのみ秘かに完成させる、ほかの人が触れることは危険である。」そんな声が聞こえる。

 美しくも威厳をもって大宙に存在する巨岩石。「この作品を前にするときに感じる心の不調和や亀裂、そして疑惑。しかし、それらを胸に畳み、暴くことなく静かにこの作品の前を通り過ぎて欲しい」マグリットはそう言っているのではないか、そういう気がする。


(写真は国立新美術館『マグリット展』図録より)

『冬のスケッチ』106。

2015-05-10 07:14:14 | 宮沢賢治

       ※
  あまりにも
  こゝろいたみたれば
  いもうとよ
  やなぎの花も
  けふはとらぬぞ。
       ※
  凍りしく
  ゆきのなかからやせたおほばこの黄いろの
  穂がみな北に向いてならんでゐます。
       ※ がけ
  杉ばやし
  けはしきゆきのがけをよぢ
  こゝろのくるしさに
  なみだながせり。
       ※


☆果(結末)を問う。考えを推しはかり、北(にげる)狡(ずるがしこさ)を参(しらべる)。

『城』1960。

2015-05-10 06:48:59 | カフカ覚書
ところが、しばらくするうちに、どうしてそうなったのかは自分でもわからないのですけれど、突然、あなたがどういう意図でハンスト話していらっしゃるのかということに気づいたのです。


☆不意にどうしてそうなったのか分からないながらも、新しい発言が、どういう意図かに気づいたのです。