続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『説明』

2015-05-30 06:50:55 | 美術ノート
 人参とガラス瓶。
 左の方は平面的な暗色のバック、石のブロックの上に置かれた人参とガラス瓶、双方一体化したものの三つの影は置かれた石の上に落ちているが、バックは壁とは考えにくく、空漠感がある。
 右の方はバックには連峰と暗色の空、ガラス瓶と双方一体化したものの影は置かれた台で切れているおり、連峰に並ぶ高さの台は絶壁を暗示している。

 ガラス瓶と双方一体化したものは、擬人化している図ではない。
 異なるものとの一体化、合体にはローレライの人魚(下半身は魚)やケンタウルスの下半身は馬というものがあるけれど、どちらも人間であることが優位であり、人魚には人間になりきれない悲哀、ケンタウルスには強力な馬力という戦闘的な意味がある。

 しかしこの作品から悲哀や戦意は感じられない。意図が不明である。
 有り得ない合体から前向きな意味を生じていない。『無為』なのである。

 ガラス瓶は人参と合体することでガラス瓶の機能を失い、人参も然り、食用の態を失っている。二つの物の特性を消滅させている作意はどこにあるのか。合体の意味や効果はなく、むしろ減退というより、存在価値を見い出せなくなっている。


『説明』と題している。『無為、徒労、愚、滑稽の説明』を丁寧に表示しているのではないか。空虚よりも劣る存在の無謀を描いたマグリットの皮肉である。(現実にある、無意味なものを平然と結びつけている不条理の横行、それらへの説明かもしれない)

(写真は国立新美術館『マグリット展』図録より)

『冬のスケッチ』123。

2015-05-30 06:37:42 | 宮沢賢治
  灰いろはがねのいかりをいだき
  われひとひらの粘土地を過ぎ
  がけの下にて青くさの黄金を見
  がけをのぼりてかれくさをふめり
  雪きららかに落ち来れり。
      ※
  トウコイスのいた
  くもをはけば


☆解(部分部分に分ける)年(考え)を図る。字の化(形、性質を変えて別のものになる)で解(分かる)。
 照(遍く光はあたる=平等)の考えは金(尊い)。
 兼ねた説(意見/主張)の絡(筋道)を記している。

『城」1977。

2015-05-30 06:24:30 | カフカ覚書
あなたがわたしを信頼してくださらないんだから、わたしのこころに不信の念がきざしたって、どうしようもないじゃありませんか。わたしを信頼してくださらなければ、わたしをすっかりお内儀さんにまかせておしまいになったも同然じゃありませんか。あなたは、どうやらご自分の態度によってお内儀さんの正当さを立証していらっしゃっるようね。


☆あなたがわたしを少しも信用してくださらないならば、不信の念をきざしてもどうしようもないじゃありませんか。私を信用してくださらないならば、すっかりお内儀さん(言葉)にまかせてしまったのも同然です。あなたの抑圧によって言葉の正当性を承認しているのですから。