『色彩の変化』
この作品を見る限り黒白(モノクローム)の中に《青》だけが浮くという色彩であり、『色彩の変化』という認識はむずかしい。
枕は睡眠をイメージし、夜(夢あるいは無)を想起させる。
置かれた床は左に傾いているが、壁とは90度の角度であり、部屋全体が傾いているともいえる。しかし、この壁と床がつながっているかは不明である。
五角形のフレームは二つに分かれた場面を見せており、四角の中は漆黒、他方の五角は青色に雲のような白色が描かれている。夜と昼、不可視・可視ということだろうか。このフレームは壁に影を投影しているが、ゼブラ模様の背後に密着したものか、はるか遠くに隔たったものかは不明である。遠く距離を置くのであれば、このフレームは浮くことになり、枕と共に幻想(夢)を表象していると思われる。要するに錯視を条件の中に入れている。
バックのゼブラ模様はどこまでも続くパターンであることから《永続の時間》、壁は《無時間》、枕は《無意識の時間》を暗示している。
浮いているフレームは、暗黒(夜)と青色(海と空、そして三態〈水・氷・気体〉に変化する雲)を提示しており、地球の時間を思わせる。
それぞれのものの位置関係は不明であり、全く偶然に近くのエリアに重なっているとも考えられる設定である。
要するに見方によってどんな風にも位置関係が揺らぐのである。
『色彩の変化』とは現象の変化であり、この景色の傾向・性質の変化(錯視)の心理的受容である。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
(おやおや、あの手の指はずゐぶん細いぞ。爪もあんまり尖つてゐるしいよいよこはい。)山男はそつとかうおもひました。
☆衆(人々)の死が済(救い)に総て遷(移り変わる)、太陽の談(話)である。
わたしがこの計画を理由づけるために話したことなんか、ほとんど気にもとめてくれませんでした。彼がいちばんこころを動かされたのは、従僕たちの話でした。
☆わたしの計画に対して少ししか肯いてくれませんでした。彼に影響したんは屈従の話でした。(従僕たち/死人)