『ジョルジェット』
真っ直ぐ前を見つめる彼女の眼差し、どの角度をもってしても彼女は常に前を偏ることなく見つめており、その先は水平線(永遠の真理 )の高さである。そして羽のように軽やかな精神の持ち主であるジョルジェット。
常にわたしの影に居てわたしを見守ってくれている存在のジョルジェット。
頭上の卵は子供の誕生がなく、緑の一枝は子孫を残さなかったことへの心残りではないか。
下の方にあるのは夫であるマグリットの切なる想い、常に自分を被う(手袋)秘密(鍵)を持っていたことへの謝罪。秘密の重さゆえか窓の線条が下降、傾いている。
ロウソクの炎くらいの明るさ(幸福)しか与えられてないのではないか…。
しかし、《ジョルジェット、わたしはあなたを愛している》白い封筒の中には、きっとそうしたためてあるに違いないと思う。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)