『恋人たちの散歩道』
恋人たちというのは、未来に家庭を築く可能性を持ったカップルのことである。
将来を見据えて歩く…未知の時空を思い描く愉しむべき道である。
けれど、この絵は暗い。漆黒の闇に星も月明りもなく、家々の窓にも灯が確認できない。全く同じような窓の連なる集合住宅は、一般の人たちの暗示であり、小住宅の窓を見ると、視線はこの絵の最下部にあることが分かる。
鬱蒼と茂る樹木の背後にある二つのフレームには、明るい空と雲(自然)が高く掲げられている。
未来への約束は、《きっと自由で明るく透明な空のようでありますように》という願望である。わたしたちは今ある世情を超え、必ずやそうした未来を築くのだという強い想念である。
しかしこの願望は、単に願望に終わらざるを得ないかもしれない、確とした支柱がなく暗黒の宙宇に浮上しているに過ぎないからである。
突き当たる世間の壁(慣習)は果たして超えられるだろうか。
暗くのしかかる漆黒の闇にも《明けない夜はない》という楽観、これこそが恋人たちの散歩道における夢想である。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
二人のかげがまつ黒に草に落ちました。
二人はジ・トと読んで、字、図。
まつ黒はコクと読んで、告。
草はソウと読んで、双。
落ちましたはラクと読んで、絡。
☆字の図りごとであると告げる。双(二つ)は絡(つながり)がある。
それを見ると、なにか空おそろしい気がしましたが、いまさら中止するわけにもいきませんでした。自分が賭けているものがあまりにも大きすぎる、という気がしたのです。
☆驚いてしまいますが、見失わず、離れずに放ちます。大きさを演じているようにも見えます。