ぬぐう指さむく寄せくる潮のおと
ぬぐう、良くないことを打ち消す指。指は官能である。情事かもしれない…。あってはいけないことの後の後悔。
いく度も冷たく寒い潮の音、怒涛のように寄せては返す胸の内。鼓動は甘く切ない、しかし風の冷たさは寒く自分を孤立させている。
ぬぐう指さむく寄せくる潮のおと
ぬぐう、良くないことを打ち消す指。指は官能である。情事かもしれない…。あってはいけないことの後の後悔。
いく度も冷たく寒い潮の音、怒涛のように寄せては返す胸の内。鼓動は甘く切ない、しかし風の冷たさは寒く自分を孤立させている。
雪上に青枝遥かより首級
遥かはヨウと読んで、要。
☆雪上に(白)に青枝(生)、要は、首級(打ち取った首/死)である。
白(雪)、青(青枝)、赤(首級)。無機(雪)の上に生(青枝)と死(首級)。戦慄の景である。
雪上はセツ・ショウと読んで、窃、抄。
青枝遥かはショウ・シ・ヨウと読んで、章、詞、用。
首級はシュ・キュウと読んで、手、窮。
☆窃(そっと盗んで)抄(抜き書きをする)章の詞(言葉)を用(役立てる)手(方法)は窮(行き詰まって身動きできない)。
雪上はセツ・ショウと読んで、拙、章。
青枝遥かはショウ・シ・ヨウと読んで、傷、私、様。
首級はシュ・キュウと読んで、修、急。
☆拙(つたない))章を傷(悲しむ)私の様(ありさま)。
修(正しく整える)急(ゆとりがない)。
雪上はセツ・ジョウと読んで、説、冗。
青枝遥かはショウ・シ・ヨウと読んで、省、至、様。
首級はシュ・キュウと読んで、殊、杞憂。
☆説(はなし)の冗(不必要)を省き至(行きつく)様(ありさま)は、殊(普通とは違う)杞憂である。
『無題』
名づけようがないもの、名づけられないものとしての形象。しかし、これを形態に留める必然性を感じざるを得なかったもの・・・。
鑑賞者にとっては難しい提示である。
地表から緩やかな坂(勾配)があるが、地表に等しくえぐられた穴がある。この二つの地表面に等しい穴は、地表面からすれば続きであり属しているが、坂(勾配/山)から見れば、地下である。この二つの面には緑色の着色があるが、これは植物を指しているのだろうか。
とすれば、天地が逆である。同じ堀跡に見える形には微妙に差異がある。同じではないという主張、しかし意味を見いだせない。この二つの堀跡はつながっていると思われるが断絶かもしれない。見えないものは事実を隠している。
二つの堀跡の周囲の線上には連続した穴がある、何を報せるものだろう。心理的な暗示であって物理的な根拠に欠ける点描である、
作家は何を意図してこの形を決定するに至ったのか。
雑多な思惑を捨ててみれば、これは大地、地表の模型である。ただ違っているのは人為的に刻み掘られた類似(二つ)の地表に続く穴があることで、これは説明としての断面かもしれない。
地表にあるはずの緑が地下に見えるという位相、これは解き難い。しかし、この大地には過去の眠りが隠れているという事実ではないか。
幾層にも重ねられた地表の記憶(神秘)、作家はこれをごく単純化して示唆しているのだと思う。
写真は『若林奮ーVALLEYS』展より・横須賀美術館
でも、あなたを見たら、わたしがともかくもあの部屋から出ていったのはよいことだとおもってくれるでしょう。いまや救いの手であり守護者である男性ができたことを、ふたりとも、よろこんでくれるでしょう。
☆あなたを見たら、わたしが出ていったことはよかったのだと気づくでしょう。現今、助手であり保護者である人がいることは幸運でなのです。すべては秘密にすべきであり、この秘密を通じて親密な結びつきは喜ばしいものになるでしょう。