秋衣あめの東京はなれけり
秋衣とは、夏、すでにハゼノキのような紅葉が見られることから名づけられた夏櫨の別称である。
早くもわたしの心は秋のような小寒い風が吹き、儚く哀しい慕情は雨に濡れている。内なる心の中心、東京と名付けたわたしの心は、彼から離れてしまったに違いない、きっと、そうに決まっている。
夏の勢いを失いつつあるあなた、魅力と思えたものが衰退していく。あなたはわたしから離れていくのか、いいえ、わたしがあなたから離れてしまったのです。
本当は・・・、わたしを刺した冷厳の一言に離れざるを得なかったのです。降りやまぬ雨もいつか止むでしょう。