続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『冬のスケッチ』66。

2015-03-28 06:51:59 | 宮沢賢治
二四   水こぼこぼと鳴る
     ひぐれまじかの笹やぶを
     しみじみとひとりわけ行けり。
          *
     隔離舎のうしろの杉の脚から
     西のそらが黄にひかる
          *
 

☆推しはかる冥(死後の世界)の細小(小さく細かい)講(はなし)を書く。
 理(物事の筋道)により赦(罪や過ちを許す)太陽の挌((法則)である済(助け)の講(はなし)である。

『城』1920。

2015-03-28 06:39:50 | カフカ覚書
「これまでにもう何度となく」と、フリーダは、話しはじめた。「いいえ、最初のときからですが、お内儀さんは、わたしにあなたの言葉を信じさせまいとして骨を折っていました。お内儀さんは、あなたが嘘つきなどと言ったのではありません。


☆「確かに、度々」と、フリーダ(平和)は、話しはじめた。「同じような始まり、言葉は、わたしたちに疑いを作り、煩わせます。あなたの主張は嘘ではありません。

金山康喜『アイロンのある静物』

2015-03-27 06:24:18 | 美術ノート
 神奈川県立近代美術館/葉山で催された「金山康喜のパリ展ー1950年代の日本人画家たち展」

 金山康喜の作品を観てから、なぜかしら引っかかり心を離れない。この奇妙な誘惑・・・彼の作品はセクシーなのだ。性的描写があるわけではない、むしろ硬質のオブジェの組みあわせであって、暗示するものは皆無である。

 抑えきれない興奮の欠片を、なぜ捨てきれないほどに抱かせるのか。もしかしたら、ここに彼の作為/企みの秘密があるのかもしれない。

『アイロンのある静物』
 中央のビンのイエロー、ここだけを切り取れば単なる黄色に過ぎない。しかしここでは画面の空気に押されて輝いて見え、天井から下がっているであろう電球はその口に触れなんとしている。その電球の白は微妙に青を含み、微妙に変形、傾いている。重いとも軽いともいえない微妙な質量をもって黄色いビンに接触を図っている。黄色いビンの方は心持ち電球の方へ伸び上がっているとさえ見える。しかもこの黄色いビンは前後から黒い物体(アイロンと帽子)に圧迫されるような位置関係である。

 黄昏・・・落日の陽がわずかにシャツを染めている。残る手前のシャツの透明なブルーはアイロン台の乳白色の冷静さに比してタッチを荒くし、揺れさざめいている。その傍らの断ち切りバサミ・・・静寂に見える室内は華麗な物語の導入部のようである。ゆえに描かれたオブジェは存在感を故意に欠如させている。大切なのは実態ではなくその物体から想起されるイメージであり、彩色との複合的なメッセージなのだと思う。
 何かが始まる予感・・・しかし、深い沈黙にはそれを悟られまいと微動だにしない緊張がある。

 星の数ほどある色彩の諧調、その色と形と質量は微妙なムーブメントで図られている。作品からは震えるような危ない会話が秘密裏に聞えてくる。(確かにここには仕組まれたサスペンスの香りが潜んでいる)
 画面から垣間見える思考回路。極めて手の込んだ美しく華麗な実験である。(写真は、展覧会カタログより)

『冬のスケッチ』65。

2015-03-27 06:15:29 | 宮沢賢治
  ねばつちですから桐はのびないのです。
  横に茶いろの枝をひろげ
  いっぱいに黒い実をつけてゐます。
  台の向ふはしろいそら、
  ピンとはられた電信のはりがね。   
        *


☆透(すかして見える)奥(奥深い所)を査(調べて)詞(言葉)を告げる。
 実(本当)の題(テーマ)の考えを伝え、審(正しいかどうか明らかにする)。

『城』1919。

2015-03-27 05:54:09 | カフカ覚書
Kはこの漠然とした語り口にむっとし、泣きべそめいたその涙声にさえ、こころを動かされるよりも腹をたてた。とりわけ、お内儀がまたぞろ彼の生活に干渉してきたーこれまでは直接彼の生活に干渉することに成功しなかったけれども、こんどはすくなくとも思い出という形で干渉してきたので、よけいに腹に据えかねたのだった。それで、腕にかかえていた薪をどさりと床に投げだすと、そのうえに腰をかけて、きっぱりとした口調で、はっきりした説明をきかせてくれと言った。


☆Kはこの普遍的な言い回しを不快に思った。彼自身、嘆き悲しむ涙で、さらに腹立たしく、とりわけ言葉が再び生命を作るという、少なくとも人としての記憶という形を通して、今に至るまでわずかな成功(の結果)は通例になり、根底から惨めにも欺かれたことを、真面目に完全に明瞭な言葉で聞かせてくれと頼んだ。

新年度。

2015-03-26 06:59:23 | 日常
 もうすぐ新年度、四月である。
 でもそんなこととは無縁の毎日が日曜日生活。せめて公共機関がお膳立てしてくれるイベントの末席にくっついていけたらなぁと思う。今年限り・・・いつもその覚悟で出かけている。太りすぎて足も萎え、思考力も脆弱になり、自分のしたことを思い出せない昨今のわたし、社会における生産活動にも何の助力も出来ない。

 忙しく働く皆様の邪魔にならないように逼塞した暮らしをしている。階段を一段一段、転ばないように万全の注意を払う、もちろん手すりにつかまる、そういう生活である。
 
 そんなわたし・・・昨日と同じように暮らすことが幸福であるに違いない。昨日と同じだという平凡を侮ってはいけない。時間が経てばすでに昨日と同じではないのだから。すべてのものは酸化し劣化していく、埃が溜まり色褪せていく。この自然の理に逆らうことは不可能である。順応していく。だから昨日と同じというわずかな取るに足らないような反逆(努力)を企んでいる(?)のである。


 高齢者であるわたしにとっての新年度。(その気になってみるだけでも・・・)
 桜咲く季節、四月の「歩こう会」は、お花見の予定。(歩けるかな)の危惧よりも(死んでも歩く)ぐらいの気概をもって参加できると、(いいなぁ)と思っている。


 年寄り気分は捨てて、一人の人間として襟を正し自分のできることを粛々とクリアーしていく。
《新年度》、来年度は生きていないかもしれない(ああ、なんて弱気なんだ)。

 真っ白な心地で『新しい今日に挑む!』よし、これで行こう!

『城』1918。

2015-03-26 06:36:12 | カフカ覚書
彼女の話はこうだった。-わたしは、あなたがハンスとなさっているお話を初めはおとなしく聞いていました。ところが、あなたの二、三の言葉にびっくりして、その文句の意味をもっとはっきりつかまえようとしはじめましたの。そうしたら、お内儀さんがわたしにしてくれた警告、それまではその警告が正当だとは一度も信じたことはなかったのですけれど、こうして考えていると、あなたのおっしゃるひと言ひと言がすべてお内儀さんの警告を裏書しているようにおもえてきましたの、と。


☆ところで、彼女の話はこうだった。ハンス(国、地方団体)との会話をはじめは静かに聞いていました。ところが、先祖と同じ意見だったことに驚いて意味をはっきり捉えようとし始めました。そうしたら、言葉による警告のおかげで、まったく正当だと承認できなかったことを終わりにしないで、それを承認するように思えてきました。

ツバメ飛来。

2015-03-25 06:52:57 | 日常
 待ちかねて、スズメの鳴き声をツバメと勘違いしたかもしれない。

 それでも必ずやって来る日を待っている。ひょっと見あげた電線に《あれはツバメ・・・ではないか》

 大急ぎで部屋に戻りカメラ片手に飛び出した。(飛んでいかないで!お願い)明らかにツバメだというあの白い腹を見たけれど、時遅し、はるか向こうに飛んでいってしまった。と思うや否や、再びこちらへ・・・けれど又通り越して消えてしまった。
 確かにこの辺りに飛来してくるツバメなのに違いない。

「こんにちは、久しぶり」そして「ようこそ」(3/24)

 

 
 来ました、番で。古巣を探しているのでしょうか。(3/25)

 

『冬のスケッチ』63。

2015-03-25 06:44:35 | 宮沢賢治
  日曜にすること
  運針布を洗濯し
  うん針を整理し
  試験をみる
  それから つばきの花をかき
  本をせいりし 手げいをする
    とノートのはじに書けるなり。


☆化(形、性質を変えて別のものになる)は要であり、運(めぐりあわせ)を審(正しいかどうかを明らかにする)。
 普(あまねく)旋(ぐるぐる廻る)に託している。
 審(正しいかどうか明らかにし)省(注意してみる)利(都合がよい)詞(ことば)を兼ねた何かを翻(作り変える、形を変えてうつす)が、趣(ねらい)の緒(長く続くつながり/糸口)である。