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米金融救済策冷や水、株安、ドル安、金相場973ドルへ回復(学校で教えてくれない経済学)

2008-07-15 09:33:20 | 経済学
 ポールセン米財務長官は、破綻の危機から株価が暴落した米政府系住宅金融会社2社、フレディマックと姉妹会社のファニーメイを国有化はしないが、公定歩合(年2.25%)の利率で2社に貸付けし、救済すると発表した。
 そもそも返済の保証がない借り手に住宅ローンを設定した。その後金利が上昇し利子さえ払えなくなり家を手放した。住宅の値段が下がり、金融機関が巻き込まれた。このまま放置すれば米経済は破綻する。慌てた米国政府が2公社に公的資金を投入するまで発展した。
世の中に万能薬はない。株式市場、為替市場、商品市場は、今回の措置に否定的反応を示した。下手な説明を聞くよりはるかに分かり易い。
 NYダウは、7月14日、初め歓迎してスタートしたが、結局前日比45ドル安、11,055ドルで取引を終了した。2社は救済されるとして、この先何社の金融機関が倒産危機に巻き込まれるか全く読めない。恐怖感から株が売られたと今朝のWSJ紙は解説している。
2公社の株は小幅戻したが、JPモルガン4.4%、バンクオブアメリカ7%など金融セクターの株価が4.9%値下がりしたことが今回の財務長官の談話を信用していないことをマーケットは示した。
NY外国為替市場は、ドルが売られ、1ユーロ=1.5903ドル、1ドル=106.28円でそれぞれ取引された。ドルは、対英ポンド、対スイスフランでも値下がりし,1英ポンド=1.9920ドル、1ドル=1.0171スイスフランで取引された。
ドルは対豪州ドルでも値下がりし、25年来の安値である0.9721ドルで取引された。ドルは対カナダドルでも売られ、1ドル=1.0066ドル出取引された。豪州ドル、カナダドルは資源通貨の評価もあり、ドル安は資源通貨買いとの教科書的反応を示した。
NY金先物市場で、金相場が、前日比13ドル値上がりし、1トロイオンス973ドルで取引された。金はドルの反面教師である。金はドル安の目減りを防ぐ「避難先」の一つである。
金相場は1013ドルの史上最高値をつけたあと一時900ドル割れを演じた。十分な「休養」を取った後、じわりじわりと1,000ドルの大台に向けて戻してきた。この日NY原油先物市場は、ブラジルのストライキの影響を材料に小幅高、バレル145ドルで取引された。
今朝の読売新聞によると、ファニーメイ(連邦住宅抵当公社)、フレディマック(連邦住宅貸し付け抵当公社)を含む米政府機関債が2008年3月時点で、日本の3大メガバンクで4.7兆円保有と出ていた。三菱UFJフィナンシャルだけで3兆3,000億円とある。
同紙によれば、少し古いデータであるが、米金融当局がまとめた07年6月の米政府機関債(長期債)の海外保有残高は中国が3760億ドル、日本が2290億ドルと1、2位に名を連ねている。米国債含めドル保有高が1兆ドルを超えた中国の今後の動きが不気味である。
今回の事件は、米政府が絶大な支援をしているから大丈夫だと安心して米国の政府系金融機関の債券や株を買っているととんでもないことになることをわかりやすく教えてくれた。米国は国民の税金を使えないという大義名文がある。現段階では2社を国有化するところまで踏み込んでいない。日本は住専処理で公的資金投入を先延ばしして禍根を残した。
蚊取線香の「金鳥の夏」の時代が懐かしい。いま「緊張の夏」では洒落にもなるまい。(了)

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