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米住宅データ発表を受けてNYダウ283ドル安(学校で教えてくれない経済学)

2008-07-25 09:32:24 | 経済学
 『経済は感情で動く』(マッテオ・モッテルリーニ著・泉典子訳)(紀伊国屋書店発行)が売れているそうだ。人間は感情の動物であるから、経済が感情で動くのは当たり前である。ところが特に日本では「経済学」というと固い学問のように思い込んでいるひとが多い。経済が「勘定」で動くのではなく「感情」で動くと書かれると読んで見たくなるのであろう。
 NY株式市場は、7月24日、283ドル、2.2%急落、11,349ドルで取引を終了した。6月の米住宅販売が486万件と2.6%減少したとの全米不動産協会の発表が引き金となった。当然住宅が売れなければ値段は下がり続けると投資家は改めて恐怖感を持ったのであろう。
 病気と経済も共通点が多い。検査を受けるのは結構だが、検査データを見て病気がむしろ進むケースがよくある。米住宅の病状がそこまで悪かったのかとデータの発表を見せ付けられて、米国経済の病気は当分よくならないと観念した結果がNYダウ急落であろう。
 住宅関連銘柄のPulte Homes,D.H.Horton各14%,Toll Brothers 8.5%それぞれ値下がりした。住宅がだめなら住宅ローンを貸し込んでいる銀行も痛みを伴う。Bank of America8.4%Citigroup9.8%,Merill Lynchi14.1%、Wasihnngton Mutusal13.3%とそれぞれ大幅に値下がりした。
 住宅問題という痛みを一日も早く取ってやらないと米国経済の病気は本復しない。米ポールセン財務長官は米政府系住宅金融会社フレディマックとファーニーメイに大量の輸血を投入して救済すると発表したが、国有化しない限り完全に痛みは取れないと見られている。
 名医か名医でないかの分かれ目は患者の痛みをいかに早く取り除いてやれるかで決まる。痛みが収まれば病気の回復に伴い薄紙がはがれるように患者の恐怖感は取り除かれることを多くの患者は経験している。経済も病気も同じで、米国経済に名医が居ないことが最大の不幸である。
 NY外国為替市場で、ドルは対円で売られ、対ユーロで買われ、1ドル=107.24円、1ユーロ=1.5679ドルで取引された。対ユーロでドルが買われた背景には、ドイツの景況感指数が予想以上に悪化したことが引き金となった。円買いは米株売りが引き金となった。
 欧州の景況感はユーロ高の影響がタイムラグで遅れて出てきた。ECBの金利政策が景況感の悪化で再利上げ見送りとなるとドルが対ユーロで金利差から買い戻される余地は残した。しかし、底流を流れるドル売りの勢いは止められないとする見方は多い。
NY原油先物市場では、前日比1.05ドル、0.8%上げ、バレル125.49ドルで取引された。ブレント原油は1.15ドル上げ126.38ドルで取引された。ナイジエリア、イランでの供給不安は解消されないとの見方が相場を戻したと今朝のWSJ紙は解説している。
 原油相場はバレル150ドル目前まで値上がりしていた。一日にバレル10ドル幅で値下がりして一気に122ドル台まで急落した。原油の世界的な売りと買いのバランスは基本的には崩れていない。石油自身のからだが自律反発を促した可能性が強い。
 日本という国は運転席にドライバーが座っていないとイメージすれば分かり易い。指導者不在である。都市ガス各社が10月からガス料金を上げる。年初には電気代も上がる。『経済は感情で動く』という前に、国のふところ「勘定」を明らかにさせるのが先だろう。(了)

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