米国下院は、10月3日、一部修正したあと米金融安定化法案を賛成263反対171で可決した。NYダウは,はじめ300ドル以上値上がりしたが、まるでふくらんだ風船から空気が抜けるように下げに転じ、結局前日比157ドル下げ、10,325ドルで取引を終了した。
NY原油先物市場は、金融安定化法案下院通過も材料にされず前日比ほぼ横這いのバレル93.03ドルで取引を終了した。CNNテレビによると引け後の電子取引では92.88ドルまで値下がりしている。
米労働省は10月3日、9月の雇用統計を発表、雇用者数が159,000減少、9月の米失業率は6.1%横這いと発表した。雇用が減れば仕事で車を使う回数が減る。ガソリンの需要が減る。原油相場は値下りするとWSJ紙は一部のアナリストのコメントを紹介している。
今朝のWSJ紙によると、鉄鉱石の先物価格が急落しているが、2009年は売り手市場から買い手市場へ変わるだろうとアナリストの見解を紹介している。日本の鉄鋼メーカーは鉄鉱石を昨年比65%高でブラジルから買って関係者をアッと言わせた。
WSJ紙の記事には、中国の需要の落ち込みで、中国の港で鉄鉱石が陸揚げ出来ず、全て在庫になっていると現地情報を伝えている。鉄鉱石先物相場の急落は、米国発の金融不安が世界のあらゆる需要の流れにブレーキをかけ始めた象徴的出来事かもしれない。
7月前まではユーロが急騰しドルが売られた。原油はじめ商品相場はドル建てで売買される。ドルの目減りを食い止めるべく値上げに狂奔した結果が原油147ドルだった。ドル相場が安定している間はいいが、ドル売りが始まればたまらず商品相場は反発するであろう。
今回の米金融安定化法案の柱は7000億ドル(74兆円)を不良資産買取りに使われる。FRBバーナンキ議長は金融機関救済のために出来るだけ高値で買い取る必要があるとしばしば発言している。FRBが輪転機を回せば天井知らずにドル紙幣を供給できる。
米国という国が信任されている間はいい。しかし、米国は信頼できないとなるとドル紙幣は紙くずに変わる。今回の米金融危機は米国の信頼感が崩れていく象徴的現象かもしれない。今では旧聞に属するが、イラクフセイン大統領が石油代金をドルからユーロに換えると発言して米国の逆鱗にふれイラク戦争が始まったと言われる。
ただ、足もとのドル相場は堅調である。10月2日の外国為替市場で、1ユーロ=1.3760ドル、1ドル=105.30円で取引された。ドル堅調の背景は、欧州景気の悪化で、ECB(欧州中央銀行)が年末までに少なくとも0.25%幅の利下げが材料とされているに過ぎない。
10月3日付け日経夕刊コラム「十字路」に「大いなる田舎」米国の限界という優れものの記事が出ていた。コラム氏(漢南洞)は「金融安定化の柱、不良資産購入が決定打といいきれない」と書いている。
日本は37万平方キロの小さな島国である。ところが「アメリカは図体の大きい島国だ」という話を、30数年前日米繊維交渉時にマイク・ダニエルズ弁護士から聞いた。日本人も田舎者で世間知らずだが、アメリカは体のでかい島国だから余計始末が悪いと話していた。
米国は大統領選挙になれば何でもありに豹変する。米国民はイラク戦争で政府に騙された。金融安定化法案下院可決後になぜNYダウが下げたのか。米国の信任が問われている。〈了〉
NY原油先物市場は、金融安定化法案下院通過も材料にされず前日比ほぼ横這いのバレル93.03ドルで取引を終了した。CNNテレビによると引け後の電子取引では92.88ドルまで値下がりしている。
米労働省は10月3日、9月の雇用統計を発表、雇用者数が159,000減少、9月の米失業率は6.1%横這いと発表した。雇用が減れば仕事で車を使う回数が減る。ガソリンの需要が減る。原油相場は値下りするとWSJ紙は一部のアナリストのコメントを紹介している。
今朝のWSJ紙によると、鉄鉱石の先物価格が急落しているが、2009年は売り手市場から買い手市場へ変わるだろうとアナリストの見解を紹介している。日本の鉄鋼メーカーは鉄鉱石を昨年比65%高でブラジルから買って関係者をアッと言わせた。
WSJ紙の記事には、中国の需要の落ち込みで、中国の港で鉄鉱石が陸揚げ出来ず、全て在庫になっていると現地情報を伝えている。鉄鉱石先物相場の急落は、米国発の金融不安が世界のあらゆる需要の流れにブレーキをかけ始めた象徴的出来事かもしれない。
7月前まではユーロが急騰しドルが売られた。原油はじめ商品相場はドル建てで売買される。ドルの目減りを食い止めるべく値上げに狂奔した結果が原油147ドルだった。ドル相場が安定している間はいいが、ドル売りが始まればたまらず商品相場は反発するであろう。
今回の米金融安定化法案の柱は7000億ドル(74兆円)を不良資産買取りに使われる。FRBバーナンキ議長は金融機関救済のために出来るだけ高値で買い取る必要があるとしばしば発言している。FRBが輪転機を回せば天井知らずにドル紙幣を供給できる。
米国という国が信任されている間はいい。しかし、米国は信頼できないとなるとドル紙幣は紙くずに変わる。今回の米金融危機は米国の信頼感が崩れていく象徴的現象かもしれない。今では旧聞に属するが、イラクフセイン大統領が石油代金をドルからユーロに換えると発言して米国の逆鱗にふれイラク戦争が始まったと言われる。
ただ、足もとのドル相場は堅調である。10月2日の外国為替市場で、1ユーロ=1.3760ドル、1ドル=105.30円で取引された。ドル堅調の背景は、欧州景気の悪化で、ECB(欧州中央銀行)が年末までに少なくとも0.25%幅の利下げが材料とされているに過ぎない。
10月3日付け日経夕刊コラム「十字路」に「大いなる田舎」米国の限界という優れものの記事が出ていた。コラム氏(漢南洞)は「金融安定化の柱、不良資産購入が決定打といいきれない」と書いている。
日本は37万平方キロの小さな島国である。ところが「アメリカは図体の大きい島国だ」という話を、30数年前日米繊維交渉時にマイク・ダニエルズ弁護士から聞いた。日本人も田舎者で世間知らずだが、アメリカは体のでかい島国だから余計始末が悪いと話していた。
米国は大統領選挙になれば何でもありに豹変する。米国民はイラク戦争で政府に騙された。金融安定化法案下院可決後になぜNYダウが下げたのか。米国の信任が問われている。〈了〉