シャガール展・兵庫県立美術館
江嵜企画代表・Ken
友人のIさんが「シャガール展」を神戸でやっているが10月12日時間が許せば招待券があるので行かないかと誘ってくれた。この日は日本画教室と重なる。午後3時半現地待ち合わせだから十分時間がある。絵の道具一式を自宅に置いて会場の兵庫県立実術館に駆けつけた。
会期が10月15日までということと日曜日だったこともあって大勢のシャガールファンが詰めかけていた。ご婦人はいつもながら多い。しかしこの日は年齢を問わず男性の姿も結構見受けられた。
絵画に加えて多数の版画、壁画、それに巨大なタペストリー数点も壁に飾れており堪能した。多くの作品には丁寧な解説がつけられているのも良かった。丹念に読んでいると短時間ではとても回りきれない。
「ヴァヴァの肖像」という絵が目にとまり、たまたま絵の前にベンチが用意されていたので、絵を真ん中に置いて会場の様子をスケッチした。
会場の解説によれば、マルク・シャガールはいまのベラルーシ、ヴィテブスクのユダヤ人の家庭に生まれた。ユダヤ教の戒律の中で育ったため聖書(ユダヤ人の聖書は旧約聖書)を楽しんだとあった。
1931年以降には聖書に題材をとった多数の作品を残している。ロシア革命、二度の世界大戦も乗り切った。1985年97歳でなくなっている。会場に用意された年表を見ながらまさに近世世界史を見る思いがした。
「ヴァヴァの肖像」は1952~56年の作品とある。シャガールはヴァヴァ(ヴァランティーナ・ブロドスキーの愛称)と1952年に出会う。65歳のときだった。彼にとって三度目にあたる結婚、その頃から版画、花瓶,皿などの陶器も盛んに制作するようになったと解説にあった。
この絵は950cmX730cmだからそれほど大きくない。白い顔、セーターの赤が鋭く迫ってくる。画面見て左上に筆壷を右手に持った自画像を描き込んでいる。その下には花瓶に一杯の花、右下隅には絵筆が詰まった壷があった。
見残した絵も多くあり、会期終了までもう一度足を運びたい。(了)