ハリックの診断即治療&虹彩と、Kenさんの経済学&スケッチ

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NY原油70ドル割れ歓迎、NYダウ401ドル高(学校で教えてくれない経済学)

2008-10-17 07:17:54 | 経済学
 川辺に立って水鳥の動きを見ていると教えられることが多い。中州の降りる場所を日々微妙に変えている。しかも決して集中しない。水鳥はテレビも見ない。新聞も読まない。水がなくなり、餌が食べられないと知ると断りなく飛び去る。生き物の本質を教えてくれる。
原油相場がドラム缶一杯150ドル目前まで値上がりしたのは今年の7月だった。大変なことになると騒いだのは誰だ。10月16日、WTI相場は70ドルを割りバレル69.85ドルで取引を終了した。高値から見て半額セールである。なぜ素直に喜ばないのだろうか。
 NY外国為替市場で、原油相場がバレル70ドルを割ったことを歓迎して、ドルが買い戻され1ユーロ=1.3399ドル、1ドル=101円で取引された。青菜に塩だったNY株式市場も原油70ドル割れを歓迎、前日比401ドル、4.7%上昇、8,979ドルで取引を終えた。
 原油相場が半額になって米航空トップUALの株価が21%値上がりした。コンチネンタルとデルタ航空株は15%、USエアウエーズ株は18%値上りした。水鳥は航空会社の業績が2009年半ば以降から間違いなく回復すると見たのであろう。実に分かり易い。
 原油相場は7月にかけて急騰した。急騰のパターンはユーロ高ドル安のパターンと酷似している。相場推移を描いたグラフを重ね合わせると一目瞭然である。物の値段は基本的には需給で決まる。原油高騰がレコードの「表盤」なら原油急落は「裏盤」現象にすぎない。
 今朝のWSJ紙によれば、欧州の景気後退が進みECB(欧州中央銀行)の利下げ必至と見て1ユーロ=1.3170ドルまでドルが値上がりすると一部のアナリストの見方を紹介している。1ユーロ=1.6ドルから見れば様変わりである。
ユーロが対ドルで値下がりすればつれて、ユーロは対円でも値下がりする可能性が出て来る。昨日米FRBバーナンキ議長は短期の政策金利FFレート下げを示唆した。異常な低金利の日本と金利差がなくなるから円が対ユーロ、対ドルでさらに値上りしてもおかしくない。
自国通貨が持ち直すことを素直に喜ばないのは日本ぐらいであろう。お隣の韓国は1ドル=1,260ウオンへ急落、狂乱物価再来と大騒ぎしている。原油がバレル150ドルを越え、円相場が1ドル=110円、120円へと円安が進めばどうなるか。水鳥に聞いてみればいい。
自国通貨に値打ちがなくなることを歓迎する体質も異常なら、100万円預金して一年で利子が2000円もつかないのはそれ以上に異常である。異常であることを異常だと感じなくなっている今の日本は正に病気である。しかも心の病気だから完治に時間がかかる。
日本は第二次世界大戦で米国に敗れた。アメリカはすばらしい国である。筆者は米国で3年の生活を通じてアメリカのすばらしさを自分の目で確かめられたことは幸運だった。しかし、歯止めなく借金して世界各国から買い続けるアメリカンドリームに疑問符が灯った。
英国が衰退の過程で「英国病」と言う言葉がはやった。英国が北海油田を掘り当て蘇ったが欧米流の金融システムが崩壊したいま英国の先行きを悲観する声が出てきている。「米国病」ということばが早晩流行するかもしれない。
日本には日本の流儀がある。資源輸入大国日本は原油半額大歓迎だ。円高で自国通貨が強くなることは国益だと堂々と国民に訴える政治家が出てくる日が待たれてならない。(了)

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