日経ダウが10月27日、前週末比486円安、7,162円と26年ぶりの安値を更新した。今朝のWSJ紙は『金融の嵐、湾岸を襲う』の見出しで、「クエート中央銀行が銀行救済に乗り出した」とのニュースを受けて、中東湾岸諸国の株価が先週末、全面安の展開になった。
プラカードを持った群集が取引所を取り囲み、証券取引所は金曜、土曜と取引を停止したと報じている。
原油相場が50%値下がりしたあとも比較的株価への影響は軽微と見られていた。しかし、湾岸国初のケースとしてクエート政府が自国の銀行救済に乗り出したことで、世界の金融不安、世界同時不況に発展するとの恐怖心から買い手不在の状態になっていると報じた。
サウジアラビア政府は、低所得者ローンの借り手救済に230億ドル(ドル93円換算2兆1400億ドル)投入すると発表した。ドバイ不動産ブローカーはこのような措置は前代未聞であると話している。
湾岸諸国通貨は米ドルとリンクさせるドルペッグ制度を実施している。ドルが対ユーロで急落する過程で湾岸各国政府がインフレ進行を嫌いドルペッグ制解除の思惑から巨額の借金をしてユーロを買った。そのユーロが対ドルで急落した。その結果多くの金融機関に為替差損が発生し倒産の危機に見舞われているという。
多くの中東湾岸諸国の国家予算は平均でバレル47ドル原油で組まれている。サウジアラビアでバレル49ドル、クエートはバレル33ドルとまだ余裕はある。しかし、バーレンは75ドルと高く国によっては大きな差がある。
原油相場急落で危機感を抱いたOPECは緊急総会を開いた。妥協の産物、日量150万バレルの原油減産を決めたがNY原油先物相場は減産を無視した。バレル63ドル台で取引されたが先安感が消えていない。一部OPECメンバーから追加減産の声が出ている。
サウジアラビア株式市場は先週末時点で、年初から50%値下がりした。6月以降、湾岸諸国の時価総額は2050億ドル(約19兆円)目減りした。ドバイの資産価値は今年1~3月期は42%増加したが4~6月は14%増に落ちた。2009年にはゼロになり2011年には20%減とドバイの地域銀行EFGのアナリストは予測している。
ドバイで売り出された140~220万ドル〈1.5億~2億円〉クラスの住宅に半年前には10~15%のプレミアムがついていた。現在、多くのケースでプレミアムはゼロになった。
一般住宅に対する金融機関の貸し出し姿勢が9月以降一段と厳しくなった。HSBC HOLDINGS貸し出し限度額を9月に住宅価格の50%まで落とした。優遇ケースでの85%を70%へ引き下げた。「誰も買う意思がない。全員が売りたがっている。」と資産コンサルタントのリリアン・ゴールド氏のコメントをWSJ紙は紹介している。
原油相場はユーロ高・ドル安の流れに乗ってバレル147ドルの史上最高値を更新した。7月以降ユーロの対ドル相場下落に鞘寄せする形でバレル原油は63ドルまで急落した。産油国は安い金利で円を借り、借りたお金でユーロを買った。いまその全く逆の目が出ている。
中東湾岸諸国のパニックが収まらない限り、ユーロ売り、日本株投売りが危惧される。〈了〉
プラカードを持った群集が取引所を取り囲み、証券取引所は金曜、土曜と取引を停止したと報じている。
原油相場が50%値下がりしたあとも比較的株価への影響は軽微と見られていた。しかし、湾岸国初のケースとしてクエート政府が自国の銀行救済に乗り出したことで、世界の金融不安、世界同時不況に発展するとの恐怖心から買い手不在の状態になっていると報じた。
サウジアラビア政府は、低所得者ローンの借り手救済に230億ドル(ドル93円換算2兆1400億ドル)投入すると発表した。ドバイ不動産ブローカーはこのような措置は前代未聞であると話している。
湾岸諸国通貨は米ドルとリンクさせるドルペッグ制度を実施している。ドルが対ユーロで急落する過程で湾岸各国政府がインフレ進行を嫌いドルペッグ制解除の思惑から巨額の借金をしてユーロを買った。そのユーロが対ドルで急落した。その結果多くの金融機関に為替差損が発生し倒産の危機に見舞われているという。
多くの中東湾岸諸国の国家予算は平均でバレル47ドル原油で組まれている。サウジアラビアでバレル49ドル、クエートはバレル33ドルとまだ余裕はある。しかし、バーレンは75ドルと高く国によっては大きな差がある。
原油相場急落で危機感を抱いたOPECは緊急総会を開いた。妥協の産物、日量150万バレルの原油減産を決めたがNY原油先物相場は減産を無視した。バレル63ドル台で取引されたが先安感が消えていない。一部OPECメンバーから追加減産の声が出ている。
サウジアラビア株式市場は先週末時点で、年初から50%値下がりした。6月以降、湾岸諸国の時価総額は2050億ドル(約19兆円)目減りした。ドバイの資産価値は今年1~3月期は42%増加したが4~6月は14%増に落ちた。2009年にはゼロになり2011年には20%減とドバイの地域銀行EFGのアナリストは予測している。
ドバイで売り出された140~220万ドル〈1.5億~2億円〉クラスの住宅に半年前には10~15%のプレミアムがついていた。現在、多くのケースでプレミアムはゼロになった。
一般住宅に対する金融機関の貸し出し姿勢が9月以降一段と厳しくなった。HSBC HOLDINGS貸し出し限度額を9月に住宅価格の50%まで落とした。優遇ケースでの85%を70%へ引き下げた。「誰も買う意思がない。全員が売りたがっている。」と資産コンサルタントのリリアン・ゴールド氏のコメントをWSJ紙は紹介している。
原油相場はユーロ高・ドル安の流れに乗ってバレル147ドルの史上最高値を更新した。7月以降ユーロの対ドル相場下落に鞘寄せする形でバレル原油は63ドルまで急落した。産油国は安い金利で円を借り、借りたお金でユーロを買った。いまその全く逆の目が出ている。
中東湾岸諸国のパニックが収まらない限り、ユーロ売り、日本株投売りが危惧される。〈了〉