時の運が味方しないと戦は勝てない：リオで2016年オリンピック開催決定（学校で教えてくれない経済学）

2016年、オリンピック開催地にブラジルのリオデジャネイロが、63対32でマドリードを決戦投票で破り選ばれた。オバマ大統領がコペンハーゲンまで駆けつけて演説したが、最初の投票でシカゴが脱落した。

テレビ中継を見ていた67歳のアメリカ市民のひとりは、「まるで横面を張り倒されたような気分だ。ショックだ。」と語った。「ショックで呼吸が止まった感じがした」と語ったなどとシカゴ市民の声を今朝のＷＳＪ紙は伝えた。

「シカゴの町から全ての空気が消えた感じだ」と43歳の婦人はＷＳＪ紙のインタービューに答えた。あとで発表された一回目の投票で、94票の内、シカゴはわずか18票だった。東京22,リオ26、マドリードは28だった。二回目で東京20、リオ46、マドリード29の結果で東京が脱落した。

シカゴは、今回のオリンピック誘致で48億ドル（約4,200億円）を民間の資金で賄った。シカゴ以外は政府など公的資金が使われた。シカゴ市長は非難されるだろうとＷＳＪ紙は書いた。ミシェル夫人はコペンハーゲンで1週間滞在、オリンピック委員と個別に精力的に会った。オバマはサッカーの英雄ダシルバの熱意と知名度に負けたとＷＳＪ紙は書いた。

ＷＳＪ紙は、ブラジル株式市場（Bovesk指数）は、リオでのオリンピック開催決定を歓迎、インフラ投資、観光客増加を材料に買われ、前日比1.2%高、61,172ポイント、出来高69億レアル（39億ドル）と報じた。ブラジルに世界の関心が益々集まることになりそうだ。

今朝のＮＨＫ・ＢＳ「おはよう世界」が紹介するブルームバーグによれば、ＮＹ株式市場は、9月の雇用統計で予想以上に雇用が減少し、失業率が9.8%へ増加したことを嫌気して一時100ドル以上下げたが、株価収益率の17倍は割安との評価から見直し買いが入り、前日比21ドル安、9,487ドルで取引を終了した。オリンピックは話題にさえならなかった。

敗因を聞かれた有森裕子さんは「当初から最近の様な熱意があればと思いました。残念です。」と言葉少なに、ＮＨKテレビのインタビューに答えていた。全てが結果論であるが、東京は、国民レベルでオリンピック誘致に盛り上がりが全く感じられなかった。

しかし、マドリードは市民の95%がオリンピック開催に賛成だったと言われる。市民が盛り上がっても勝てなかった。ロンドンはブレア首相がスピーチして勝った。モスクワはプーチンの演説が勝利に貢献した。シカゴはオバマ大統領の出馬も惨敗に終わった。

南アメリカで最初のオリンピックが効いたのか。時の運が味方しないと戦は勝てない。（了）