米雇用統計を懸念してＮＹダウ203ドル安（学校セ教えてくれない経済学）

10月1日、ＮＹ株式市場は、新規失業保険の申請件数が予想以上に増えたことを材料に、金曜日発表予定の9月の米雇用統計で悪い数字が出るのではないかとの不安感から、取引終了間際にかけて急落し、ＮＹダウは前日比203ドル安、9,509ドルで取引を終了した。

9月のＩＳＭ製造業景況感指数が、8月の52.9から52.6へわずかに低下した。エコノミストの予測は54だった。米国経済は改善の兆しは見られるが病気である。病人が数値がよくなると楽しみにしていた検査結果を見て病状がむしろ悪くなる。それと同じであろう。

今朝のNHK・BS「おはよう世界」が伝えるブルームバーグ・ニュースは、「単なる一時的な調整と思うが、相場が大きく下げるとさらに下げるのではないかと更なる下げを誘う。数日間下げるリスクがある」と出演したさる専門家の見方を紹介していた。

ＮＹ外国為替市場では、ＥＵ経済委員会のJoaquinAkmuniaコミショナ―が、イスタンプールで金曜日から開かれるG7の会合で、「ユーロ高の問題を討議する予定だ」と語ったことが材料にされ、ユーロが対ドルで売られ、1ユーロ＝1.4527ドルまで値下がりした。

昨日発表された日銀短観では景況感は改善した。しかし、当時の為替レートは1ドル＝95円だった。今朝のＮＹでは1ドル＝89台に変わった。今朝の読売新聞は「景気を冷やす円高が一気に加速するようなら、円高阻止のための市場介入も必要になろう」と書いていた。

一日の為替取引は4兆ドル（ドル89円換算：356兆円）と言われている。日本政府はかって35兆円の国民の税金を使って、円売り・ドル買い介入した。成果はなかった。藤井財務相の発言が非難されているが、人為的な介入がいかに税金の無駄遣いか知るべきだろう。

バ―ナンキＦＲＢ議長が米議会で、ゼ―リック世銀総裁がドルの保有通貨としてのリスクがあるとの発言について質問を受け、「当面、ドル・ステ―タス（信認）のリスクはない。しかし、アメリカの財政赤字問題が制御できなければ長期的には変わりうる」と答えた。

「おはよう世界」のスペインTVEテレビで、現在18.2%のスペインの失業率が2010年に20%なるとのＩＭＦの予測を紹介していた。欧州全体でも9％と高いが、スペインは異常に高い。Ｇ７でユーロ高を討議するというが、深刻な失業問題が背景にあるからであろう。

家の中でお父さんがごろごろしていては家族全体が暗くなる。当然財布のひもは固くなる。アメリカではクレデット債務不履行増加でアメリカンエキスプレスの株価が大幅に売られた。いままでは巨額の財政出動で瀕死の病人を何とか持たせてきたにすぎない。ドル安もその副作用の一つである。今朝のＮＹ株式市場の大幅安は頭を冷やせと教えている。（了）