ハリックの診断即治療&虹彩と、Kenさんの経済学&スケッチ

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「景気対策の『出口』に急ぐな」:ニューズウイーク日本版最新号(学校で教えてくれない経済学)

2009-10-04 08:26:35 | 経済学
「景気対策の『出口』に急ぐな」(The PrematureExit)のタイトルで、二ュ-ズウイーク日本版最新号に、パレット・シェリダン記者(二ュ―ヨーク支局)が「インフレを恐れて景気刺激策を止めれば、足元の回復すら危くなる」と書いている。  

「多すぎるカネが少な過ぎるモノに向かうと、物価は上がり始める。だが、今は休眠工場が多く、在庫は積み上がり、失業者は職探しを諦めて昼間からテレビドラマを見ているようなものだ。」「インフレ懸念で『金への逃避』と言うが間違いだ。債券相場は値上がり(利回りは低下)しており、今後10年間の物価上昇率は年率わずか1.85%である。」

「アメリカや日本の金利はゼロに近い。先進7ヶ国は全てマイナス成長で、なお急激に落ち込む国もある」と書き、インフレを恐れて『出口』へ急ぎ、利上げに急ぐと命取りになると警告している。

もう一本、「終わりなき金融レスキュー物語」(A tale of Two Bailouts)のタイトルで「銀行救済はヤマを越えたが、住宅ローン支援は増え続けている。」とダニエル・グロス記者(ビずネス担当)の記事が二ユーズウイークに掲載されている。

「FRBが抱える住宅ローン担保証券は昨年はゼロだった。現在は6,850億ドル(約61兆円)ある。もし焦げ付いたら、いったい誰が払うのか。納税者である。」と書いている。米国では金融機関や民間の企業の不始末まで税金を使って救済することが当たり前になって来た。

日本の新聞にも、最近「出口戦略」という言葉が目に付くようになった。翻訳言葉である。欧米人は基本的に狩猟民族である。先祖代々、鳥や動物を籠や檻に入れて付き合って来た。「入口」よりも「出口」を確認しないと彼らの遺伝子が落ち着かないのであろう。

「納税者」という言葉も最近、日本でもよく見かえけるようになった。日本人には税金を収めるという概念が希薄である。むしろお上に取られると思っている。国会議員や役人が税金を無駄に使うのも国民が払った税金という概念を持たない人が多いからだろう。

今回の2本の原稿は、数兆ドル規模の景気刺激策は当分継続される。当面、青天上で札びらが刷り続けられる可能性が高いことを示唆している。全ての薬に副作用があるように、そのつけは当然、納税者に降りかかることを覚悟しておけと警告しているのであろう。

日本人の多くは、先祖代々、田んぼの中で草むしりばかりして過ごしてきた。一端田んぼに入ると、「出口」の意識は欧米人と比較すると日本人は希薄になる。狩猟民族の発想から生まれた「出口戦略」の言葉の罠にかからないよう用心深く行動しなければなるまい。(了)

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