「ロシア経済」の現状について、ニューズウイーク日本版最新号で、オ―エン・マシューズ(モスクワ支局長)が、「さらば資源外交の日々」と題して、「石油・天然ガスを武器に世界を支配する夢は消えた、外国人投資家の軽視は新たな資源開発の可能性を阻害する」とロシアに対して辛口の記事を書いていた。
ロシアは石油と天然ガスの世界最大の輸出国である。しかし、中東の湾岸諸国の比べて採掘ペースが速く、資源が枯渇しかかっている。「ロシアは外国の投資を誘致してヤマルや海底油田を開発しなければならない」と指摘するトロイカ・ダイアログの石油・天然ガスアナリスト、ワレリ―・ネステロフ氏の警告を掲載していた。
本号では、「モスクワの春」の寒々しい現実と題して、「メドベージエフは汚職一掃と経済改革を訴えているが、自由化は見かけだけだ。真の支配者は今もプーチンだ」とマシューズ支局長,アンナ・ネムツオ―ナ支局員連名の記事を紹介していた。
メドベージエフは、「景気後退による不満を鎮静化させるために、国民の声に耳を傾けるポーズを取っているだけだ」、「ロシア国民はプーチンの専制体制を許してきたが、これは国民の生活を豊かにすると約束してきたからだ。それが景気後退と石油価格の下落により、約束を守ることが難しくなってきた」と書いていた。
さらに「ロシアの通貨ルーブルの購買力は08年以降、およそ3分の2に下落、政府は電気・ガス料金の補助打ち切りも計画している」とロシア政府の台所事情がおかしくなっていることを紹介していた。世界景気後退で天然ガス需要が大幅減少、相場は急落したままだ。
日本ではロシアと言えば領土問題が俎上に上った時だけである。これは全く仮定の話だが、鳩山首相は、沖縄から米軍基地を全面撤退させることを条件に北方領土問題の解決を胸に秘めているかもしれない。そこで初めて、ロシア問題に日本国民も関心を示すであろう。
通貨ルーブルの減価は外国資本がロシアから逃げたからである。ギリシャが揺さぶられているのも外人の国債売りの結果である。日本国債の94%を金融機関中心に日本人が保有しているから大丈夫だというが、財政赤字がGDPの170% の日本はギリシャを笑えない。
一方ニューズウイーク最新号は、「歌舞伎を演じた公聴会の退屈」と題して、「トヨタが人身事故に関して裁判所から証拠提出を求められている。トヨタは故意に証拠を隠したのか。今後は歌舞伎ではなく、筋書きのない攻防が始まる」とフィリップス記者が書いていた。
ロシア、トヨタに限らない。「災害」は忘れた頃にやってくる。備えあれば憂いなしだ。(了)
ロシアは石油と天然ガスの世界最大の輸出国である。しかし、中東の湾岸諸国の比べて採掘ペースが速く、資源が枯渇しかかっている。「ロシアは外国の投資を誘致してヤマルや海底油田を開発しなければならない」と指摘するトロイカ・ダイアログの石油・天然ガスアナリスト、ワレリ―・ネステロフ氏の警告を掲載していた。
本号では、「モスクワの春」の寒々しい現実と題して、「メドベージエフは汚職一掃と経済改革を訴えているが、自由化は見かけだけだ。真の支配者は今もプーチンだ」とマシューズ支局長,アンナ・ネムツオ―ナ支局員連名の記事を紹介していた。
メドベージエフは、「景気後退による不満を鎮静化させるために、国民の声に耳を傾けるポーズを取っているだけだ」、「ロシア国民はプーチンの専制体制を許してきたが、これは国民の生活を豊かにすると約束してきたからだ。それが景気後退と石油価格の下落により、約束を守ることが難しくなってきた」と書いていた。
さらに「ロシアの通貨ルーブルの購買力は08年以降、およそ3分の2に下落、政府は電気・ガス料金の補助打ち切りも計画している」とロシア政府の台所事情がおかしくなっていることを紹介していた。世界景気後退で天然ガス需要が大幅減少、相場は急落したままだ。
日本ではロシアと言えば領土問題が俎上に上った時だけである。これは全く仮定の話だが、鳩山首相は、沖縄から米軍基地を全面撤退させることを条件に北方領土問題の解決を胸に秘めているかもしれない。そこで初めて、ロシア問題に日本国民も関心を示すであろう。
通貨ルーブルの減価は外国資本がロシアから逃げたからである。ギリシャが揺さぶられているのも外人の国債売りの結果である。日本国債の94%を金融機関中心に日本人が保有しているから大丈夫だというが、財政赤字がGDPの170% の日本はギリシャを笑えない。
一方ニューズウイーク最新号は、「歌舞伎を演じた公聴会の退屈」と題して、「トヨタが人身事故に関して裁判所から証拠提出を求められている。トヨタは故意に証拠を隠したのか。今後は歌舞伎ではなく、筋書きのない攻防が始まる」とフィリップス記者が書いていた。
ロシア、トヨタに限らない。「災害」は忘れた頃にやってくる。備えあれば憂いなしだ。(了)