捨てる神あれば拾う神あり。広辞苑によれば「一方で見捨てる人がいるかと思うと、他方で救ってくれる人がいる。世間は広く、世の中はさまざまだから、くよくよすることはない。」と書いていた。朝一番で例の更地に出かけた。正月を迎えてから、今朝で4度目になる。その都度、猫の餌がない。おかしなことが起こるなと思っていた。「おはようございます。」と更地の路地一本隔てて筋向いにあるさるコンビニ勤務のご婦人が声をかけて来た。「気がついた時にですが、掃除させてもらっています。猫に餌をやる人は絶えません。」と言うではないか。彼女は仕事中、長話はできない。「ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。」と、一言だったが、気持ちを込めてお礼の挨拶が出来、晴れ晴れとした気持ちで帰宅した。
昨年秋に球根を植えたチューリップ畑の上に保温を兼ねて枯れ草を敷いている。今朝それを何気なく取り上げてみたところ、なんと、赤ちゃんの爪ほどだが芽を出しているではないか。暦では小寒である。しかし自然の営みは春に備えて着々と命を育んでいることを実感した。スイセンは昨年暮れからつぼみが膨らんだかと思うと咲き、また咲きしながら新たな株へバトンでつなぐように咲き、ほぼ満開だ。花に近寄ってみると、そこはかとなく心地よい香りが漂う。春はもうそこまで忍びよって来ているなと肌で感じた。
阪神芦屋駅下車、徒歩5~6分あたりに、さる園芸店がある。阪神青木から足を延ばして有機入り固型肥料を700グラムもの2袋買った。店を訪ねるのは今年に入って始めてである。店のおかみさんに、年始挨拶をしたあと暫時立ち話をした。これが結構楽しい。5日から店を開けていると話していた。お礼肥やしということばがある。昨年は様々な花を暦通り楽しませてくれた花や木にお礼をしなければならない。園芸はずぶの素人だが、まずまずの成果を上げているのは、当の園芸店の肥料と相性がいいからだろう。何ごともそうで、相性が良くないとものごと長続きしない。一袋400円だが、ミニマム投資で最大の効果を発揮できており、大いに感謝している。
帰路、例の自宅近くの喫茶店に寄った。馴染み客のひとりがたまたまご夫婦で来ていた。山形を中学1年で飛び出し、東京で皿洗いから彼の人生が始まったと昔話の一端を披露してくれた。9人兄妹の上から6番目で、口減らしの申し子のような人間だと淡々と話してくれた。手に職を付けていたお陰で、70半ば過ぎたいまもお呼びがかかる。神戸へ移り住んで今年で37年になりますと話していた。こんな話は誰も聞いてくれませんがね、と言いながら、年を感じさせない笑顔で話してくれたことが嬉しかった。
当の喫茶店のマスターのお里の山ひとつ超えたところに関西電力、美浜原発がある。近くに4つの豪華な施設と道路がある。いずれも原発の見返り、俗に言う「迷惑料」で出来た。美浜原発は40歳を過ぎた。40年経過した原発は原則廃炉にすると日本政府は初めて公に口にした。関係者の間では当然の秘密だった。もし廃炉になれば、原発にどっぷり漬かった生活を続けていたから、故郷の村の生活はお先真っ暗だと話していた。神戸に住んでいても、頼むから美浜原発が爆発しないで欲しいと、ただただ祈るばかりである。
神戸は震災からこの1月17日で17年を迎える。Before震災、After震災と言うだけで、神戸在住で震災経験者はたちまち意気投合する。フクシマは神戸の比ではない。しかし、捨てる神あれば拾う神ありという言葉を時に思いだしていただき、頑張って欲しいと常々思っている。毎日のように伝えられるフクシマからの地震情報は、正直、気がかりでならない。フクシマで震災を経験された方の心労はいかばかりかとテレビ画面に地震速報が流れるたびに心が痛む。(了)
昨年秋に球根を植えたチューリップ畑の上に保温を兼ねて枯れ草を敷いている。今朝それを何気なく取り上げてみたところ、なんと、赤ちゃんの爪ほどだが芽を出しているではないか。暦では小寒である。しかし自然の営みは春に備えて着々と命を育んでいることを実感した。スイセンは昨年暮れからつぼみが膨らんだかと思うと咲き、また咲きしながら新たな株へバトンでつなぐように咲き、ほぼ満開だ。花に近寄ってみると、そこはかとなく心地よい香りが漂う。春はもうそこまで忍びよって来ているなと肌で感じた。
阪神芦屋駅下車、徒歩5~6分あたりに、さる園芸店がある。阪神青木から足を延ばして有機入り固型肥料を700グラムもの2袋買った。店を訪ねるのは今年に入って始めてである。店のおかみさんに、年始挨拶をしたあと暫時立ち話をした。これが結構楽しい。5日から店を開けていると話していた。お礼肥やしということばがある。昨年は様々な花を暦通り楽しませてくれた花や木にお礼をしなければならない。園芸はずぶの素人だが、まずまずの成果を上げているのは、当の園芸店の肥料と相性がいいからだろう。何ごともそうで、相性が良くないとものごと長続きしない。一袋400円だが、ミニマム投資で最大の効果を発揮できており、大いに感謝している。
帰路、例の自宅近くの喫茶店に寄った。馴染み客のひとりがたまたまご夫婦で来ていた。山形を中学1年で飛び出し、東京で皿洗いから彼の人生が始まったと昔話の一端を披露してくれた。9人兄妹の上から6番目で、口減らしの申し子のような人間だと淡々と話してくれた。手に職を付けていたお陰で、70半ば過ぎたいまもお呼びがかかる。神戸へ移り住んで今年で37年になりますと話していた。こんな話は誰も聞いてくれませんがね、と言いながら、年を感じさせない笑顔で話してくれたことが嬉しかった。
当の喫茶店のマスターのお里の山ひとつ超えたところに関西電力、美浜原発がある。近くに4つの豪華な施設と道路がある。いずれも原発の見返り、俗に言う「迷惑料」で出来た。美浜原発は40歳を過ぎた。40年経過した原発は原則廃炉にすると日本政府は初めて公に口にした。関係者の間では当然の秘密だった。もし廃炉になれば、原発にどっぷり漬かった生活を続けていたから、故郷の村の生活はお先真っ暗だと話していた。神戸に住んでいても、頼むから美浜原発が爆発しないで欲しいと、ただただ祈るばかりである。
神戸は震災からこの1月17日で17年を迎える。Before震災、After震災と言うだけで、神戸在住で震災経験者はたちまち意気投合する。フクシマは神戸の比ではない。しかし、捨てる神あれば拾う神ありという言葉を時に思いだしていただき、頑張って欲しいと常々思っている。毎日のように伝えられるフクシマからの地震情報は、正直、気がかりでならない。フクシマで震災を経験された方の心労はいかばかりかとテレビ画面に地震速報が流れるたびに心が痛む。(了)