EWA Chor(エヴァコ―ル)演奏会風景
江嵜企画代表・Ken
大阪府立大学混声合唱団、EWA CHOR第53回定期演奏会開催の案内が昨年末に
後輩から届き、会場の大阪狭山市文化会館へ楽しみにして出かけた。
この日はたまたま猪熊佳子日本画教室が朝10時半から日本橋の高島屋別館であった。
教室は午後1時半過ぎに終わる。有志と食事後、演奏会開演午後5時まで十分時間がある。
軽い気持ちで大阪高島屋7階グランドホールで30日まで開かれている「万福寺開創
350周年記念、隠元禅師と黄檗文化の魅力」展に立ち寄った。
意外や意外と言えばバチが当るが、これがまた優れ物の展覧会で、1時間近く絵画、
仏像など展示物を堪能した。特に隠元禅師はじめ歴代の高僧を描いた掛け軸には魅
入られたように一点一点時間をかけて鑑賞することが出来て大収穫だった。
演奏会場は南海高野線、難波乗車、約35分の大阪狭山市駅下車徒歩3分のところにある。
開場の5時前に着いた。開演5時30分が近づくにつれて、約400人は入る同会館
小ホールはほぼ一杯になった。第1ステージ「混声合唱組曲「いまぼくに」(作詩、谷川
俊太郎、作曲、信長貴富)が始まったところをスケッチした。
第2ステージの混声合唱曲「永訣の朝」(作詩、宮沢賢治、作曲、鈴木憲夫)と
第4ステージ「永久に(とこしえに)」(作詩・作曲、鈴木憲夫)が特に印象に
残った。
第3ステージは企画ステージだった。部員有志が懸命に演技した。しかし、失礼
ながら良くなかった。この日の企画ステージ以外の曲の演奏が例年と比べて正直
群を抜いて良かったので、割を食った感じがして、むしろ気の毒だった。
今年のエヴァコール合唱団は、舞台に上がった女声15名、男声17名と男女の
バランスが取れていることも幸いしているのであろう。何事もそうだがバランスを
欠くと物事は機能しない。ハーモニーがとれていて爽やかだった。
しかし、なんといっても、団員一人一人の心のときめきというか、歌うことが
楽しくて、楽しくてたまらないという団員の気持ちがひしひしと伝わって来たのが
一番だったと思う。それがこの日の演奏会が聞く者の心を強くとらえたのだろう。
今、日本画を勉強している。絵でも同じで、描いている本人に心のときめきがないと
死んだ絵になる。子供が母親に、お母さん、見て、見て、と必死になって母親に認めて
もらおうと、命がけで迫るあれと同じかもしれない。全てはまず己の心ありきだと思う。
エヴァコール、技術顧問の当間修一氏が「同じ作曲家の曲を演奏会で2曲歌うのは珍しい」と
会場で話された。作曲家、鈴木憲夫氏の曲をエヴァコールは選んだ。どうしても歌いたかった
ので選んだのに違いないとの当間氏のことばが印象に残った。この日のアンコール曲は2曲
だった。2つ歌った2曲目が「ほほえみ」というこれまた鈴木憲夫氏の曲で、団員は、本当に
楽しそうに歌っていた。
歌いたい曲を歌う。それは人生も同じかもしれない。是非聞いてほしいという団員ひとりひとりの
強い気持ちが伝わった。青春にプレーバックして、元気をもらって、ルンルンで帰路についた。(了)