吉川二郎フラメンコギター演奏会
江嵜企画代表・Ken
吉川二郎フラメンコギターとギダルべ演奏会が3月30日、神戸三宮スペイン料理店「カルメン」で午後6時から開かれ、楽しみにして出かけた。料理が終わった午後8時から演奏がはじまったところで文字通り演奏者かぶりつきの席でスケッチ出来幸いだった。
吉川さんはスペイン、カンタ―ラ宮殿などで2週間にわたる演奏会を終えて帰国したばかりである。疲れも見せず情感込めた演奏で200人集まった吉川ファンを魅了した。吉川さんの魅力は演奏もさることながら氏のユーモアたっぷりな語りにある。
語りながら弾き、弾きながら語る。氏の演奏を指呼の間で聴くことは初めてで、人をそらさない巧みな語りと演奏が見事に融和、氏の息づかいまで伝わってきて迫力満点だった。
特別席に予約されていたことには裏話がある。レストランに着いて名乗ったが、一般席に名がない。暫時して、マスターが、にっこり笑って、「ありました、同級生さんですね」と言うではないか。暫時して「同級生」コーナーに、日本画家、森田りえ子さんのパリ展で同行メンバーだったYさんが現れた。
Yさんと久しぶりで思い出話に花が咲いた。同級生もYさんの友だちとわかると俄然座がなごんだ。ぽつねんとひとり食事し演奏を聴くほどつまらないものはない。9時半お開きまでのひと時を楽しく過ごせた。吉川さんのご高配に感謝する次第である。
吉川さんのこの日の語りの中で印象的な言葉が2つ、3つあった。その一つに「譜面で覚えたものは忘れる。ところが音は忘れない。一寸音が違うなと感じた時、ギタルバで弾いて音感を取りも戻すことが出来る。」と話した。
吉川さんのように何十年ギターを弾いてこられた達人でも突如不調に陥るという言葉も新鮮だった。スランプではないだろうが、自分の思い通りに演奏出来なくなるときに、いかにして、立ち直せる術を身につけているかが、プロのプロたるゆえんなのだろう。人生万般にも当てはまる話だなと感心しながら神妙に聞いた。
ギタルバは吉川さん発案のギターとハーブが合体した新楽器である。大きなギターの半分以下の大きさ、音域は4オクターブ以上ありギターを超える。この日、「コ―ヒ―を挽きながら」など3曲を、野口久子氏のギター伴奏で楽しんだ。
会場となったレストラン、カルメンは、神戸三宮、繁華街のど真ん中にある。1956年創業、日本で一番最初のスペイン料理店である。中身の濃い料理、素晴らしい演奏を満喫した。お代@6,500円、お値打ちとはこういう催しに言うのだろう。(了)