歌舞伎「壽三升景清」市川海老蔵出演、京都南座風景
江嵜企画代表・Ken
市川海老蔵さん出演の歌舞伎「壽三升景清(ことほいでみますかげきよ)」が、京都四條南座で9月26日まで公演中である。三階席ですが、京都南座は比較的狭く、十分見えます。3000円の割引券がたまたま入った。いかがですか、と友だちのIさんが声をかけてくれた。
公演は9月10日、午後4時半から。急な話だったが、人生、声をかけていただける間が花、楽しみにして出かけた。団十郎さんが描いたという海老の絵の幕をバックに、海老蔵さんはじめ主な出演者挨拶の様子をスケッチした。
庶民感覚では歌舞伎は難しい。何もわからない人間から見れば、高いという印象が抜けない。お金の話で恐縮だが、特別席17,000円、一等席16,000円、2等席8,000円、3等席4,000円と分かれる。しかし、会場はほぼ満席、熱気にあふれていた。
今話題の海老蔵さんが主演である。演題は、歌舞伎十八番に描かれた悪七兵衛景清。今年1月の新橋演舞場公演でも大評判をとった。歌舞伎ファンなら当たり前の世界だそうだが、今なぜ歌舞伎なのかを南座で観劇して、改めて実感した。
『関羽』『鎌髭』『景清』『解脱』と4幕。平家が壇ノ浦で滅びた後、平家のヒーロー、景清が、中国「魏」の国、劉備に仕える関羽となって大暴れ、一人で軍隊を滅ぼす夢を見る設定で舞台ははじまる。関羽を演ずる海老蔵さんの大立ち回りが見どころとなっていた。
二幕の『鎌髭』は捕えられた景清を髭を剃ると見せかけて首を掻こうとするが思うように首が掻けない場面。縄で縛られて、牢屋に入れられる。ユーモアあふれる演技が続き、歌舞伎を見ているという印象が消えていた。
第三幕は「景清」。景清の恋人阿古屋が捕えられた景清の救出に旅に出る。6人の奴(やっこ)を連れて行く。やっこが、身振りおかしく、キ・キ・キ。。。と奇声を発しながら阿古屋についていく場面で爆笑の連続で会場は大いに沸いた。
最後は第四幕『解脱』。景清こと海老蔵さんが、縄を解かれる場面。解放され、めでたし、めでたしで終わる。文章に書くとなんの変哲もない物語であるが、会場を後にする客の口元が笑っていた。
南座を出たのは午後7時半を回っていた。四条河原町通りは人ひとひとでごった返していた。高島屋7階のレストラン街で軽く食事をして家路についた。久しぶりの歌舞伎だったが、堪能した。
歌舞伎を庶民にとっても面白く、身近な存在にするための海老蔵さんのなみなみならぬ意欲が感じられたことが最大の収穫だったかもしれない。(了)